制御機器などの床下機器を見る
これまでの新1000形のステンレス車では、4両編成ではすべての車両にモーターを搭載する形を採ってきました。一方、今回の20次車では、両先頭車が電動車、中間車が付随車の2M2T構成。アルミ車体の新1000形1・2次車同様の構成となりました。
VVVFインバータ制御装置には、ハイブリッドSiCを採用。制御装置1基でモーター4個を回す1C4M制御となっています。
補助電源装置(SIV)は定格260kVA、440Vのものを搭載。故障時のバックアップ機能を持たせた待機2重系で、従来車よりもサイズが拡大しています。
ところで、制御装置は電動車に搭載するのが一般的ですが、この20次車では中間車である付随車に搭載する変則的な形となっています。
京急の担当者によると、これは地下鉄に直通するための基準に定められている「35トン以内」という重量制限をクリアするためのものとのこと。20次車では、L/C座席を設置したことで重量が増え、両先頭車は34.5トンとギリギリの数値となっています。また、京急では両先頭車にモーターを搭載することが原則となっており、この条件からも逸脱することはできません。
そこで20次車では、付随車となる中間車に重い制御装置を設置することで、地下鉄直通の重量制限をクリアし、かつ両先頭車へのモーター搭載も従来通り可能としています。
詳細についての解説はありませんでしたが、ブレーキ関連でも従来車とは異なる機構を採用している様子。外からわかる範囲としては、ブレーキ緩解音が東京都交通局の5500形のような軽やかなものへと変わっています。また、雨天時などの対策として、1600番台で初導入となった滑走防止制御機能を引き続き採用しているほか、ワイパー動作で作動する「雨天モード」を有するということです。
乗務員支援としての運転台モニタ画面(車上情報管理表示装置)も、従来車より機能が向上しています。L/C座席関連の動作のほか、車内非常ボタンがどの車両で押されたか通知する機能を新たに採用したということ。この機能は従来車にもアップデートで搭載しているそうです。また、運転台のモニタ画面には「脱線検知」という文字もあり、万が一の事態が発生した際の安全性を考慮している様子がうかがえます。
これに関連してか、各車の床下には新たに「モニタ装置」という箱が設置されました。
ここまで見ると、従来車とは別形式に見えるほど、機器構成が異なる20次車。しかしながら台車に関しては、2100形以来のTH-2100形シリーズを採用しています。この点について京急の担当者は、「実績のあるものを採用したため」と説明。過去に製造した車両には、乗り心地についての評判が良くない台車を履くものもあるといい、台車ではあえて冒険をする選択肢は選ばなかったようです。
新1000形20次車は、5月6日の「モーニング・ウィング」3号から営業運転に入る予定。車両自体は20次車は地下鉄への直通に対応した設計ではありますが、今のところ直通運転に使用する予定はないということで、当面は京急線内のみでの活躍が続きそうです。
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各車両の側面写真と主要諸元1892-1号車(Muc2)山側1892-2号車(Tuv2)山側1892-3号車(Tpsv2)山側1892-4号車(Msc2)山側1892-1号車(Muc2)海側1892-2号車(Tuv2)海側1892-3号車(Tpsv2)海側1892-4号車(Msc2)海側●189x-1