在来線の表定速度最速はあの列車
新幹線を除き、最も表定速度が高いのは、北陸本線の特急「サンダーバード」です。最速となる「サンダーバード」9号は、大阪~金沢間267.6キロを2時間34分で結び、表定速度は時速104キロに達します。2021年現在、表定速度が時速100キロを超える在来線特急は、この「サンダーバード」のみとなっています。
2位以降の列車は、特急「ソニック」、「ライラック」・「カムイ」、「しらさぎ」、「あずさ」、「ひたち」などと、最高時速120キロ~130キロで走るJRの都市間特急が占めています。
北陸本線の「しらさぎ」「おはようエクスプレス」などや、常磐線の「ひたち」、函館本線などの「北斗」は、路線の線形が比較的良いため、高速巡航が可能な列車。一方、日豊本線の「ソニック」、中央本線の「あずさ」は、カーブが多い路線ながら、全列車に車体傾斜式車両を投入して曲線通過速度を向上し、表定速度を高めている列車です。
上位10列車のうち、私鉄で唯一ランクインしたのが、近畿日本鉄道(近鉄)の名阪特急「ひのとり」。一部区間に限られますが最高時速130キロで運転されており、日中時間帯の最速列車の所要時間は2時間5分。表定速度は時速91キロとなっています。
ちなみに、新幹線以外の路線で国内最速である「スカイライナー」は、表定速度は時速89キロ。最高速度こそ高い列車ですが、成田スカイアクセス線以外では速度が抑えられてしまうため、表定速度も低めとなっています。
また、特急列車以外で最も表定速度が高いのは、北越急行ほくほく線の超快速「スノーラビット」です。かつて時速160キロで運転していた在来線特急「はくたか」の性格を受け継ぎ、線内の停車駅を大幅に絞った列車で、最速列車の表定速度は時速88キロ。新幹線以外では最速となる「スカイライナー」に対して、表定速度では肉薄しています。
2021年度では、2020年度とランキングの順位が入れ替わることはありませんでしたが、2020年度最速だった「サンダーバード」37号(表定速度は時速106キロ)や、2位だった「ソニック」17・26・30号(表定速度は時速99キロ)が臨時列車化され、定期最速列車は所要時間が増えたことに。「ソニック」は「ダイナスター」と同率2位となってしまいました。また、「しらさぎ」も65号の所要時間が増加した結果、「あずさ」18号と同じ順位となっています。
一部列車の臨時化は、新型コロナウイルス感染拡大による利用者の減少を踏まえたもの。「サンダーバード」は37号を含む上下各4本、「ソニック」は速達タイプの上下各6本が、2021年3月のダイヤ改正で臨時列車化されています。また、3位にランクインした「ダイナスター」も、2020年度では3本の表定速度が時速97キロとなっていましたが、2021年3月のダイヤ改正で、1本は廃止、もう1本は所要時間が増加したため、表定速度の高い列車が減少してしまいました。