ミラーレス一眼選びのコツとは
いきなり本題の話になるが、ミラーレス一眼はそれまでのデジタル一眼レフと同じように、様々なシステムや性能がメーカーごとにあり、鉄道写真撮影の分野によっては使い分けができることすらある。よって「ミラーレス一眼選びのコツ」に必要なのは、まず自分がどのような撮影分野、撮影スタイルで鉄道写真を楽しむか、それを知っておくことが大切だ。
カメラがその撮影スタイルに合っていないと、撮影でミスをしたり、RAW現像などの後処理で大変なことになったりすることもある。カメラにも「適材適所」がある。それを踏まえて、大まかな鉄道写真の撮影スタイルに合わせた、私なりのミラーレス一眼選びのコツをお話しよう。
今回はメーカーごとに機種名は上げないので、以下のスペックを元に、好きなメーカーのカメラを検討したり、異なるメーカーの同クラス機種の比較検討などをしてほしい。
走行車両の編成写真撮影に合ったミラーレス一眼
改めて、編成写真とは、車両の先頭部から最後尾までフレームいっぱいに撮影する、記録的要素の大きい鉄道写真だ。線路際や駅などで、多くの車両好きなレイルファンが撮影している写真だ。
何を隠そう、私も走行車両の編成写真撮影は好きで、車両をきっちり撮ることもさることながら、車両をいかに格好よく、美しく撮るかにこだわり、思い描いたような画面バランスや色味、露出で撮れた時の喜びは格別である。また一瞬を狙うシューティングゲームのような楽しさもたまらない。
そんな編成写真に合うミラーレス一眼は、ずばり高速連写ができて、高感度特性の高い機種だ。また高画素機である必要もないだろう。私は2000万画素クラスでも十分と考える。特に編成写真をTwitterやInstagramなどのSNSに投稿して楽しむ人は、3000万画素を超える高画素な画像はオーバースペックだ。
確かに、3000万画素の画像は解像度を後処理で落とすこともできる。ただ、高画素機は画像が高画素であるために、高速連写性能が2000万画素クラスの機種より落ちていたり、高感度特性が落ちていることもある。
なぜ高画素機は高感度特性が落ちるかだが、同じサイズの3000万画素と2000万画素のイメージセンサーが有るとしよう。敷き詰められた画素センサーの大きさは、3000万画素の方が小さく、2000万画素の方が大きいというのは想像がつくはずだ。画素センサーは小さい方が緻密な表現ができる反面、受光する能力が小さくなる。
逆に、画素センサーの大きい2000万画素の方が受光能力は高く、その分少ない光も検知できるようになる。
走行列車の編成写真は、新幹線などの高速列車はもちろん、曇天時や夕暮れ時の暗い所でも高速シャッターを必要とすることが多い。だからこそ、カメラがどれだけの超高感度で撮れるか、また高感度での撮影時にどれだけきれいに撮れるかが重要になってくる。そのため、高画素機よりも高感度特性の高い2000万画素クラスが有利になるのだ。
もちろん、最近の高画素機であれば、画像処理エンジンの高性能化で高感度特性が高くなっている。しかし、同じ画像処理エンジンを乗せた2000万画素機の方が、さらに高感度特性が良くなるのは自明の理だ。
また、先に述べた高速連写性能においても、画素数の大きさが影響している。高画素機は緻密な画像が撮れる分、1枚の画像の容量が大きくなり、重くなる。よって、高速で何枚も記録し続けると、読み出しとカメラへの一次記録(バッファメモリ)に負荷がかかるので、高画素機は連写性能を落としがちになるのだ。
もちろん、最近のミラーレス一眼は高画素でも高速連写ができるように高性能化しているが、高感度特性の高性能化も相まって、目が飛び出るような高額になっている。
また、走行車両の編成写真撮影は、画面サイズも気になるところ。フルサイズはもちろん良いが、センサーサイズがコンパクトなAPS-C機やマイクロフォーサーズ機もおすすめだ。35mmフルサイズ換算の同じ焦点距離のレンズを使用した場合、フルサイズに比べてAPS-Cは望遠率が1.5~1.6倍になる。編成写真は望遠撮影が多いという人にとって、これは有利だろう。
また、アスペクト比が4:3のマイクロフォーサーズ機では、フルサイズ機やAPS-C機など、35mmのアスペクト比3:2と違って縦方向に伸びる。そのため、電気機関車や私鉄車両によく見られる、先頭部のパンタグラフが上がった状態(前パン)でもパンタグラフが切れることなく、バランスの良い編成写真が撮れるのが魅