JR東日本は8月19日、宇都宮線・日光線用に投入予定のE131系600番台を報道公開しました。
E131系は、ローカル線向けの直流型電車。2021年3月には房総エリアで0番台がデビューしており、秋ごろには相模線への導入も予定されています。
宇都宮線・日光線向けの編成は、3両編成の600番台。房総エリア向けにはなかった中間車が組み込まれています。導入本数は15本で、2022年春ごろに営業運転を開始する予定。宇都宮線小山~黒磯間、日光線宇都宮~日光間で、最大6両編成で運転されます。
車両の外観は、従来の205系より「日光らしいレトロ調」を継承。ただし側面帯には、宇都宮市の「火焔太鼓」の山車をイメージした黄色と茶色を配置しており、205系とは異なる印象を与えます。
また、従来の205系では、日光線仕様のデザインと、湘南色である宇都宮線仕様のデザインがありましたが、今回のE131系ではすべて同じデザインで製造するとのこと。205系の日光線仕様を継承したデザインではありますが、これを「宇都宮地区の色」と位置づけた、ということです。
車体は、房総エリア向け同様に、総合車両製作所のステンレス車両プラットフォーム「sustina」を採用。幅2950ミリの拡幅車体となっており、前面には貫通扉を設置しています。報道公開時には貫通幌を設置しており、2編成の連結時に貫通幌を接続することにも対応していますが、実際の運用は今後検討していくとのことで、デビュー時に貫通幌を使用するかについては触れられませんでした。
車内は、従来の205系同様にロングシートを採用。上野寄りの先頭車には車いす対応のトイレを設置しています。その他、17インチの案内表示画面の千鳥配置、各車両へのフリースペース設置など、バリアフリー対策が図られています。
また、ワンマン運転に対応した装備として、車外には乗降監視用カメラ、車内には防犯カメラを設置。非常通話装置も設置し、ワンマン運転時の安全を確保します。
600番台の機器面で特筆されるのは、中間車が片方の台車のみにモーターを設置する「0.5M車」となっていること。E131系では、房総エリア向けではモーター搭載車1両、非搭載車1両(1M1T)、相模線向けではモーター搭載車2両、非搭載車2両(2M2T)と、モーター搭載・非搭載の比率(MT比)を1:1としています。600番台でも、他番台と仕様を共通化すべく、3両中2両がモーター搭載車ながら、中間車では上野寄り台車のみにモーターを搭載することで、MT比率を他線向けと同じ1:1としました。
また、勾配線区である日光線に対応した仕様であることも特徴です。日光線は、25パーミルの勾配が連続する路線。そのため、従来の205系では、電気ブレーキを失効させないためのブレーキチョッパや、セラミック粒子を噴射する装置が取り付けられています。これらの装置はE131系600番台でも踏襲。安定した制動力を確保し、落ち葉シーズンや降霜時への対策としています。
このほか、架線に付着する霜への対策として、600番台では霜取り用のパンタグラフを黒磯寄りの先頭車に設置。JR東日本の車両では珍しい、いわゆる「前パン」の配置です。この霜取り用パンタグラフは、今後製造する600番台の全編成に搭載する予定だということです。
さらに、今後製造する編成のうち2本は、他線でも設置が進む線路設備モニタリング装置を搭載する予定となっています。
E131系600番台は、2022年春の営業運転開始を予定。相模線用の500番台より一足早く報道公開されましたが、デビューは500番台よりも後。宇都宮線と日光線という2路線での試運転が必要となることと、勾配線区向けの装備を搭載していることが理由のようです。
E131系のデビュー後は、宇都宮線と日光線用の205系は置き換えられることに。現在、日光線用編成としては、観光需要向けに改造した「いろは」が在籍していますが、同編成もE131系によって置き換えらえる予定だということです。
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スペシャル動画(1分38秒)