8両編成単位で柔軟な運用を可能に
当時、東北新幹線には1997年3月に開業したE3系「こまち」と併結する新型車両として8両編成のE2系が登場していました。しかし、E2系の乗車定員は630名で、増加する通勤需要を満たすことはできません。
そこで、E2系をベースに、オール2階建て車両としてリファインされたのがE4系です。E2系と同様8両編成を基本とし、山形新幹線400系や秋田新幹線E3系、あるいはE4系同士など、2本の編成を柔軟に併結できるよう設計されています。E4系同士を連結した場合は座席定員1634名と、高速鉄道として世界一の乗車定員を誇りました。
E4系は、E1系の登場からわずか3年あまりで登場した後継車両で、サービス面の多くをE1系から引き継いでいます。2階自由席はやはり3列×3列の非リクライニング6列シートですし、自由席のデッキには折り畳み式のジャンプシートが用意されています。
空力性能はE1系より大きく進化しました。現代の新幹線の先頭形状は、スピードを出すための流線形というよりは、特にトンネルで騒音を出さないためのデザインです。高速でトンネルに突入すると、内部の空気が圧縮されて反対側から押し出され、微気圧波と呼ばれる爆発音を発生させます。これを防ぐために、列車の先端部から徐々に車体断面を大きくすることで、ゆっくりとトンネルに入っていくのと同じ効果が得られます。
E1系の頃は、単純に先頭部を尖らせたくさび形でしたが、E2系、そしてE4系になると、3次曲面を多用してより効果的に微気圧波を抑える形状に進化しています。
通勤ラッシュ用の車両としても、山形新幹線などと併結する長距離列車としても活躍できる柔軟性を備え、文字通りマルチに活躍できる新幹線車両となったE4系は、E1系の3倍近い26編成208両が製造されて、東北・上越新幹線を中心に活躍しました。しかし、やがてE4系にも逆風が吹き始めます。それは、スピードとバリアフリーという問題でした。
次回は、E4系が引退する理由について、解説いたします。