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新車両リポート

JR東海では22年振りの新型一般車、315系登場!

2021年12月3日(金) 鉄道コムスタッフ 西中悠基

JR東海は12月3日、22年ぶりの新型一般型車両となる315系を、報道陣に公開しました。

22年ぶりの新型一般型車両となる315系
22年ぶりの新型一般型車両となる315系

先進性と親近感を表す外観デザイン

315系は、1999年デビューの313系以来となる新型一般型車両。これまでの311系や313系と同様、20メートル級3扉車という要素は共通ですが、オールロングシートの設備、同社在来線車両では初となる8両固定編成など、従来形式とは異なった車両となっています。

315系(左)と、同型式によって置き換えられる211系(右)
315系(左)と、同型式によって置き換えられる211系(右)

またこの車両は、車両メーカーの日本車輛製造が新たに展開するブランド「N-QUALIS」の第1号。新型台車の採用といった新コンセプトが投入されており、車内の製造銘板ステッカーも従来のものとは異なるデザインを採用しています。

外観デザインのコンセプトは、「先進性×親近感」。直線を使用した幾何学的な前面形状で「先進性」を表す一方、側面には同社のコーポレートカラーであるオレンジ色を配置し、「親近感」を表現しました。

JR東海のコーポレートカラーを配した側面
JR東海のコーポレートカラーを配した側面

前面・側面の行先表示器は、フルカラーLEDを採用。同社在来線車両では初めて日本語・英語の交互表示に対応しており、側面表示器では次駅停車駅の表示も可能です。

フルカラーLEDを採用した行先表示器
フルカラーLEDを採用した行先表示器

「快適な移動空間」を目指す車内

内装デザインのコンセプトは、「優しく安心感のある快適な移動空間」。天井を高くし、床面はグラデーションとすることで、開放感を感じられるデザインとしています。

「優しく安心感のある快適な移動空間」を目指した車内
「優しく安心感のある快適な移動空間」を目指した車内

車内の座席は、315系が置き換える211系と同様のロングシート。211系よりも座席幅が1センチ広い46センチとなったほか、座面形状の調整、袖仕切りの大型化などにより、乗り心地の向上を目指したといいます。

側面の窓ガラスには、同社では初となる赤外線・紫外線カットガラスを採用。これにより、同社車両としては初めて、窓カーテンが廃止されました。

赤外線・紫外線カットガラスを採用した側面窓
赤外線・紫外線カットガラスを採用した側面窓

冷房装置は大きな進化を遂げました。211系比では能力が約3割向上したほか、国内の鉄道車両では初めて、AIによる自動学習・制御最適化機能を導入。これまではドア開時や混雑時といった温度変化が発生した際、乗務員が手動で調整していましたが、この調整データをAIが学習することで、きめ細やかな制御を可能としたものです。

バリアフリー設備としては、全車両の中津川方に車いすスペースを設置。優先席は全車両の名古屋方に設置し、床面をオレンジ基調とすることでスペースを明確化しています。また、名古屋方先頭車の1号車には、車いすに対応したトイレを設けています。

1号車の車いすスペースとトイレ
1号車の車いすスペースとトイレ

そして、各扉の上部には、フルカラー液晶ディスプレイの車内案内表示器を設置。すでに中京圏の私鉄でも導入されている装備ですが、JR東海では初の装備となります。

扉上の車内案内表示器
扉上の車内案内表示器

また、昨今の車内セキュリティ強化の方針を受け、315系でも車内防犯カメラが導入されました。1両あたり5箇所の設置で、映像は運転台や指令所などでリアルタイムに確認できるといいます。

機器類も進化した315系

機器面ももちろん進化。VVVFインバータ制御装置の素子にはSiCを採用し、211系比で消費電力を約35%削減。同27%削減の313系よりも省エネ性能を向上しています。

また、地上へのデータ送信にも新たに対応しました。先述の防犯カメラ映像のほか、車両の各機器の動作状況をLTE回線によって地上へ送信することが可能となっており、この動作データを車両メンテナンスに活用することで、車両故障による列車遅延・運休を減らす狙いです。また、地上から車両への運行情報送信にも対応しており、車内表示器にて各路線の運行情報提供が可能となります。

先述の「N-QUALIS」の新要素の一つである「安全性向上台車」は、台車枠の溶接箇所を313系比で約6割削減。さらに「タンデム式軸箱支持形式」を採用しており、従来台車よりも信頼性や乗り心地を向上させています。

これらに加え、将来的には「非常走行用蓄電装置」も搭載する予定。駅間で停電によって停車してしまった場合でも、蓄電池の電力による自走や、空調装置などへの電力供給を可能としています。こちらは4・8号車に搭載予定で、2022年夏以降の後日装備品となっています。

蓄電池を搭載予定のサハ315形500番台(4号車)
蓄電池を搭載予定のサハ315形500番台(4号車)

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315系の見どころは?久しぶりのJR東海在来線一般型新型車両となる315系。取材時に筆者が気になった見どころをご紹介します。今回の製造分では8両編成となった315系。先頭部には電気連結器は装備されておらず、貫通幌のアタッチメントも未装備です。将来的には4両編成も登場する見込みとなっているため、数年後

315系は、2021年度から2025年度にかけて、352両を製造する予定。中央本線や東海道本線、関西本線など、名古屋・静岡都市圏を中心に順次投入し、211系や213系、311系を置き換えていきます。

営業運転の開始予定日は、2022年3月5日。第一陣として、2022年3月中に56両を投入する予定です。これにより、同社の211系のうち、国鉄時代に製造された4両編成2本が3月中旬に運転を終了し、JR東海の車両は全てJR化後に製造されたものとなります。

さらに2023年度中には、中央本線の名古屋~中津川間の旅客列車が、特急車両を除き、全て315系に統一される予定。廃車対象である211系のみならず、313系も315系に置き換えられ、他線区へと転用されることとなります。

なお、今後の詳細な投入計画については、JR東海の公式回答では「検討中」となっています。また投入路線についても、2020年1月の発表では「名古屋・静岡都市圏を中心に、中央本線、東海道本線、関西本線等」としていますが、この「東海道本線」が名古屋エリアか静岡エリアかについては、これも「検討中」という回答です。

 

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