JR東日本は18日、燃料電池車両「FV-E991系『HYBARI』」を報道公開しました。
FV-E991系は、水素を燃料とする燃料電池と、蓄電池を電源とするハイブリッドシステムを搭載した試験車両。愛称の「HYBARI」は、「"HY"drogen-"HYB"rid "A"dvanced "R"ail vehicle for "I"nnovation」(変革を起こす水素燃料電池と主回路用蓄電池ハイブリッドの先進鉄道車両)という意味を持たせています。
燃料電池とは、供給した燃料を用いて化学反応により発電する電池のこと。水素を用いる燃料電池では、水素と空気で高効率に発電し、かつ排出物は水だけ。従来のディーゼルエンジンなどを使用するシステムに対し、クリーンな発電システムを実現できます。
JR東日本では、試験用車両「NEトレイン」によって、2006年以降に燃料電池車両の試験を実施していました。また鉄道総合技術研究所(鉄道総研)でも、2006年より実車による試験を継続している段階で、営業用車両として実用化された例はありません。
一方、自動車業界においてはトヨタ自動車が水素を動力源とする燃料電池車の開発に積極的で、セダン型自動車の「トヨタ・MIRAI」や、燃料電池バス「SORA」、関連会社による燃料電池フォークリフトといった製品を展開しています。
今回のFV-E991系では、このトヨタが開発した燃料電池装置を搭載。燃料電池自動車の開発で培った知見に基づく協力を受け、試験を実施する予定です。
車両の外観は、 燃料電池の化学反応から生まれる水を、碧いしぶきと大地を潤すイメージでとらえ、スピード感と未来感を持たせたデザイン。前面や側面には、春の訪れを告げる鳥の「ひばり」をモチーフとしたロゴを配しています。
車内はロングシートの配置で、フリースペースや優先席も設置。試験用の車両ではありますが、EV-E301系をベースとした旅客用設備を有しています。また、試験用車両特有の装備として、窓にはカーテンを設置しています。
FV-E991系の実証試験は、2022年3月ごろに開始予定。鶴見線や南武支線(尻手~浜川崎間)、南武線尻手~武蔵中原間で試験を実施する予定となっています。