「末期色」からの方針転換はなぜ?
――JR西日本では、かつては「末期色」と呼ばれるようなデザインを採用していましたが、今回はなぜ、このような力を入れた車両デザインの企画を実現することができたのでしょうか。
地域と共に歩む会社でありたい、という思いがあったためです。車両の色を全エリアで同じ色にするのではなく、地域にそったカラーやデザインでありたい、という思いから、今回の企画に繋がりました。
――塗装が必要な鋼製車両から、塗装が不要なステンレス車両となったことで、コストが下がり、実現が可能になったということはありますか?
ワークショップでは、まずはコストは考えずに、地域に愛されることを大切に考え、デザインの検討を進めていきました。
また、2009年以降の塗装は、現行車両を単色とすることで将来的なコストの削減を目指していましたが、今回は真新しい新型の車両です。そのため、227系に合った色で、新しいデザインを追求しています。
――カラーリングは大きく力を入れていますが、車体デザインそのものを変更しようという話はなかったのでしょうか?
今回導入する227系の車体そのもののデザインは、225系や521系などと同じです。こちらは設計を共通化することで、さまざまなコストを低減する狙いがあります。
そのため、今回岡山・備後エリアに導入する車両デザインを検討する際も、元のデザインを大きく変えようという発想はなく、色に拘ろうという観点で進めていました。
――このデザインは「新しい地域色」とも言えると思うのですが、115系や213系、223系など、既存の車両をこの227系のデザインに揃える計画はないのでしょうか。
その予定はありません。
――個人的な印象ですが、今回の岡山・備後エリア向け車両では、以前に227系が導入された広島エリアや和歌山エリアよりも、盛り上がっているように見えます。
広島エリアでも、227系導入時に「Red Wing」という愛称を付けています。どちらが上、というわけではありませんが、私たちとしても、より深く、岡山・備後エリアの多くの人を巻き込んでいきたいと考えています。
――山陽本線へ投入されると、糸崎駅や三原駅などで、広島エリアの227系と並ぶ機会があります。
広島エリアの車両とは、競い合うのではなく、コラボレーションといった形で見ていただけると嬉しいです。同じ中国エリアを走る列車として、姉妹のように一体となって見られるようにありたいと考えています。
――愛称といえば、岡山支社でも227系の愛称を募集しているとのことですが、こちらは現在どのような応募があるのでしょうか。
愛称については、募集期間を半分過ぎたところですが(編集部注:取材日は6月2日)、現時点で600件ほどの応募があります。全国から応募をいただいており、名称についても、「Red Wing」のようなかっこいいものや、やわらかい印象の和風のものなど、さまざまです。
――広島エリアの車両では愛称を車体に描いていますが、岡山・備後エリア向け車両でも?
はい。場所は未定ですが、決定した愛称を車体に描く予定です。
今回のワークショップでは、普段車両に携わっていない部署の社員も参加しました。このような立場で新型車両のデザインに携わったことから、「楽しい仕事だった」「自分が携わった車両ということで、子どもにも伝えていきたい」という声がありました。
――最後に、あらためて新型車両導入に向けての意気込みをお聞かせください。
今回の227系は、岡山・備後エリアでは待望の新車となるので、社員はもちろん、地域の皆さまに愛される車両を作っていきたいと考えています。特に利用者の皆さまに愛着を持っていただけると嬉しいです。