2023年7月15日にデビューする予定の、東武鉄道の新型特急車両、N100系「スペーシア X」。現行の100系「スペーシア」の後継として投入されるもので、コンパートメントや「プレミアムシート」、「コックピットラウンジ」など、多彩な客室設備を提供する、同社の新たなフラッグシップ車両です。
営業運転はまだまだ先のことで、実車も完成していない段階ですが、車両デザインの発表直後からファンを中心に注目を集めています。まだ検討中や未発表の情報も多い中ではありますが、鉄道コムでは東武鉄道広報部に「スペーシア X」の気になることをいくつか質問しました。
先頭部の「電気連結器」の意味は?
まずは、先頭車両のデザインです。
現行「スペーシア」の100系をモチーフとしたという流線形の先頭車は、車内に「コックピットラウンジ」や「コックピットスイート」という、これまでにないような座席が設けられています。また、側面の窓は六角形となっており、周辺のデザインとあわせ、愛称の「X」をイメージしたものとなっています。
この先頭車で気になるのが、先頭部に設けられる「電気連結器」。加減速の指令や放送といった電気信号を伝えるためのもので、主に頻繁に増解結する車両に装備されるものです。この電気連結器を装備したということは、「スペーシア X」は他車両の増解結運用も想定されているのでしょうか?
東武鉄道によると、車両構造自体は他車両との併結に対応しているものの、現在のところ、併結しての営業運転の計画はない、ということです。たしかに、6両編成で製造される「スペーシア X」は、仮に500系「リバティ」と連結すると9両編成に。考えにくいですが、2両編成の一般車と連結しても8両となってしまいます。下今市駅や東武日光駅、鬼怒川温泉駅のホーム長は6両編成までの対応となっているため、現在の設備においては、「スペーシア X」と他形式を連結しての営業運転は難しい状況です。
なお、現行の「スペーシア」では先頭部の連結器は格納されていますが、「スペーシア X」では表に出た状態です。こちらについては、デザインとして連結器を格納する案もあったものの、メカニカルな印象を表現するため、あえて収納せずこのようなデザインとした、ということでした。
このほかにも、イラストや模型を見ると、先頭車両は他の車両よりも床面が一段高い、ハイデッカー構造に見える点が気になります。こちらについては、窓の下辺が中間車よりも高くなっているためにそう見えるということで、床面高さ自体は先頭車と中間車で同じということです。
余裕が多すぎる運用?その訳は
運用についても質問しました。「スペーシア X」の運行計画は、1日2~4往復。1日2往復を基本とし、多客期に4往復を運転するということです。
ところで、N100系の投入本数は4本の予定。全編成を運用に投入すると、1日1往復のみの運転と、かなり運用に余裕が生まれることになります。もちろん、車両の検査などの影響で、全ての編成が毎日稼働できるわけではありませんが、浅草~日光・鬼怒川方面を1日2~3往復程度走行している現行車両と比べると、運転本数は少なめです。
この点については、「より上質な乗車体験を提供するために、清掃やメンテナンスを十分に行ったり、車両にトラブル等が発生した際の予備車両として対応できるようにしております」と説明。サービスレベルが従来車両と大幅に異なるフラッグシップ車両ゆえ、各日に運用入りできる体制を整え、万が一の車両トラブル時にも対応す