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西九州新幹線開業

新幹線「かもめ」に試乗! 新たな新幹線の翼で長崎へ

2022年9月10日(土) 鉄道コムスタッフ 西中悠基

9月23日に、いよいよ長崎県内初の新幹線「西九州新幹線」が開業します。鉄道コムでは9月10日に、この西九州新幹線に一足早く試乗することができました。全国の新幹線ネットワークに加わる新たな路線の模様をお届けします。

西九州新幹線「かもめ」
西九州新幹線「かもめ」

「リレーかもめ」となる在来線特急車両に乗車

試乗会は佐賀駅から。885系に乗車し、新幹線の始発駅となる武雄温泉駅を目指します。

新幹線開業後は「リレーかもめ」にも使用される885系
新幹線開業後は「リレーかもめ」にも使用される885系
佐賀駅に試乗会の列車が入線
佐賀駅に試乗会の列車が入線

西九州新幹線は、1973年に整備計画が決定された「九州新幹線西九州ルート」のうち、武雄温泉~長崎間の路線名称です。この西九州ルートは、計画では博多~新鳥栖~長崎間を結ぶ路線ですが、諸事情により新鳥栖~武雄温泉間の建設計画は定まっていません。そのため、9月23日の開業時点では武雄温泉~長崎間の部分開業とされ、武雄温泉駅で在来線特急「リレーかもめ」と乗り継ぐ体系となりました。

885系は、新幹線開業前の時点では在来線特急「かもめ」などで使用されている車両。新幹線開業後は「みどり」「かささぎ」のほか、新幹線と接続する「リレーかもめ」でも使用され、これまで通り長崎へのアクセスの一部を担うこととなります。

車内の「リレーかもめ」表示
車内の「リレーかもめ」表示

10時ちょうどに佐賀駅を発車した列車は、長崎本線を快走。肥前山口駅から、これまで「かもめ」が走ってきた長崎本線ではなく、これからの長崎方面のメインルートとなる佐世保線へと入ります。

武雄温泉駅の到着は10時24分。臨時列車ということもあり、現行の「みどり」の21分前後よりも少々時間を要していました。なお、新幹線開業後に運転される「リレーかもめ」では、佐賀~武雄温泉間を最短18分で結ぶ予定です。

3分での対面接続を可能とした武雄温泉駅

武雄温泉駅は、新幹線ホームが2面2線、在来線ホームが3面2線という構成。従来の在来線ホーム3番のりばの南側に、新たに乗換用ホームとなる10番のりばが設置され、新幹線の11番のりばと対面乗り継ぎを可能としました。なお、かつての3番のりばと10番のりばは同じ線路を共有していますが、3番のりばには柵が設置されており、新幹線・リレー特急用ホームとその他在来線ホームは完全に分離されています。

武雄温泉駅の乗換用ホーム
武雄温泉駅の乗換用ホーム
武雄温泉駅の在来線ホーム。左側の線路はリレー特急用で、従来の在来線ホーム側には柵が設置されています
武雄温泉駅の在来線ホーム。左側の線路はリレー特急用で、従来の在来線ホーム側には柵が設置されています
武雄温泉駅新幹線側の駅舎
武雄温泉駅新幹線側の駅舎
武雄温泉駅新幹線側駅舎の内部
武雄温泉駅新幹線側駅舎の内部

武雄温泉~長崎間で開業する西九州新幹線は、武雄温泉駅で在来線特急と対面乗り換えを可能とすることで、佐賀方面と長崎方面の直通利用者の利便性を確保しました。この日ここまで乗車してきた列車は、開業後は特急「リレーかもめ」として運転され、武雄温泉駅で新幹線「かもめ」と同じホームで接続します。

この対面乗り換えは、かつての九州新幹線(鹿児島ルート)新八代~鹿児島中央間部分開業時代にも新八代駅で採用されていた方式。在来線特急が新幹線ホームへと乗り入れ、乗換改札の通過を不要とすることで、乗り換えのわずらわしさの低減が図られていました。新八代駅の乗り換えは2011年の九州新幹線鹿児島ルート全線開業で解消されましたが、約11年ぶりに九州内で復活することとなります。

ちなみに、同様の新幹線と在来線の対面乗換方式は、上越新幹線と特急「いなほ」が接続する新潟駅や、北海道新幹線と函館本線が接続する新函館北斗駅でも見られますが、新幹線と在来線を乗り換える際に改札を通過する必要がないのは、かつての新八代駅と、この武雄温泉駅のみ(ミニ新幹線や博多南線などを除く)です。

なお、新幹線開業後の武雄温泉駅の接続時間は3分。余裕がないように見えますが、かつての新八代駅で実績がある接続時間と同等で、仮に時間内で乗り換えが終わらない場合でも、接続列車は乗車終了を待って発車することになります。とはいえ、接続列車での乗り換え時には、駅構内をゆっくり見学する時間はなさそうです。

いよいよ新幹線「かもめ」へ

さて、いよいよ新幹線「かもめ」への乗車です。

いよいよ新幹線「かもめ」に乗車!
いよいよ新幹線「かもめ」に乗車!

西九州新幹線で使用されるのは、N700SのY編成。JR東海が開発したN700Sをベースとした6両編成です。九州新幹線の800系と同様、水戸岡鋭治さんがデザインを手掛けており、東海道・山陽新幹線のN700Sとは印象が異なる車両となっています。

車体側面には「かもめ」の文字が
車体側面には「かもめ」の文字が
車体側面に描かれたロゴ
車体側面に描かれたロゴ
パンタグラフカバーなどにもロゴが
パンタグラフカバーなどにもロゴが

車内の座席は、指定席が800系のものに近い、木材を多用したシートを2+2列で配置。自由席の座席は東海道・山陽新幹線のN700Sと同じものですが、シートモケットはJR九州オリジナルとしています。また、東海道・山陽新幹線のN700Sと同様に、全座席にコンセントが設置されています。

指定席車の車内。座席は800系のものに類似しています
指定席車の車内。座席は800系のものに類似しています
自由席車の車内。座席は東海道・山陽新幹線のN700Sと同じです
自由席車の車内。座席は東海道・山陽新幹線のN700Sと同じです

近年の新幹線はトンネル区間が多くを占めており、これは西九州新幹線も例外ではありません。かといって景色が全く望めないわけではなく、たとえば下り列車の嬉野温泉~新大村~諫早間では、進行方向右側から大村湾や長崎空港、西九州新幹線の大村車両基地を見ることができました。

車内から見えた大村車両基地
車内から見えた大村車両基地

西九州新幹線の駅は、武雄温泉、嬉野温泉、新大村、諫早、長崎の5駅。このうち、嬉野温泉駅と新大村駅は、新幹線開業にあわせて設置される新駅です。試乗列車は、ドアは開かないものの各駅に停車していき、途中駅の様子もわずかながら窺えました。

武雄温泉駅を出発してから約30分、列車は終点の長崎駅に到着。あっという間に完乗してしまいました。

大きな天井が特徴的な長崎駅新幹線ホーム
大きな天井が特徴的な長崎駅新幹線ホーム

終点の長崎駅は、新幹線最西端の駅。ホームは線路終端側に続いており、その端には「日本最西端の新幹線駅」の記念プレートが設置されています。

線路終端側に続くホーム
線路終端側に続くホーム
「日本最西端の新幹線駅」のプレート
「日本最西端の新幹線駅」のプレート

なお、途中駅での様子は降車が叶わなかったため不明ですが、武雄温泉駅の11番のりば(対面接続ホーム)は新幹線を撮影するには少々窮屈な構造。接続時間の短さもあるため、車両との記念撮影をするならば、長崎駅の方が向いています。

新幹線開業時に廃止される在来線特急「かもめ」と顔合わせ
新幹線開業時に廃止される在来線特急「かもめ」と顔合わせ

開業まで2週間を切った西九州新幹線。在来線特急の名前を引き継いだ新しい「かもめ」が、まもなく長崎の地に降り立とうとしています。

 

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