「これまで」と「これから」をつなぐ博覧会イベント「超駅博 上野」
「文化創造イベント」と銘打ち、駅で大規模に開催される今回のイベントですが、これにはJR東日本が目指す駅のあり方が根底にあります。
駅はもともと、目的地へ向かう際の通過点という要素の大きいものでした。しかし、2000年代に入り、JR東日本は駅を「便利に、楽しく」というコンセプトのもと、「通過する場所」から「集う場所」へと変貌させてきました。そして2022年、鉄道開業150年の節目に、街や暮らし、文化と歴史、地方、そして人と人が「つながる場所」へと、駅を進化させていくとしています。
「超駅博 上野」の開催コンセプトは、「文化とは、カタチなく伝承されてきた軌跡。150年を超えろ」。上野駅を文化創造の拠点と位置づけ、駅や旅の新たな姿を提案するほか、街や地方の文化、そして鉄道150年の歴史を、最先端の技術とともに楽しめる、博覧会のようなイベントとして企画されたものです。
ちなみに、鉄道が初めて走った新橋~横浜間ではなく、上野駅での開催とすることについては、「上野駅を次の150年に向けた新たな駅をつくるにあたってのモデル駅に選んだ」こと、「上野駅が『頭端駅』というターミナル駅特有のかたちであることを活かし、新橋~横浜間以外の様々な場所で150年の歴史を振り返れるようしたい」ことなどが理由であるそうです。
加えて、今回の対象地域は新潟・佐渡。新潟県では、佐渡の世界遺産登録を目指しており、プロモーションに積極的なことから、JR東日本でも今回テーマに取り上げたといいます。JR東日本 マーケティング本部 まちづくり部門 開発戦略ユニットでユニットリーダーを務める大澤実紀さんは、具体的な計画はないものの、今後は他の地域も取り上げていきたいと語っていました。
このような背景によって、新潟・佐渡がフォーカスされている今回のイベント。上野駅構内で、地域の伝統や文化、その魅力を楽しめるイベントが多数開催されます。
中央改札外グランドコンコースでは、「鬼太鼓」や「佐渡おけさ」といった伝統芸能が披露され、現地と変わらぬ迫力で伝統芸能の体験が可能。このほか、現地の音や香りが演出可能な特大パネルによる紹介コーナーや、新潟の産直市が登場します。
新幹線コンコースの待合室前スペースでは、今回のイベントにあわせ、Yo-Kai Expressによるラーメンの調理自動販売機を設置。同社がこれまで販売してきた「東京 Shoyu」や「一風堂 博多とんこつ」といったメニューに加え、新たに新潟ラーメン「燕三条 Se-Abura」を販売します。ラーメンは、注文から最短90秒で提供。インスタントラーメンとは異なり、お店のスタッフが作ったかのような仕上がりが特徴です。
「超駅博 上野」の開催期間は、2022年10月14日~30日の約2週間です。なお、「AR車両フォトスポット」は10月14日~16日、28日~30日の6日間のみの開催予定で、参加には事前申込が必要。ネットショップ「JRE MALL」にて「115系電車・EF64形電気機関車ファイル&コースターセット」を購入すると、フォトスポットに入場できる電子チケットが発行されます。販売価格は2000円で、1450セットの販売が予定されています。
開業から150周年の節目を迎え、新たな時代へ入りつつある日本の鉄道。「超駅博 上野」をきっかけに、鉄道がもっと愛される存在になるとともに、地域の活性化につながることが期待されます。