3月18日に開業した、相鉄・東急新横浜線。東急の車両が海老名駅や湘南台駅へ、相鉄の車両が渋谷駅や和光市駅などへ乗り入れ、東横線や副都心線を軸とする直通ネットワークが大幅に拡大します。
公表された開業時点でのダイヤでは、相鉄車が相鉄線から和光市駅、西高島平駅、浦和美園駅まで、東急車が相鉄各線(相鉄線横浜駅を含む)までとなっており、そのほかの事業者の車両が相鉄へ乗り入れることはありません。
加えて、相鉄ではJRとの直通運転も実施。12000系がJR線へ乗り入れ、E233系が相鉄線に入線しています。相鉄ではバラエティーに富んだ車両が見られるようになる一方、車両運用の制約はこれまで以上に強いものとなります。
やはり鉄道ファンとして気になるのは、これら車両が入線可能な路線ではないでしょうか。相鉄車が東武や西武に入線したり、相鉄20000系がJR線や目黒線へ直通したりすることはできるのでしょうか。相鉄の回答をもとに、考察しました。
相鉄20000系の目黒線直通は? 21000系の東横線直通は?
相鉄では、東急線との直通運転開始に先立ち、20000系と21000系という2つの形式を投入しました。
21000系は、10両編成を組む20000系に対し、8両編成として製造された車両。両数を除けば20000系とほぼ同じ車両です。これらは相互に直通区間を入れ替えて走ることは可能なのでしょうか。これを相鉄の広報担当者に聞くと、「システムが異なるために不可能」という答えが返ってきました。
目黒線や東京メトロ南北線、都営三田線、埼玉高速鉄道線のグループと、東横線や東京メトロ副都心線・有楽町線、東武東上線、西武線のグループでは、停止位置にピッタリ止めるための支援装置「TASC」用の車上子の設置位置が、若干異なっています。
仮に両車を入れ替えて走らせると、本来の停止位置から外れた場所に止まってしまうのです。特に東急線や地下鉄各線、埼玉高速鉄道ではホームドアを設置しているため、この停止位置のズレは許容範囲を超えてしまいます。
他にも、対応する無線装置の違いなど、20000系と21000系は細かい部分が異なります。そのため、20000系の中間2両を抜いて目黒線直通に使用する、ということは不可能となっています。
同様に、東急3020系が東横線で、5050系が目黒線で、それぞれ営業運転に就くことも不可能です。5050系が回送列車で目黒線を走ることはありますが、これは非営業列車だからこそ可能となっています。
では、システムが異なる両線の車両が、ともに新横浜線を走行できるのは、なぜなのでしょうか。その答えは、直通運転に使用される両数。東横線の直通列車は10両編成のみに限定することで、6・8両編成の目黒線直通列車と両数が同じにならないようにし、地上子も別々のものを使い分けているのです。
12000系の新横浜駅行きは可能? 東急線への直通は?
JR線直通用の12000系が新横浜駅へ入線したり、さらに東急線へと直通したりすることはできるのでしょうか。その鍵は、新横浜線のホームドアにあります。
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20000系のJR直通は可能? 東武車や西武車の相鉄直通は? プレミアム会員に登録すると、その直通実現性についての解説がご覧になれます。
新横浜駅両端のホームドアを見てみると、先頭車先頭ドアの部分では、開口部が他よりも広く取られています。これは、相鉄11000系や12000系といった、乗務員室直後の車両ドア位置が他とは異なる車両に対応するため。車体幅が20000系より広い両形式に対応するため、ホームドアと線路の間隔も若干開いています。