運転席の後ろがまるまる個室! 走るスイートルーム「コックピットスイート」
スペーシア Xの座席の中で、最も注目されるであろうものが、6号車端の「コックピットスイート」です。1編成に1つしかない個室で、なんと運転席の後ろがまるまる個室。「走るスイートルーム」がコンセプトで、プライベートジェットをイメージしたといいます。
個室の広さは11平方メートルで、私鉄特急では最大とのこと。4人用のコンパートメントに対し、こちらでは7人まで利用できます。また、ソファーは固定されていないため、乗客が自由に動かすことができるとのこと。もちろん安全には配慮されており、軽い力では動くことはないため、急停止時に椅子が飛んでいく、ということがないような設計としているそうです。
電車なのに天窓!? デッキから目を引くスペーシア X
スペーシア Xの1・6号車では、車内に入った瞬間から、乗客の気分を盛り上げる工夫が用意されました。
両先頭車のデッキには、天井に液晶ディスプレイを設置。「天窓表示器」として、日光や鬼怒川の自然を連想させる映像を流すといいます。今回の公開時はランダム表示でしたが、営業運転時には、たとえば日中は日光の杉並木、夜は美しい星空と、時間帯などに応じて映像を切り替えていくとのことです。
また、この2両のデッキでは、壁面にアロマディフューザーを埋め込んでおり、アロマオイルの香りでも旅気分を盛り上げていくといいます。
このほかの設備としては、ICカードによるロック機能を有する大型荷物置き場を、デッキ5か所に設置。また5号車には、東武鉄道としては初導入となる多目的室を設置しています。
見られることを考えて設計した運転席
特徴的な流線形の先頭部に設けられた乗務員室は、扉から運転席までの距離がかなりある、広めの空間。大きな窓の先頭部は前方視界が良好で、つまりは乗務員室を通した客室内からの前面展望も良好です。
先述したように、スペーシア Xでは客室内からの前面展望が可能。そのため、乗務員室の機器箱の上に乗務鞄を置いてしまうと、乗客の視界をさまたげてしまいます。そのため、運転席左側には鞄入れを設置。このように、乗務員室内は乗客から見られることを考えたつくりとなっているといいます。
スペーシア Xは、7月15日に営業運転を開始する予定。午前に浅草~東武日光間を、午後に浅草~鬼怒川温泉間を、それぞれ毎日1往復運転するほか、木・金・土休日には、浅草~東武日光間で、午前と午後の計2往復を追加で運転します。
浅草~東武日光・鬼怒川温泉間の大人特急料金は、スタンダードシート利用時が1940円で、スペーシアやリバティ(いずれも1650円)よりは少々高めの設定。プレミアムシート利用時の料金は2520円です。
その他の座席を利用する際は、スタンダードシート料金に加え、「特別座席料金」が必要。特別座席料金は、コックピットラウンジの1人用が200円、同2人用が400円、同4人用が800円、ボックスシートが1区画400円、コンパートメントが1室6040円、コックピットスイートが1室あたり1万2180円です。
車内サービスについては、4月現在では調整中だといい、詳細は改めて発表するとのこと。ただし、現在詰めている内容はかなり高いレベルのものを追求しているようで、筆者個人の感想ですが、「ここまでやるのか!」と驚くばかりです。