ニコンは10日、新型ミラーレスカメラ「Z 8」を発表しました。2021年に同社が発売したフラッグシップ機「Z 9」に続くフルサイズミラーレスカメラで、従来の「Z 7II」以上のスペックを持つ、プロ・ハイアマチュア向けモデルとなります。
Z 8は、Z 9の小型版ともいえるモデル。Z 9と差別化が図られている部分もありますが、多くの面でZ 9と同等の機能や性能を実現しています。
撮影素子としては、有効画素数約4571万画素の積層型CMOSセンサーを搭載。イメージセンサーの前にはセンサーシールドを設け、ミラーレスカメラの悩みであるレンズ交換時のゴミの付着を抑制します。
オートフォーカスまわりでは、人物や動物(犬、猫、鳥)のほか、鉄道、飛行機、自動車など、全9種類の被写体検出機能を搭載。被写体にあわせて合焦位置を追従するAF-C(コンティニュアスAFサーボ)において、ピントを車両先頭にピタリと合わせてくれます。鉄道とは関係ありませんが、飛行機の撮影では、旅客機や軍用機など、さまざまな形状の機体に対応しているとのこと。飛行機趣味との掛け持ちのユーザーにも嬉しい機能です。
このカメラには物理シャッターはなく、電子シャッターのみを用いる「メカシャッターレス機構」となっています。電子シャッターでは、高速移動する被写体が変形する「ローリングシャッター歪み」が表れてしまうのですが、Z 8では世界最速というスキャンレートを実現することで、これを最小限に抑えました。
連写性能は、標準で秒間約20コマ。さらに、約1100万画素のJPEG撮影という条件下ですが、秒間最大120コマの撮影が可能な「ハイスピードフレームキャプチャ+」も使用可能です。さらに「プリキャプチャ機能」も搭載し、シャッター全押しから最大で1秒さかのぼってJPEGで記録できます。
電子ビューファインダー(EVF)にはQuad-VGAパネルを採用し、Z 7IIなどよりも大きい画面で被写体の確認が可能。さらに、秒間120コマの連写時でも像の消失や表示飛び、同一画像表示が起きない「Real-Live Viewfinder」を採用しており、シャッターを切っているタイミングでも常に被写体を捉え続けることができます。
静止画だけでなく、動画撮影にも力を入れているのがZ 8。8.3K 60p対応の12bit N-RAWや、オーバーサンプリングによる高精細4K UHD 60pなど、プロユースで求められるさまざまな形式に対応しています。加えて、高精細なデジタルズーム「ハイレゾズーム」にも対応しており、レンズ操作なしにスムーズな動画のズームが可能です。
もちろん、ボディは防塵防滴対応。前面にはマグネシウム合金、背面などにはマグネシウム合金と同等の強度を持つ新素材「Sereebo Pシリーズ」を採用しています。これにより、フラッグシップデジタル一眼レフ「D6」相当を謳うZ 9には及びませんが、Z 8はデジタル一眼レフカメラ「D850」と同等以上の堅牢性や信頼性を確保しました。
背面モニターは縦横4軸チルト式で、縦位置、横位置とも、ハイアングルやローアングルでの撮影時にモニターを確認できます。また、「スターライトビュー」やボタンイルミネーション、赤色画面表示など、暗所での撮影機能も搭載。メモリーカードスロットは、CFexpress TypeB/XQDカード用とSDカード(UHS-II対応)用が1つずつとなりました。
撮影モードの設定は、Z 9同様にボタン式。Z 7のようにダイヤル式ではないので、不意にロックが外れ、知らない間に設定が変わってしまう、ということが防止できます。
機能面ではほとんどがZ 9を踏襲しており、「ミニZ 9」ともいえるZ 8。内部機構的には別物だとは言いますが、編集部で簡単にテストした限りでは、かなりZ 9に近い機能性を持つ製品だという印象を受けました。詳細なレビューは後日に譲りますが、Z 9と同様に、鉄道写真撮影で威力を発揮するカメラです。
Z 8の発売日は、5月26日。価格はオープンプライスで、想定価格は60万円前後です。