「スペーシア X」限定のビールやコーヒーを販売するカウンター
「コックピットラウンジ」がある1号車には、カフェカウンター「GOEN CAFE SPACIA X」(ゴエンカフェ スペーシアエックス)も設置されています。
このカフェカウンターでは、クラフトビールやクラフトコーヒー、スイーツなどが販売されます。看板商品であるビールとコーヒーは、この「スペーシア X」専用に開発された商品。その他の飲食品も、日光や栃木の食材を用いたさまざまな商品が用意されています。
かつての「スペーシア」では、車内カウンターでカレーなどが販売されていましたが、この「スペーシア X」では、食品はおつまみやスイーツなどの軽食のみ。この列車が日光・鬼怒川という行楽地で向かう列車であるため、目的地に着くまでに満腹にならないよう、あるいは浅草へ帰る際に余韻に浸れるよう、あえて軽めの食品をチョイスしたということです。
価格については、詳細は発表されていないものの、ビールとおつまみの組み合わせでは1500円ほど、コーヒーとスイーツの組み合わせでは1000円ほどになる予定ということです。
また、カフェカウンターの利用は、1号車の「コックピットラウンジ」の特急券を持つ乗客が優先とのこと。その他の車両の利用者は、事前にネット予約で整理券を発行する必要があります。商品の購入は現金は対応しておらず、クレジットカードまたは交通系ICカードのみが利用可能となります。
浅草駅から東武日光駅までは、およそ2時間の道のり。浅草駅を出て、東京スカイツリーを望み、荒川を渡り、都市部から住宅街、そして田園地帯へ……という、これまでの東武特急と同じ風景のうつろいです。
とはいえ、新型車両から見た景色は、どことなく新鮮。「スペーシア」や「リバティ」よりも窓は小さくなっている「スペーシア X」のスタンダードシート・プレミアムシートですが、2列で窓1つだった既存形式に対し、「スペーシア X」では1列につき窓1つという配置に変わったことが理由で、それほど圧迫感や閉塞感はありません。加えて、「景色を見たいのに、前列の人がカーテンを閉めたせいで、存分に見られない……」なんてこともなくなります。
先に紹介した車内設備は、スタンダードシートを中心に試してみましたが、いずれも乗り心地は良好。一番オーソドックスなスタンダードシートでも、「リバティ」では肘掛けにあったコンセントが座席背面に移設されており、使い勝手が向上しました。この座席なら、都心~日光・鬼怒川間のみならず、浅草~春日部間のような短距離でも利用したくなります。
試乗会訪問後に立ち寄った商店では、店員の方が「スペーシア X」を見て「あ、発車した!」と声を上げており、聞くとやはり注目している様子。新型特急としては2017年デビューの「リバティ」以来約6年ぶり、フラッグシップ特急としては1990年デビューの「スペーシア」以来約33年ぶりとなる「スペーシア X」は、地元でも期待度が高まっているようです。
「スペーシア X」の営業運転開始日は、7月15日。浅草~東武日光・鬼怒川間で、平日は計2往復、土休日は計4往復を運転するダイヤです。当初は「スペーシア X」は2編成のみですが、今後さらに2編成が増備される予定で、近い将来に運転本数も増える予定となっています。
浅草~東武日光・鬼怒川温泉間の大人特急料金は、スタンダードシート利用時が1940円、プレミアムシート利用時が2520円。その他の座席を利用する際は、スタンダードシート料金に加え、「特別座席料金」が必要です。
特別座席料金は、「コックピットラウンジ」の1人用が200円、同2人用が400円など、「ボックスシート」が1室400円、「コンパートメント」が1室6040円、「コックピットスイート」が1室あたり1万2180円となります。
当初はプラチナチケットとなりそうな特急券は、乗車日の1か月前の9時に発売。駅窓口や券売機のほか、6月15日にサービスを拡充するネット予約サービスでの予約が可能です。