東京メトロは8月6日、はとバス、昭和鉄道高校と共同で、親子向けのツアー企画「東京メトロ和光車両基地&昭和鉄道高校 探訪ツアー」を開催しました。
昭和鉄道高校は、池袋にある高等学校。全日制としては日本に二つしかない、鉄道の業務に関する授業を展開する高校です。ちなみに、もう一つの高校である岩倉高校では、2週間前の7月23日に、同様の「東京メトロ綾瀬工場&岩倉高校 探訪ツアー」が開催されています。
今回のツアーでは、参加者は東京メトロ有楽町線・副都心線の車両基地である和光検車区と、昭和鉄道高校の校舎を見学しました。いずれも、普段は部外者が入ることができない、鉄道好きの子どもにとっては見どころが多いスポットです。今回はその中から、和光検車区の見学の模様をご紹介します。
和光検車区は、有楽町線・副都心線の和光市駅から西に進んだ場所にあります。参加者は、池袋から車両基地まで、はとバスの二階建てバスで移動。直接車両基地に乗り入れました。
バスから降りてきたのは、親子連れ20組40人と、東京メトロやはとバスのスタッフ、そして昭和鉄道高校の生徒です。
昭和鉄道高校は、ただ校舎を公開するだけでなく、生徒からボランティアを募り、ツアーの参加者を案内する役目も担いました。ボランティアとして参加した生徒によると、参加希望者が定員よりも多く、抽選制となったということ。「子どもたちを案内してみたいという思いと、車両基地という珍しい場所を見たい気持ちもあった。将来は、この経験を就職に活かしたい」と、その動機を語ってくれました。
参加者のメニューは、車掌体験、洗車機通過体験、そしてヘッドマークを掲出した車両の前での記念撮影です。
車掌の体験は、実物の車両を使い、ドアを操作するというもの。順番待ちの参加者が退屈しないようにするためか、ドア上部の点検ふたは開けられ、開閉時の動きが見られるようになっていました。
また、ドアを閉める際には乗降促進メロディを流すことができ、普段あまり聞く機会のない音楽が車庫内に流れていました。余談ですが、東京メトロの乗降促進メロディは、各路線別に用意されており、さらに方向別(A線・B線)に別の曲が用意されているようです。
洗車機の通過体験は、車庫内にある自動洗車機を、電車に乗りながら通過するというもの。仕組みとしてはガソリンスタンドなどにある自動車用の洗車機に似ているのですが、電車用のものはなかなか体験できません。電車が洗車機を通ると、子どもたちからは「キャー!」と喜びの声が上がり、「洗車機でこんなに喜んでくれるんだ」と、東京メトロの社員も驚く盛り上がりを見せました。
ちなみに、普段の洗車業務は、10日に1回実施する車両検査にあわせて実施するとのこと。検車区全体では、1日あたり4回程度実施しているそうです。
記念撮影コーナーでは、有楽町線・副都心線を走る10000系・17000系の前で、参加者が思い思いにポーズを取って撮影する姿が見られました。車両には、昭和鉄道高校の生徒がデザインしたという、今回限定の特別ヘッドマークも掲出。思い出に花を添えました。
さらに、検車区の担当社員の計らいで、行先表示が普段は見ることのない珍しいものになるシーンも。参加者の子どもはもちろん、アテンド役の生徒も喜ぶサプライズでした。
これまた余談ですが、17000系や18000系には、「和光車両基地」など、車両基地名称を表示器に出すことができるようになっているということ。この日は「和光車両基地」「東京メトロ」の2つの珍しい表示が見られました。
和光検車区を後にした参加者は、次の見学場所である昭和鉄道高校へと向かいました。このツアーは、午前に検車区を見学するコースと、午後に検車区を見学するコースの2コースが設定されており、午後には別チームが検車区を見学したということです。
今回のツアーは、計40組80人が参加。先着順での受付でしたが、発売から6時間後には完売するという人気だったそうです。
ツアーを担当した、鉄道本部 CX・マーケティング部 課長の板倉良和さんは、「子どもたちの笑顔が見られたのが一番良かった。高校生の勉強の機会にもなるので、また開催できれば」と、イベントの様子を振り返り話しました。また、「親子向けには親子向けの内容で、鉄道ファンには鉄道ファン向けの内容で、ニーズにあったイベントを開催していきたい」と、今後もさまざまな層を対象にしたイベントの開催にも含みを持たせていました。