2023年の鉄道業界は、相鉄・東急の新横浜線や宇都宮でのライトレール開業、東武「スペーシア X」のデビューなど、話題となる内容が目白押しでした。
2024年は、鉄道業界ではどのような動きが予定されているのでしょうか。
東京と敦賀を直結! いよいよ北陸新幹線が延伸開業
3月16日、いよいよ北陸新幹線の金沢~敦賀間が開業します。
北陸新幹線は、首都圏と近畿圏を北陸経由で結ぶ計画の新幹線。これまで、1997年に高崎~長野間、2015年に長野~金沢間が開業しています。今度の延伸では、滋賀県にほど近い敦賀まで到達し、北陸全県をカバーすることに。東京駅から福井県へ鉄道でアクセスする場合、これまでは最低1度の乗り換えが必須でしたが、今後は新幹線1本で行くことができるようになります。
東京方面のアクセスが強化される一方で、大阪・名古屋方面と北陸を結んでいた在来線特急は、敦賀駅での乗り換えが必要となります。敦賀駅では、新幹線ホームの下に特急用ホームを設置。西九州新幹線の武雄温泉駅のような対面乗り換えではありませんが、乗り換えの利便性に配慮しています。
また、新幹線開業にあわせて、並行在来線となる北陸本線の金沢~敦賀間は経営分離されます。北陸本線は、敦賀~米原間約45.9キロのミニ「本線」に変化。JRで「本線」を名乗る路線(各線の総延長で計算)の中では、全国では3番目に短く、本州では最も短い路線となってしまいます。
その北陸本線を引き継ぐのが、IRいしかわ鉄道と、ハピラインふくい。前者は2015年の新幹線金沢延伸開業時に営業を開始した事業者で、今回新たに金沢~大聖寺間の経営を引き継ぎます。後者は今回の新幹線延伸にあわせて営業を開始する事業者。福井県内を中心とした、大聖寺~敦賀間の経営を引き継ぐことになります。
北陸新幹線の延伸開業は、新幹線の新区間開業としては、2022年9月の西九州新幹線以来です。国内では、北陸新幹線以外にも新幹線の新線建設が進んでいますが、2027年以降を目標とするリニア中央新幹線の品川~名古屋間、2030年度を目標とする北海道新幹線の新函館北斗~札幌間とも、工事の遅延で開業時期は不透明。今後しばらくは、北陸新幹線の金沢~敦賀間が、新幹線で最も新しい開業区間となります。
開業以来初めての延伸へ 箕面市へ向かう北大阪急行
北陸新幹線延伸開業の1週間後となる3月23日には、北大阪急行電鉄の南北線が、千里中央~箕面萱野間で延伸開業します。
この「南北線延伸線」は、現在営業している区間同様、新御堂筋に沿って南北を走る、約2.5キロの路線。1970年の千里中央駅の移転を除けば、同社では初の延伸開業です。
延伸開業区間の新駅は、終点の箕面萱野駅と、途中駅の箕面船場阪大前駅の2つ。これまで千里中央駅でバスを乗り継いでいた箕面萱野駅周辺~梅田間の所要時間は、バス利用時よりも10分程度短縮した24分となる予定です。さらに、箕面萱野駅にはバスターミナルが設けられ、周辺交通網の改善も図られます。
路線は、千里中央~箕面船場阪大前間が地下、箕面船場阪大前~箕面萱野間が高架線という構造です。ただし、線路は新御堂筋と並走しているものの、千里中央駅以南や大阪メトロ御堂筋線の高架区間と異なり、道路の中央に挟まれた構造ではありません。これまでの区間とは少し違った風景を走る北大阪急行の車両が見られることになりそうです。
ちなみに、大阪では来年(2024年度末ごろ)にも、大阪・関西万博の会場アクセス路線として、大阪メトロ(施設保有は大阪港トランスポートシステムのコスモスクエア~夢洲間が開業する予定。大阪では、2年連続で新線開業が見られることになります。
新幹線も在来線特急も! 次々登場の新型車両
2024年には、さまざまな新型車両のデビューが予定されています。
3月16日のダイヤ改正にあわせて、JR東日本では、E8系の営業運転を開始します。
E8系は、山形新幹線「つばさ」用の新型車両。既存のE3系よりもスピードアップした時速300キロでの営業運転に対応しており、「つばさ」の所要時間短縮を図ります。また、このダイヤ改正においては、東北新幹線内における「つばさ」の併結相手は、これまでのE2系からE5系へと変わる予定。E2系と「つばさ」の組み合わせは、ダイヤ改正で見納めとなります。
4月6日には、特急「やくも」の車両置き換え用として、JR西日本の273系がデビューします。
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「やくも」では、1982年の電車化以降、国鉄型特急電車の381系が、40年以上使用されてきました。この381系は、カーブ通過時の乗り心地を改善し、スピードアップを図るため、「振り子式」を採用した、日本初の電車。現在の車両で挙げると、「しなの」用383系や「ソニック」用883系、方式は異なりますがN7