鉄道コム

いま「乗るべき」「記録すべき」車両とは? 鉄道コム選定、大手私鉄車両の「記録推奨度」~西武編~

2024年9月14日(土) 鉄道コムスタッフ 西中悠基

大手私鉄では、最新型車両からベテラン車両まで、バリエーションゆたかな車両たちが活躍しています。ですが、鉄道車両に限りませんが、これらはいつかは引退する運命にあります。

西武鉄道の車両の今後は?
西武鉄道の車両の今後は?

鉄道車両の寿命は、通常では30~40年前後と言われていますが、その年齢に差し掛かりつつある車両が、見渡すとあちこちに存在しています。加えて、製造から15~20年が経過すれば、車体更新などで見た目が大きく変わることも。リニューアルによる内装の変化はもちろん、外観にも手が加えられることがあります。

そこで鉄道コムは、大手私鉄の鉄道車両たちを、編集部による「記録推奨度」とあわせてご紹介。引退が近づいている車両はもちろん、比較的新しい形式でも、増結や更新などの変化がありそうなものなどを勘案し、5段階でご案内します。

なお、この記事は決して「引退が近い!」と煽るわけではありません。しかし、鉄道車両が引退する直前になると多くのファンが集まり、そしてトラブルが発生することが多く見られる近年では、普段からの記録が重要です。「もしかすると……」という不安が杞憂に終われば良いですが、形あるものはいつかは消えてしまいます。直前になって後悔するよりも、気になる車両は(もちろん最新型車両でも)今のうちから記録してみませんか?

西武001系「Laview」

【しばらく安泰、ただし増備もなさそう】記録推奨度:★☆☆☆☆

Laviewラビュー」の愛称を持つ001系は、2019年にデビューした特急型車両。建築家の妹島和世さんが、「都市や自然のなかでやわらかく風景に溶け込む特急」「みんながくつろげるリビングのような特急」などをコンセプトにデザインした車両で、沿線風景を写すシルバー塗装の外観、大きな窓や温かみのある車内配色など、従来の車両にはなかったデザインが特徴的です。これまでに8両編成7本が製造され、池袋線の特急「ちちぶ」「むさし」を中心に活躍しています。

「Laview」の愛称がある001系
「Laview」の愛称がある001系

10000系「レッドアロー」の置き換えを目的に製造され、池袋線では置き換えを完了した001系ですが、2024年現在、新宿線での定期運用はありません。また、001系の先頭部には非常扉があり、地下鉄直通に対応しているのですが、現時点で地下鉄直通も実現していません。今後、仮に新宿線への投入や地下鉄直通を実現するのであれば、001系はさらなる増備が必要となりますが、近年の西武は直流モーター車(2000系や新101系など)の置き換えを優先する姿勢を示しています。フラッグシップ車両である001系は、今後しばらくは安泰ではありますが、一方で当面の間は増備や運用拡大も望めなさそうです。

西武10000系「ニューレッドアロー」

【新宿線でもまもなく置き換えか】記録推奨度:★★★★☆

10000系は、「ニューレッドアロー」の愛称を持つ特急型車両。かつては池袋線・新宿線双方の特急列車で活躍していましたが、池袋線については001系「Laview」に置き換えられ、2024年現在は新宿線の「小江戸」でのみ活躍しています。

新宿線の特急「小江戸」で活躍する10000系
新宿線の特急「小江戸」で活躍する10000系

池袋線での001系デビュー後も、新宿線では運用が続いていた10000系ですが、西武は2024年度の設備投資計画において、10000系を今後新たな車両へ置き換えるとともに、有料着席サービスの刷新も検討していると発表しています。新たなサービスの提供車両については、2026年度中の運行開始を予定しているとのこと。新宿線の10000系も、まもなく置き換えられることになりそうです。

「Laview」(左)に置き換えられた10000系(右)。画像の編成は、先代の5000系「レッドアロー」を模した塗装をまとっていましたが、2021年に引退しています
「Laview」(左)に置き換えられた10000系(右)。画像の編成は、先代の5000系「レッドアロー」を模した塗装をまとっていましたが、2021年に引退しています

西武9000系

【見た目は古くとも足回りは新しめ、全廃はまだ先?】記録推奨度:★★★☆☆

9000系は、1993年に製造が開始された車両。101系の床下機器と、新2000系に類似した車体を組み合わせた車両です。2000系では、2、4、6、8両と、長短さまざまな両数の編成が製造されましたが、9000系は製造直後の一時期を除き、全編成が10両貫通編成として落成。池袋線や新宿線の優等列車を中心とした運用に就いていました。なお、101系由来の制御装置やモーターなどは、2000年代に機器更新を受けて交換されています。

10両編成で活躍していたころの9000系。画像の9103編成は2014年から、京急とのコラボ企画により、京急風の塗装となっていました
10両編成で活躍していたころの9000系。画像の9103編成は2014年から、京急とのコラボ企画により、京急風の塗装となっていました

20年近く地上線の一般優等列車を中心に活躍してきた9000系ですが、40000系の導入により、2017年には廃車が始まっています。また、多摩湖線国分寺駅のホームドア設置に対応するため、廃車を免れた編成も、4両に編成を短縮し、ワンマン化改造を受けて、多摩湖線へと転属。同線で使われてきた新101系を置き換えました。2024年現在、9000系は4両編成5本が在籍。多摩湖線のほか、極まれに西武園線の運用に入ることもあります。

4両編成となり、ワンマン対応車両となった9000系。主に多摩湖線の運用に就いています
4両編成となり、ワンマン対応車両となった9000系。主に多摩湖線の運用に就いています
上の京急風塗装となっていた9103編成も、今は赤一色(色褪せてピンク色のようになっていますが)の塗装で活躍しています
上の京急風塗装となっていた9103編成も、今は赤一色(色褪せてピンク色のようになっていますが)の塗装で活躍しています

残り10845文字/全文:15135文字

この続きはプレミアム会員になるとご覧になれます

プレミアムサービスのご案内 / 会員の方はチェックイン

プレミアム会員の入会はこちらから

西武では現在、他社からの中古車両「サステナ車両」の導入計画を進めており、現在9000系が活躍している多摩湖線も、導入対象路線の一つに挙げられています。一方、サステナ車両の導入目的は、同社車両すべてのVVVFインバータ制御化。すでにVVVFインバータ制御となっている9000系は、置き換えが急務な車両で

 

鉄道コムの最新情報をプッシュ通知でお知らせします無料で受け取りますか?

アンケート

このリポート記事について、よろしければ、あなたの評価を5段階でお聞かせください。

鉄道コムおすすめ情報

画像

登場時デザイン撮影会で

京急600形30周年にあわせた撮影会が12月に開催。600形デビュー時デザインが撮影会限定で復活。

画像

東武の車両「記録推奨度」

この車両、いつまで走る? 引退が危ぶまれる車両や、見た目が変わりそうな車両をご紹介。今回は東武編です。

画像

4000系が「機関車風」塗装に

「西武秩父線開通55周年記念車両」11日運転開始。4000系をE851形を模した塗装に変更。

画像

撮影スタイルとレンズ選び

撮影スタイルにあったレンズ選びについて、プロカメラマンが解説! 今回は、高倍率ズーム・広角レンズ編です。

画像

京都鉄博に381系

12月12日~17日に特別展示。16日までは、一部で「スーパーくろしお」色ラッピングも実施。

画像

11月の鉄道イベント一覧

数百件の情報を掲載中。鉄道旅行や撮影の計画には、鉄道コムのイベント情報をどうぞ。