2024年の鉄道業界は、北陸新幹線の延伸開業や、「やくも」用273系のデビューといった話題がありました。
2025年は、鉄道もアクセスで重要な役目を担うこととなる「大阪・関西万博」の開催が予定されているなど、さまざまな話題が目白押し。現在予定されている内容を見ていきましょう。
いよいよ大阪・関西万博開幕! 鉄道の対応は
2025年の目玉イベントといえるのが、「2025年日本国際博覧会」こと「大阪・関西万博」。大阪市の夢洲(ゆめしま)を舞台に、4月13日から10月13日までの半年間にわたって開催される国際博覧会です。日本開催の登録博としては、2005年の「愛知万博」以来、20年ぶりの開催となります。
万博という一大イベントの開催に際しては、アクセス手段の整備が重要です。今回の万博では、大阪メトロとJR西日本の路線が、アクセスルートとして機能します。
大阪メトロでは、万博開幕に先立つ1月19日に、大阪メトロ中央線を延伸します。開業する新駅は「夢洲駅」。万博会場と同じ夢洲にある駅で、万博開幕後は同線がメインのアクセスルートとなりそうです。
万博開催期間中の中央線では、「子ども専用列車」と「子ども優先列車」という臨時列車が走ります。いずれも学校団体の利用に応じて運転する列車で、特に専用列車は大阪メトロでは珍しい通過運転も実施するとのこと。これらの詳細な時刻は現時点で発表されていませんが、一般列車と交互に走るとのこと。中央線は、ピーク時は最短2分30秒間隔での運転となります。
JR西日本では、JRゆめ咲線(桜島線)の終点、桜島駅をアクセスポイントの一つとして位置づけます。同駅と万博会場の間ではシャトルバスを運行する計画で、JR線とバスを乗り継ぐことで、大阪市中心部とのアクセスを確保する狙いです。
JRゆめ咲線などでは、万博開催にあわせ、新大阪駅と桜島駅を直結する臨時列車「エキスポライナー」が運転されます。梅田貨物線(大阪駅うめきたエリア)を経由して走る列車で、運転本数は、新大阪駅発が14本、桜島駅発が12本。一部時間帯を除き、おおむね60分間隔での運転となります。
エキスポライナーでは、主に特別仕様車両の「JR WEST Parade Train」が使われる予定です。大阪環状線用の323系を改造したこの車両は、桜島駅寄りの先頭車1両が特別仕様に。車内では、広告枠部分にLEDパネルが設置されており、カメラがとらえた外の風景の映像が映し出されます。また、AR技術を用いてさまざまなコンテンツも登場する予定で、まるでオープンカーのような体験が楽しめるということです。
「幸せの新幹線」ドクターイエロー、2本中1本が引退
東海道新幹線を走る新幹線車両は、ほとんどが白地に青帯の入ったデザインですが、1形式だけ、黄色の車両が存在します。「新幹線電気軌道総合試験車」こと923形がそれで、「ドクターイエロー」の愛称を持っています。
「新幹線のお医者さん」とも例えられるドクターイエローは、走行しながら新幹線の線路や架線、信号・通信設備などの状態をチェックできる車両。10日に1度程度の割合で、東海道・山陽新幹線を走行しています。東海道新幹線は、今や時速285キロで走る「のぞみ」が1時間あたり最大12本も運転される路線ですが、そのような高頻度・高速運転を支えている裏方のひとつが、このドクターイエローなのです。
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ドクターイエローの車内そんな新幹線の安全運行に欠かせないドクターイエローは、JR東海持ちのT4編成と、JR西日本所有のT5編成の、2つの編成があります。前者のT4編成は、2025年1月に検測業務を終了し、引退する予定。老朽化が理由だといいます。今後は、残るT5編成による検測が続けられますが、こちらも