日本漢字能力検定協会が毎年発表している「今年の漢字」。2024年は「金」となりました。公募によって決定する、1年の世相を表す毎年恒例の企画ですが、今回はオリンピック・パラリンピックの金メダル、政治問題や物価高騰といったワードから、この文字が選ばれたといいます。
「金」には「お金(金銭)」や「金色」など、さまざまな意味があります。今回は、後者の意味にちなみ、金色をまとった鉄道車両たちをご紹介しましょう。
まずは、東武鉄道の100系「スペーシア」。複数のカラーリングが存在する同形式ですが、うち2本は金色が目立つ見た目です。「日光詣」として登場した特別仕様車で、そのカラーリングは、日光東照宮など日光の寺社をモチーフとしています。
エッチングも目立つ金ピカな車両が、JR九州のD&S列車「或る列車」。2024年現在は博多~由布院間のツアー列車で走る観光列車です。元ネタとなったのは、鉄道模型の製作・収集家である原信太郎さんが製作した「模型」。原さんは、九州鉄道(現在のJR九州の路線網を作り上げた私鉄)が発注したものの、国有化により活躍することがなかったという悲運の車両「九州鉄道ブリル客車」をモチーフに、「或る列車」という模型を製作しました。JR九州にデザインを任された水戸岡鋭治さんは、この模型をモチーフとして新たなD&S列車をデザイン。そして既存車両を改造し生まれたのが、この「或る列車」です。
東急電鉄の5050系4000番台4110編成「Shibuya Hikarie号」は、「渋谷ヒカリエ」の開館1周年を記念して、2012年に登場した特別仕様車。外観は渋谷ヒカリエをイメージしたゴールドをメインカラーとし、車内も通常の車両と異なるデザインとなっています。この編成は、東急東横線のほか、みなとみらい線や東京メトロ副都心線なども走っており、いつ出会えるかは運しだいです。
大阪を走る金ピカ特急が、泉北高速鉄道の12000系。主に難波~和泉中央間の「泉北ライナー」で活躍しています。金色となったのは、「アメリカのゴールドラッシュのように泉北地域に人が集まるよう」という願いを込めたのだとか。また、車内のデッキ付近も、「非日常を感じさせる特別な仕様」として、黄金の空間となっています。2017年にデビューしたこの車両ですが、2024年5月には、金色ベースの新デザインに外観を改めています。
伊豆箱根鉄道の7000系では、7502編成の先頭部が、2017年から金色となっています。同編成は、近年は「ラブライブ!」シリーズのラッピング車両として運転されており、現在は同シリーズのアニメ「幻日のヨハネ-SUNSHINE in the MIRROR-」とコラボした「YOHANE TRAIN」となっています。
富士山のふもとを走るのが、富士山麓電気鉄道の6000系6701編成。JR東日本の中古車両として2019年に導入された編成ですが、同年は大月~富士吉田(現:富士山)間の開業90周年というタイミング。同編成は、これを記念した特別車両となっており、金色の車体に富士山を描いたデザインで、導入から5年が経った今も運転されています。
中国地方を走る金色車両は、井原鉄道の「アート列車」です。倉敷市にある大原美術館の収蔵作品を車内外にラッピングした車両で、車外のほか、車内の壁、天井はすべて金色。これは作品の額縁をイメージしたのだそうです。
ちょっと上品な色使いをしているのが、JR東日本の「TRAIN SUITE 四季島」。他の車両とは異なり、「シャンパンゴールド」をベースにした、オリジナルの落ち着いた色を採用しています。この車両は、東日本エリアを数日かけて走る「クルーズトレイン」。乗車コースの参加料金は、現在募集している2025年夏のコースを例にとると、最低でも1人44万円、最高では1人195万円という、JR東日本イチの豪華列車です。