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新車両リポート

ある意味「53年ぶり」の新型車両? システム面も特徴が! 京成3200形を詳しく見る

2025年1月25日(土) 鉄道コムスタッフ 西中悠基

京成電鉄は24日、新型の一般型車両「3200形」を、報道陣に公開しました。

京成電鉄の新型車両、3200形
京成電鉄の新型車両、3200形

3200形は、2019年デビューの3100形以来となる新型車両です。これまで京成が導入してきた3600形(1982年デビュー)以降の車両とは異なり、編成を4両から8両まで2両単位で組み替えることができる、「フレキシブルな車両」として開発されました。

今までの京成の車両とは異なる仕組みで登場した新型車両。その中身をご紹介します。

京成では久々の「貫通型」車両

まずは、3200形の外観を見ていきましょう。

先述したように、3200形は2両単位で編成を組みかえることができる車両です。運転台つき車両が中間に入った際に通り抜けを可能とするため、3200形では正面の中央部に貫通扉を設置した、貫通型の車両となりました。

正面の中央部に貫通扉を設置した3200形
正面の中央部に貫通扉を設置した3200形

京成では、戦前に導入した一部の車両や、「開運号」用、「スカイライナー」用といった特急車両を除き、大部分の車両で車両正面に扉を設置してきました。ただし、3700形から3100形までの車両では、扉の位置をオフセットした非常扉の設置となっており、先頭車の正面中央部に貫通扉を設置した車両は長らく導入されていませんでした。

もちろん貫通幌の設置も対応しています
もちろん貫通幌の設置も対応しています

車体はステンレス製で、日本車輛製造の「日車式ブロック工法」を採用。3100形と同様、3000形以来の車体設計を使用しています。

2003年デビューの京成3000形。3200形とはデビュー年に20年以上も差がある車両ですが、3200形の車体の設計は3000形以来のものが引き継がれています
2003年デビューの京成3000形。3200形とはデビュー年に20年以上も差がある車両ですが、3200形の車体の設計は3000形以来のものが引き継がれています

カラーリングは、3700形以来の京成車の色となった、赤帯と青帯の2色を採用しました。しかし、同じ2色の帯を採用する3000形などとは異なり、3200形の青帯は車体上部に配置されています。

京成伝統の赤帯と青帯を採用。ただし青帯は車両上部に配置されました
京成伝統の赤帯と青帯を採用。ただし青帯は車両上部に配置されました

2019年デビューの3100形では、先頭形状に丸みをつけてシャープにし、先頭部から車体上部にラインカラーが流れるようなデザインとなっており、3200形もこれを踏襲した形です。ただし、3100形では側面に飛行機の絵や成田山などの周辺施設を赤・青色で描いていましたが、3200形では帯色のみのシンプルなものとなっています。

2019年デビューの3100形。3200形のデザインは3100形を踏襲しています
2019年デビューの3100形。3200形のデザインは3100形を踏襲しています

表示器は3100形と同様の大型フルカラーLEDを採用。3200形では、途中駅で種別が変わる列車に対応する表示が、新たに可能となりました。京成では、成田方面からの京成上野駅行き列車が、京成高砂駅で種別を快速から普通に変更する、といったように、途中駅で種別を変える列車がいくつか存在しています。このような場合、これまでの車両では京成高砂駅までは「快速・京成高砂」と表示し、京成高砂駅で行先・種別表示を変えるのみでした。今回の3200形では、表示器で「京成高砂から普通 京成上野行」といったような表示が可能となるため、利用者への案内が強化されます。

正面の行先種別表示周辺。LED表示器は、撮影時はシャッタースピード1000分の1秒まで表示が切れることはありませんでした
正面の行先種別表示周辺。LED表示器は、撮影時はシャッタースピード1000分の1秒まで表示が切れることはありませんでした
側面の行先種別表示器。途中駅での種別変更を案内する表示が可能です
側面の行先種別表示器。途中駅での種別変更を案内する表示が可能です

先頭車が入る中間連結部では、「転落防止幌」が先頭車側にはないため、通常よりも旅客が転落するおそれがあります。そのため、先頭車が中間に組成された場合には、ドアが開いている際、「車両連結部です」という警告音声が流れるようになっています。

乗務員室後ろの座席が消滅、ただし「こだわり」も

車内は一般的なつくりです。座席はロングシートで、3100形では空港利用者を想定して採用した折り畳み椅子式荷物スペースは、3200形には設置されていません。また、先頭車には車いすスペース、中間車にはフリースペースが設けられています。

3200形の車内
3200形の車内
先頭車には車いすスペースを設置(左)。このほか、中間車にはフリースペースが設けられています
先頭車には車いすスペースを設置(左)。このほか、中間車にはフリースペースが設けられています

座席のモケットは、日本を代表する花である「ソメイヨシノ」「なのはな」をモチーフとし、京成線沿線地域を想起させるデザインとしたといいます。座席背もたれは、3100形の「ハイバック式」ではなく、通常の高さとなりました。

通常の席のモケットは寒色系の色。柄は、ソメイヨシノやなのはなをモチーフとしています
通常の席のモケットは寒色系の色。柄は、ソメイヨシノやなのはなをモチーフとしています
優先席のモケットは暖色系の色
優先席のモケットは暖色系の色

扉の上には、17インチワイドLCDによる車内案内表示装置を設置。3100形と同様のもので、右側の画面で停車駅などの案内、左側の画面で広告映像を配信します。

扉上のLCD車内案内表示装置
扉上のLCD車内案内表示装置

扉上LCDの横には、防犯カメラ(ただし1両あたり3か所)も設置されています。京成初の取り組みとして、車内の非常通話装置が使用された際は、この防犯カメラの映像を乗務員室から確認できるようになりました。

車内で大きく変わった部分が、乗務員室直後の座席が消えたことです。これまでの京成の車両では、より多くの利用者が座れるよう、また展望を楽しめるよう、乗務員室直後に2~3人掛けの座席を設置していました。しかし、3200形では搭載機器が従来車よりも増えたため、ここに座席を設置するスペースは確保できませんでした。しかし、京成ではこの位置へのこだわりがあったようで、立席利用者に配慮した腰当てが設置されました。腰当て自体は3100形のフリースペースで採用されていましたが(3200形フリースペースでも設置)、この部分のものは1人用の小さなサイズとなっています。なお、3100形までは乗務員室直後にあった戸袋窓も、3200形ではスペースの都合上消滅しています。

乗務員室の直後
乗務員室の直後
乗務員室直後の座席はなくなり、腰当てが設置されました。この場所にあった戸袋窓も消えています
乗務員室直後の座席はなくなり、腰当てが設置されました。この場所にあった戸袋窓も消えています

ワンマン運転に対応した運転台

3200形では、貫通扉を設置した関係で、運転台スペースが3100形以前よりも小さくなりました。また、モニタ装置の画面が、速度計などと同じパネルの向かって右側に設置されているため、これまでの車両とは少し印象が異なっています。

3200形の乗務員室
3200形の乗務員室
3200形の運転台。計器類がむき出しとなりました。右側にはモニタ装置の画面も
3200形の運転台。計器類がむき出しとなりました。右側にはモニタ装置の画面も
(参考)3100形の運転台
(参考)3100形の運転台

また、3200形ではワンマン運転を想定し、関連機器が設置されています。運転台上にはカメラの監視画面を設置。先述した非常通話装置動作時の防犯カメラ映像は、この画面で確認できます。また、車側カメラが設置された際にはこのモニタで映像を確認できるようですが、車側カメラは現時点では未設置です。

ワンマン・ツーマン切換用のスイッチ。運転席の背後にあります
ワンマン・ツーマン切換用のスイッチ。運転席の背後にあります
現時点で車側カメラは未設置ですが、各車の両端にカメラ設置用と思われる構造が見受けられます
現時点で車側カメラは未設置ですが、各車の両端にカメラ設置用と思われる構造が見受けられます

自動放送は、京成全線の放送データを車両側に取り込んで対応するとのことです。これまでの車両(成田スカイアクセス線用車両の同線運用時や特急型車両を除く)では、タブレット端末を接続することで自動放送に対応していました。

細かなこだわりが、女性の車掌を想定したという「踏み台」。3200形では、機器が増加した結果、乗務員室直後の窓が少し遠い位置になりました。車掌は、放送の音量をチェックするためにこの窓を開けることがあるのですが、特に小柄な女性の車掌では、そのままでは手が届かない、届きにくいのでは、と考えたとのこと。そのため、車掌台に小さなへこみを設け、そこを踏み台とすることで、窓に手が届きやすいように配慮したのだといいます。

中央のくぼみが、小柄な女性の車掌を想定した踏み台だそう
中央のくぼみが、小柄な女性の車掌を想定した踏み台だそう

なお、先頭車が編成中間に入った場合には、先頭の貫通扉や、乗務員室内の折り畳み式仕切り壁を使用することで、乗務員室と通路を区切ることができます。

編成中間に入った先頭車の乗務員室
編成中間に入った先頭車の乗務員室

物々しい「電気連結器」

制御装置は、ハイブリッドSiC素子を適用したVVVFインバータを採用。3200形が置き換える3500形との比較では、約69パーセントの電力使用量削減を実現したといいます。ちなみに、形式名は「RG6045-A-M」で、3100形と同じ形式です。

3200形の制御装置。ハイブリッドSiC素子を適用したVVVFインバータで、形式名は「RG6045-A-M」です
3200形の制御装置。ハイブリッドSiC素子を適用したVVVFインバータで、形式名は「RG6045-A-M」です

3200形はすべての車両がモーターつきの「全電動車」ですが、すべての車輪がモーターつきではありません。2号車と4号車は全軸がモーターつきですが、1号車と3号車は連結面寄りの2軸(1台車分)がモーターなしとなっています。

この車両の特徴である分割に対応するため、3200形では「電気連結器」を搭載しました。機械的な連結器の下に、加減速の指令やドア開閉といった操作を伝送するための電気的な接合部を設けたもので、京成の車両では初導入となります。

3200形の電気連結器
3200形の電気連結器

電気連結器は、京成と相互直通運転している京急の車両にも搭載されているのですが、3200形のものは京急のものよりも物々しい雰囲気。上下左右の4つから構成される構造となっています。内容は、直流100ボルト、三相交流といった車内電源用、制御系の伝送用(メタル線を使用)のほか、モニタ装置の情報伝送用にイーサネット対応のものを設置しているとのこと。この電気連結器は、先頭車はもちろん、先頭車と連結することがある中間車の2・3号車間にも設置されています。

2・3号車は中間車どうしの連結部ですが、電気連結器が設置されています
2・3号車は中間車どうしの連結部ですが、電気連結器が設置されています

なお、京成の車両では、パンタグラフで集電した電気(直流1500ボルト)を編成全体に引き通す回路が採用されています。3200形でもこれは踏襲されているのですが、電気連結器には1500ボルトは通していないとのこと。この回路は従来通り、ジャンパ線(山側に設置)での対応となっています。

先頭車上部では、列車無線用のアンテナが設置されていますが、「IR無線」(誘導無線)用アンテナはなく、「SR無線」(空間波無線)用アンテナのみとなりました。京成では、1969年の列車無線導入以来、大型のアンテナが必要なIR無線を採用してきました。同社では、2023年にSR無線による無線のデジタル化が完了し、京成車のIR無線用アンテナは不要に。無線更新後に初めて導入された新型車両となった3200形では、同社の列車無線導入以来初めて、新造時からIR無線用アンテナを設置していない京成車となっています。

先頭車の屋根上にあるアンテナは、SRアンテナのみ。2023年に列車無線のデジタル化が完了したことで、京成の車両ではIRアンテナは不要となりました
先頭車の屋根上にあるアンテナは、SRアンテナのみ。2023年に列車無線のデジタル化が完了したことで、京成の車両ではIRアンテナは不要となりました

なぜ「分割対応車両」を導入? 連結方法はどうなる?

鉄道を含む交通業界では、以前から続く少子高齢化や人口減少、そしてコロナ禍を契機としたリモートワークの普及によって、輸送需要に大きな変化が見られます。京成では、近年は訪日外国人旅行者の増加という好材料がある一方、やはり輸送需要の変動リスクは課題だといいます。

3200形は、そのような流動的に変化する輸送需要に対応すべく、編成を分割できる設計で開発されました。

3200形が3600形から3100形までの車両と異なるのは、2両単位で編成を組みかえられる点。先頭車と中間車の2両で1ユニットを組み、4両編成、6両編成、8両編成を組成可能です。

これまでの京成の車両を見ると、3600形は登場時は6両固定編成、後に8両固定編成(一部を除く)で、3700形、3400形、3000形、3100形(同形式は8両編成のみ)は、6両編成と8両編成しか組成できないシステムでした。今回登場した3200形は、これまでの車両よりも組成自由度が上がるため、変化する輸送需要に柔軟に対応できます。

ただし、現役の京成の車両でも、最古参となった3500形だけは、3200形と同様に2両単位で編成を組みかえられる仕組みとなっています。3200形は今後、3500形を置き換えるために順次導入するとのことですが、新型車が置き換え対象車と同様の組成自由度を維持したともいえます。

この2両単位で組成を変更できるという思想で開発された3200形は、内部的には複雑なシステムが採用されています。

先頭車と中間車を連結した部分
先頭車と中間車を連結した部分

3200形では、車両のさまざまな情報を統括するモニタ装置が搭載されています。3200形では、どの車号をどの位置に連結したかを判別する仕組みを採用したとのこと。たとえば、3200形の製造が進んだ時点で、3201-3202+3239-3240+3205-3206という車号の順番で連結した場合(もちろん3239-3240号車は2025年現在未製造です)、ただ連結しただけで、3240号車が上野方に運転台を持つ先頭車である(実際の車号や向きは未定)、と判別できる仕組みとなっています。組成した編成の車号・位置をすべてモニタ装置が把握することで、先述した連結部の警報音をどの車両が流すべきか、などの判定に使うのだそう。説明を聞いた、京成電鉄 鉄道本部 車両部設計課 課長の廣瀬昌己さんは、「JRや京急でもやっていない(高度な)内容なのでは」と話していました。

3200形運転台にあるモニタ装置の画面。各機器の動作状況や走行位置などのほか、組成した個々の車両の番号も表示されています
3200形運転台にあるモニタ装置の画面。各機器の動作状況や走行位置などのほか、組成した個々の車両の番号も表示されています

その連結方法ですが、現時点では6両しか存在しないため、4両編成か6両編成の2パターンのみが可能です。将来車両が増備された際には、8両編成を組むことも可能だということ。8両編成の場合は、先頭車どうしを向かい合わせにした組成が基本となるようです。ただし、システム上は連結方法の自由度は高く、2+4+2両編成のような組成も可能だといいます。

3200形の組成方法。8両編成の場合は「パターン1」が基本とのことですが、「パターン2」のような組成も可能だといいます
3200形の組成方法。8両編成の場合は「パターン1」が基本とのことですが、「パターン2」のような組成も可能だといいます

ところで、京成の車両では、3000形と3100形において、車号にハイフンを使用(たとえば3000形第1編成の8号車は「3001-8」号車)する附番方法が採用されていました。一方、3200形では、以前のハイフンを使用しない方法へと戻っています。これについては、編成を組み替えた際の混乱を防ぐためとのこと。車両の組み合わせが変わる3200形でハイフンを使用すると、どの位置の車両なのかわからなくなるおそれがあるということで、こちらも組成変更に対応している3500形と同様、ハイフンなしで3201から順番に番号を振っていく方式としたそうです。

余談ですが、3200形が置き換える3500形がかつて8両編成を組んでいた際は、2+4+2両編成という、変則的な組成となっていました。先述したように、先頭車の先頭部には転落防止幌がないため、旅客が転落するおそれがあります。3500形では、先頭車どうしではなく、先頭車と中間車を連結することで、少なくとも片側には転落防止幌がある状態としていました。3200形も先頭部に転落防止幌はありませんが、同形式では警報音声を流すことができるため、これで問題ないと判断しているようです。

こちらは3200形ですが、右側の中間車にある転落防止幌が、左側の先頭車にはありません
こちらは3200形ですが、右側の中間車にある転落防止幌が、左側の先頭車にはありません

また、実際にそのような運用が実現するかは別にして、途中駅での分割併合運用(たとえば上野方面からの列車を京成津田沼駅で成田方面・千葉方面に切り離すような運用)については、3200形はシステム面では対応しているとのことでした。

3200形の設計、実はギリギリだった?

複数の鉄道事業者が直通運転する場合、各社が勝手に車両を設計してしまうと、他の会社では適合しない車両が生まれることも考えられます。そのため、直通運転を実施している各社では、車両などの規格を定めた協定を交わすことが基本です。

京成、東京都交通局(都営浅草線)、京急などが絡む直通ネットワークでも、同様の協定が交わされており、直通車両にはさまざまなルールが定められています。その中の一つが、車両重量は1両あたり35トン以内とする、というもの。一方、今回の3200形は、4号車(上野方先頭車)の自重が34.9トンとなっており、かなりギリギリな設計だったことがうかがえます。制限への抵触を避けるため、3200形ではさまざまな軽量化策が練られたそう。車内の座席がハイバック式ではなくなったのもその一つだということです。

2019年デビューの3100形(画像)では「ハイバック式」の座席が採用されていましたが、3200形では軽量化の一環で元のタイプに戻されました
2019年デビューの3100形(画像)では「ハイバック式」の座席が採用されていましたが、3200形では軽量化の一環で元のタイプに戻されました

直通先の京急でも、1000形20次車(1890番台「Le Ciel」)では、「デュアルシート」の採用やトイレの設置といった理由はありますが、両先頭車の自重が34.5トンという、ギリギリな数値となっていました。車両の規格は、車両以外の施設におよぼす影響も大きいため、「制限が厳しいから変えましょう」と簡単に変えることは難しいようです。そのような中で、各社はなんとか新しい車両を設計し、送り出しています。

2021年デビューの京急1000形1890番台「Le Ciel」。こちらも両先頭車の自重は34.5トンと、制限ギリギリな設計でした
2021年デビューの京急1000形1890番台「Le Ciel」。こちらも両先頭車の自重は34.5トンと、制限ギリギリな設計でした

システム面では「令和の赤電」3200形

京成の車両では、初代3000形(1958年登場)から3500形(1972年登場)まで、2両で1ユニットを構成し、2~8両を組むことができるシステムが採用されていました。これらの車両は、ステンレス車体の3500形を除き、車体が赤系統の色で塗られていたことから、「赤電」と呼ばれていました。

京成の「赤電」最後の車両、3300形。2015年に引退しました
京成の「赤電」最後の車両、3300形。2015年に引退しました

厳密に言えば、初代3000形は当初は2両編成で運転が可能な形態で、後に一部が運転台を撤去した2両中間車ユニットに改造されました。初代3050形は、一部運転台の撤去改造を受けた後は、一部を除いて4両固定編成を組成。初代3100形、初代3150形、初代3200形の3形式は、更新工事を受けるまではユニット間の貫通路幅が広く、通常の幌では4+2両編成のような組成はできなかった……と、各形式の組成方法には注釈がつきます。とはいえ、2両1ユニットを自在に組み合わせて4両、6両、8両編成を組成できるという、走行機器側の仕組み自体は共通でした。

3500形は、運転台なしの中間2両ユニットは製造されませんでしたが、先頭車+中間車の2両1ユニットを組み合わせ、金町線などで見られる4両編成や、かつて本線普通などで見られた4両編成、本線特急や地下鉄直通にも使われた8両編成を組むことができました。

3600形以降の一般型車両では、このような組成自由度の高い設計ではなくなりました。これらの車両は8両編成と6両編成の双方を組める設計となっており、実際に3600形は編成組み替えで、3700形と3000形は製造時点で、両形態が登場しています。ただし3500形以前のように、簡単に車両を増解結できる設計ではないため、組成自由度が高いとはいえません。

そのような意味では、今回登場した3200形は、3500形以来約53年ぶりに登場した、組成自由度が高い形式です。見た目はかつての赤電とは全く異なりますが、組成システムのみに着目すれば、「令和の赤電」と呼べるかもしれません。

3200形は、2025年冬に営業運転を開始する予定。今後は3500形などを置き換えるため、順次導入していくとのことです。

また、2025年4月1日には、京成電鉄が新京成電鉄を吸収合併し、新京成線は「京成松戸線」となる予定です。3200形が「松戸線」を走ることになるのかは現状未定とのことですが、将来的に(現)新京成車両を置き換える際には、80000形ではなく3200形を導入することになるそうです。

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