9月4日、ゆりかもめの新型車両、7500系が報道公開されました。
7500系は、2014年にデビューした7300系以来の新型車両。7300系の設計を受け継ぎつつ、車体外観デザインや車内設備を一部変更しています。
7500系のデザインコンセプトは「ブルー・ウィンド」。「『青い風』を受けて優雅に飛行するユリカモメ」をイメージしたといい、車両前面や先頭部屋根上(フェイストップ)、妻面などが青色に彩色されています。
従来の7300系と比較して目立つ違いが、車体前面のデザインです。おおまかな造形は7300系と共通ですが、新たに装備した、青色LEDによる「発光式自動運転灯」が目を引きます。この灯火は、無人運転時と有人運転時の識別のためのもの。無人運転時にはこの灯火を点灯して運転するといい、従来形式よりも区別が容易になるということです。また前照灯も、中央部のHID+連結器脇のLED2灯という構成から、中央部のLED3灯に変更されています。
続いて車内へ。インテリアデザインも7300系とおおむね共通ですが、随所に改良点が見られます。
座席は、三菱重工業が開発した、ホールド感を高めたバケットシート「G-Fit」を引き続き採用。一般の座席は青色、優先席はオレンジ色という配色も変化はありません。
大きな変更点は、座席袖の握り棒。7300系では壁に向かって伸びていた握り棒ですが、7500系では網棚方向へ伸びる形状に改良されました。これにより、足が不自由な乗客でも、立ち上がりやすいようになったということです。また、空調装置のダクトも改良。天井の中央部に「ラインフローファン」が設置されました。
無人運転の新交通システムにおいて人気があるのが、両先頭部の座席。7500系では、先頭部前面窓の映り込みを低減させる改良が施されており、より眺望が楽しめるようになったということです。
7300系から設置されている、扉上の車内案内表示器。7300系では走行位置などを表示する画面1面のみの構成でしたが、7500系では2面に増設。右側画面では従来通り走行位置などの情報を、左側画面では広告やニュースなどを表示します。
床下の機器類は、こちらも基本的に7300系と共通。7500系独自の装備としては、両先頭車両に設置された霜取装置です。一般の鉄道車両における「霜取りパンタグラフ」と同様の機能を果たすこの装置。電車線凍結時に使用することで、あらかじめ凍結部を剥がし、集電装置の能力確保に寄与します。担当者によると、今後製造される7500系はすべてこの霜取装置を搭載するとのことで、寒冷時など電車線凍結が見込まれる際には、優先的に7500系を運用に入れることも十分考えられるとしています。
多くの改良点は見られますが、基本的には7300系と共通となっている7500系。なぜ、あえて形式名を変更したのでしょうか。担当者は、「7300系と全く同じものを作るつもりはなく、時代のトレンドを取り入れて進化させたため」だとします。2013年度から2016年度にかけて導入された7300系ですが、使用を続けるにあたり、いくつかの問題が生まれたといい、それらの点を盛り込んで生まれたのが、今回の7500系だということです。
また、編成番号のキリがよかった、というのも理由の一つだとします。ゆりかもめでは、車両番号の100の位と10の位の2ケタから編成番号を付与しており、今回の7500系第1編成は「51」となります。7300系では31~48番が導入されましたが、ここであえて「49」と「50」を欠番とし、新形式を設定しました。今回置き換え対象となる7200系でも、すでに全車引退済みの7000系(01~18番)から2編成分を飛ばした編成番号(21~28)を付与したという過去もあり、担当者は「当社の伝統のようだ」とも語っていました。
担当者が「現時点の完成形である車両」だと語る7500系。2018年秋に1編成が営業運転を開始し、2020年度までに計8編成を導入する計画です。7500系の導入により、旧型の7200系は全て置き換えられることとなり、輸送力や利便性、快適性の向上が図られます。