早稲田~三ノ輪橋間(約12.2キロ)を結ぶ東京都交通局の路面電車、都電荒川線。その路線は、弧を描くように新宿区、豊島区、北区、荒川区の4つの区にまたがり、全区間を約1時間かけて走ります。停留場の数は30。決して速い乗り物ではありませんが、大通り、商店街、住宅地の一角などから、階段の上り下りなどを経ずに、気軽に乗車できるのが特徴です。
都電荒川線の特徴はほかにも多々ありますが、祝賀行事や記念日などにあわせて、「花電車」を設定、運行することも挙げられます。10月21日(日)は、運行はされなかったものの、三ノ輪橋停留場付近に設けられた案内所のオープンを記念して、花電車の展示イベントが行われました。日を同じくして、花電車専用の車両「花100形」のさよならイベントが、荒川電車営業所での催しの目玉として開催。今回は、これら2つの花電車を中心に紹介します。
三ノ輪橋停留場での花電車など
都電荒川線の三ノ輪橋停留場近くに、新たな都営交通案内所が設けられ、10月21日に開業しました。オープンにあわせ、同日9時ごろにオープニングイベントが同所前で開催され、主催者などの挨拶、東京都交通局、荒川区などの関係者らによるテープカットが行われるとともに、三ノ輪橋停留場に停車中の都電車両(8502号)を花で装飾した花電車の展示、撮影会が開かれました。案内所は、テープカット後に開館。花電車の撮影を終えてから来場する人が多く、開館後しばらくは多くの人でにぎわう状態が続きました。
かつての花電車
都電の花電車には歴史があります。古くは、大正時代に遡り、昭和に入ってからは1930年の「帝都復興祭記念奉祝花電車」、1936年の「東京市電気局25周年記念花電車」など、市電時代にいくつか運行された記録があります。戦後も、1955年の「祝復興10周年・都民の日花電車」、1956年の「祝大東京祭記念花電車」、1959年の「皇太子殿下御成婚奉祝記念花電車」などの写真が残っています。昭和時代に花電車が街を彩ったのは、1978年の荒川線の新装(ワンマン運転化など)を記念したものが最後。次に運行されたのは、都営交通100周年を記念しての花電車で、実に33年ぶりとなりました。運転日は、2011年10月1日を皮切りに、同月の日曜を中心に5回。7500形を改造した花電車、花100形が使われ、デコレーションケーキを模した装飾がメインに据えられました。
荒川電車営業所での「花100形さよならイベント」
主に専用軌道を走っていた32系統(早稲田~荒川車庫間)と、27系統の一部(王子駅前~三ノ輪橋間)を統合する形でできたのが、現在の荒川線。開業日は、1974年10月1日でした。その日にちなみ、毎年10月に開催されるのが、「荒川線の日」記念イベントで、今年は10月21日に行われました。
会場は、荒川線の車庫がある荒川電車営業所。車庫や保線車両の見学、都電車両の運転台撮影会などが恒例ですが、今回は花100形の廃車に伴う「さよならイベント」が加わり、多くの来場者を集めました。
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