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進化する湘南モノレール~湘南江の島駅リニューアルなど

2018年12月11日(火) 鉄道コムスタッフ

大船駅を起点に、南西に進む湘南モノレール。江ノ島方面へのアクセス路線として、大船~湘南江の島間6.6キロを約14分で結んでいます。駅数は起点、終点を含め、8つです。

国内のモノレール路線の中では数少ない懸垂式で、高低差やカーブのある区間を走るのが特徴。湘南モノレールでは、その走行スタイルから「湘南ジェットコースター」という表現を用い、乗車する楽しみもポイントに挙げています。

観光アクセスのみならず、地域の足としても活躍する湘南モノレール。近年は利便性を高めるための改良、改修が進められ、さる12月1日には、江ノ島の玄関口となる湘南江の島駅が全面的にリニューアル開業しました。全面リニューアル初日の湘南江の島駅の様子を中心に、湘南モノレールの直近の見どころなどを紹介します。

12月1日の湘南江の島駅

湘南モノレール湘南江の島駅。12月1日、全面的にリニューアル開業しました。
湘南モノレール湘南江の島駅。12月1日、全面的にリニューアル開業しました。

湘南江の島駅の工事は、耐震補強とバリアフリー化を目的にしたもので、2017年7月に着工。バリアフリー化の目玉として、これまでは同駅になかったエレベーター棟が造られ、2018年4月1日にエレベーターの供用が始まりました。駅ビルは地上5階建てで、改札階はその5階にあるため、バリアフリールートを確保するうえで、エレベーターは欠かせません。長年の課題がこの時点で解決し、エスカレーターの整備が引き続き進められました。エスカレーターは、旧駅ビルでは2階~4階の上下を結ぶのみでしたが、工事により地上階(江の島口)~1階(藤沢口、鎌倉口)~5階がつながる形に。10月20日に上りエスカレーターの使用が始まった後、今回下りエスカレーターも供用開始となり、エスカレーターによるバリアフリールートも12月1日をもって完成しました。

ホームは2面1線で、乗車、降車で番線を分ける形で運用されています。リニューアル工事期間中は、片方の番線の使用を取りやめ、もう片方で乗車、降車を行う運用に変更したうえ、工期にあわせてその番線を入れ替えるなどの措置がとられました。現在は、1番線が乗車専用、2番線が降車専用で元の形に戻っています。

湘南江の島駅ホーム。ホームは、山の中腹をトンネルで抜けた先にあり、標高で30メートル近い位置にあります。写真左が降車専用の2番線。右は乗車専用の1番線です。
湘南江の島駅ホーム。ホームは、山の中腹をトンネルで抜けた先にあり、標高で30メートル近い位置にあります。写真左が降車専用の2番線。右は乗車専用の1番線です。
改札口の様子。湘南モノレールでは、2018年4月1日に交通系ICカードが導入され、ICカード対応の自動改札機の使用も同日始まりました。改札機上には、デジタルサイネージのディスプレイも新たに設置。左の画面には、4月から使われている新デザインのロゴマークが表示されています。
改札口の様子。湘南モノレールでは、2018年4月1日に交通系ICカードが導入され、ICカード対応の自動改札機の使用も同日始まりました。改札機上には、デジタルサイネージのディスプレイも新たに設置。左の画面には、4月から使われている新デザインのロゴマークが表示されています。
エレベーターは、駅ビルの東側にあります。地上階~1階~5階がエレベーターでつながり、バリアフリールートが確保されました。写真は改札階(5階)の様子。
エレベーターは、駅ビルの東側にあります。地上階~1階~5階がエレベーターでつながり、バリアフリールートが確保されました。写真は改札階(5階)の様子。
5階西側には、「ルーフテラス」も新設されました。遠くに富士山や相模湾、近くでは境川の眺望が楽しめます。全面リニューアルに先行して、11月11日にオープンしました。
5階西側には、「ルーフテラス」も新設されました。遠くに富士山や相模湾、近くでは境川の眺望が楽しめます。全面リニューアルに先行して、11月11日にオープンしました。
ルーフテラスの南側では、江ノ島電鉄の江ノ島駅が間近に見下ろせます。踏切を越えた先を進むと、片瀬東浜海水浴場や江の島に出ます。
ルーフテラスの南側では、江ノ島電鉄の江ノ島駅が間近に見下ろせます。踏切を越えた先を進むと、片瀬東浜海水浴場や江の島に出ます。
湘南江の島駅の駅ビル外観。かつては白基調の建物でしたが、一新されて床面積や採光面も広がりました。正面は「江の島口」で地上階にあります。
湘南江の島駅の駅ビル外観。かつては白基調の建物でしたが、一新されて床面積や採光面も広がりました。正面は「江の島口」で地上階にあります。
湘南江の島駅には、江の島口、藤沢口、鎌倉口の3つの出入口があります。写真の藤沢口は、全面リニューアルに伴い、供用を始めました。駅ビル1階、西側にあります。
湘南江の島駅には、江の島口、藤沢口、鎌倉口の3つの出入口があります。写真の藤沢口は、全面リニューアルに伴い、供用を始めました。駅ビル1階、西側にあります。
江の島口から見上げた駅ビル内の様子。大きな吹抜が特徴です。ルーフテラスは、吹抜の天井部分の上にあります。
江の島口から見上げた駅ビル内の様子。大きな吹抜が特徴です。ルーフテラスは、吹抜の天井部分の上にあります。
上りエスカレーター(2階→3階)。エスカレーターは、1階~4階では上りと下りで別々の場所に設けられています。上りと下りのエスカレーター間を結ぶルート上には、各階でテナントが入る予定です。
上りエスカレーター(2階→3階)。エスカレーターは、1階~4階では上りと下りで別々の場所に設けられています。上りと下りのエスカレーター間を結ぶルート上には、各階でテナントが入る予定です。

湘南モノレールの近況など

ここからは、直近の湘南モノレールの話題を紹介します。

2018年9月に、ドイツのヴッパータール空中鉄道との間で懸垂式モノレールの姉妹提携を結んだことを受け、今シーズンの湘南モノレール恒例のクリスマストレインは、ドイツの風習にちなんだ仕様になっています。「クリスマススター」を飾りつけるならわしから、星(ドイツ語でstern)をモチーフとした装飾を車内に施し、先頭部には専用ヘッドマークを掲出。「輝く星のトレイン~kawaii~ドイツ シュテルン号」との名称で、11月28日から12月25日まで運行しています。

湘南江の島駅に停車中の「シュテルン号」。「湘南イエローライン」(5607編成)が使われています。
湘南江の島駅に停車中の「シュテルン号」。「湘南イエローライン」(5607編成)が使われています。
シュテルン号の車内の様子。星の飾りつけを中心に、ヒイラギの葉を模したものなどでクリスマスムードを演出しています。
シュテルン号の車内の様子。星の飾りつけを中心に、ヒイラギの葉を模したものなどでクリスマスムードを演出しています。

湘南モノレールの長年の課題の一つに、交通系ICカードへの対応がありました。2018年4月、ICカード「PASMO」を軸に、相互利用可能なICカードを含めたサービス利用を開始。乗降時の利便性向上を図りました。自動改札機が設置されていない駅では、入場用、出場用の簡易改札機がそれぞれ設けられています。ICカードを使わない乗客の対応では、運転士、車掌がホーム上できっぷを回収するなどの運用が、湘南深沢駅などで今も行われています。

湘南深沢駅ホーム。ホーム上に、出場用の簡易改札機があります。入場用は、出入口の階段途中に設置されています。こうした簡易改札機は、目白山下駅、片瀬山駅、富士見町駅にもあります。
湘南深沢駅ホーム。ホーム上に、出場用の簡易改札機があります。入場用は、出入口の階段途中に設置されています。こうした簡易改札機は、目白山下駅、片瀬山駅、富士見町駅にもあります。
湘南深沢駅外観。地上とホームを結ぶのは階段のみで、現時点ではバリアフリー対応はされていません。バリアフリー化に向けた整備計画はあり、ホーム増設とあわせ、エレベーターが設置される予定です。
湘南深沢駅外観。地上とホームを結ぶのは階段のみで、現時点ではバリアフリー対応はされていません。バリアフリー化に向けた整備計画はあり、ホーム増設とあわせ、エレベーターが設置される予定です。

湘南深沢駅は、湘南モノレールの車両基地、本社の最寄り駅。駅の前後では、直線区間を走るモノレールを、視界が開けた中で見ることができるのも同駅のポイントです。

湘南深沢駅付近を走る5000系。2004年に写真の「湘南レッドライン」(5601編成)がデビューし、2016年までに計7編成が導入されました。湘南モノレールの営業用車両は、すべて5000系になっています。左側のレール桁は、湘南モノレール車両基地に通じる車庫線です。
湘南深沢駅付近を走る5000系。2004年に写真の「湘南レッドライン」(5601編成)がデビューし、2016年までに計7編成が導入されました。湘南モノレールの営業用車両は、すべて5000系になっています。左側のレール桁は、湘南モノレール車両基地に通じる車庫線です。
車両基地の様子。待機中の車両は、「湘南ブラックライン」(5611編成)です。湘南モノレールの本社は、この車庫の奥にあります。
車両基地の様子。待機中の車両は、「湘南ブラックライン」(5611編成)です。湘南モノレールの本社は、この車庫の奥にあります。

受験シーズンにあわせた取り組みも行われています。2018年度の「合格祈願 受験生応援キャンペーン」は、11月17日にスタート。片瀬山駅では、副駅名称として「勝たせ山」が用いられ、大船駅では、ホーム側面に合格祈願神社が設けられるなど、受験生の応援企画が実施中です。キャンペーン期間は、2019年3月3日まで。

片瀬山駅の駅名標。「片瀬」に「勝たせ」をあて、副駅名としたうえで、合格を祈願するデザインが施されています。
片瀬山駅の駅名標。「片瀬」に「勝たせ」をあて、副駅名としたうえで、合格を祈願するデザインが施されています。
大船駅の降車ホーム側に設けられている合格祈願神社。サクラ型の付せんに願い事などを書いて祈願するという趣向になっています。ご神体は、2016年6月に引退した500形551編成の台車と車体を締結していたボルトです。
大船駅の降車ホーム側に設けられている合格祈願神社。サクラ型の付せんに願い事などを書いて祈願するという趣向になっています。ご神体は、2016年6月に引退した500形551編成の台車と車体を締結していたボルトです。

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