建設予定地の今
なにわ筋線の起点となる北梅田駅の建設予定地は、大阪駅の北側、グランドフロント大阪や梅田スカイビルに囲まれた地区の一角です。グランドフロント大阪を含むこのエリアは、2013年まで梅田貨物駅が設けられていた地区。「うめきたエリア」と名付けられたこのエリアでは、貨物駅の移転を含めた再開発事業が進行中で、北梅田駅はこの地域の入口にあたる大阪駅前に設けられることになります。
現在、うめきたエリアの西側地上は更地となっており、これから商業施設や公園などが整備される予定です。一方、北梅田駅は既にトンネル部の構築が始まっており、2023年のおおさか東線延伸開業を目指し、作業が進められています。北梅田駅は2面4線の配線となる計画。現在はうめきたエリアの地上を走っている、新大阪~梅田信号場~西九条を結ぶ東海道貨物支線(梅田貨物線)が、おおさか東線の一部となって乗り入れることとなります。
北梅田駅を出たなにわ筋線は、単線となる東海道貨物支線と別れ、福島駅付近からなにわ筋の直下を進みます。千日前線が通る新なにわ筋と、四つ橋線が通る四つ橋筋に挟まれたなにわ筋は、先述した通り、これまで縦の鉄道路線が建設されなかった道路。このなにわ筋の途中に、京阪中之島線と接続する中之島駅、そして西本町駅の2駅が設けられる予定です。かつてはこの他の途中駅として、大阪環状線や阪神本線と接続する福島駅付近、長堀鶴見緑地線と接続する西大橋駅付近にも駅が設置される計画がありましたが、建設費圧縮のため、この2駅については廃案となりました。
西本町駅を出ると、なにわ筋線は二手に分かれます。まずJR線方面のルートは、なにわ筋から東へ逸れ、JR難波駅へ。JR難波駅は、現在は関西本線(大和路線)の終点の駅です。1996年に地下化された同駅は、なにわ筋線の建設を見越した設計となっており、ホームからなにわ筋線方向へと延びたトンネルを見ることができます。この空間は、現在は車両を留置する線路として有効活用されています。
一方の南海線ルートは、JR線ルートよりもさらに東進。難波パークス通りの地下に入り、南海新難波駅へと至ります。大阪シティバスのバスターミナル直下に設置されるこの駅は、既存の南海難波駅よりも北に位置します。現在駅から発着する列車との乗り換えは利便性が低そうですが、御堂筋線や四つ橋線、阪神なんば線などに近接した場所となるため、これらの路線との乗り換えは便利となりそうです。南海新難波駅を出ると、そのまま南海の現在線に沿って南下。今宮戎駅付近で地上に出て、新今宮駅にて現在線と合流します。
新たな阪急の路線も計画に
2017年5月に発表されたなにわ筋線の整備に関するプレスリリースでは、大阪市や大阪府、JR西日本や南海のほかに、阪急電鉄も発表者として名を連ねていました。一見、今回の計画には何ら関係のないように思える阪急。同社は、「なにわ筋連絡線(仮称)」の整備を計画しているのです。
なにわ筋線の起点となる北梅田駅から、阪急神戸線、宝塚線、京都線の3路線が接続する十三駅までを整備する計画のなにわ筋連絡線。この路線を整備することで、阪急沿線からうめきたエリアやミナミへ、さらには関空への流れを作る狙いです。
ところで、阪急が採用しているレール幅は1435ミリの標準軌、一方のJRや南海が採用しているレール幅は1067ミリの狭軌です。レール幅が異なれば相互直通運転は不可能。そこで阪急は、このなにわ筋連絡線を狭軌で建設し、なにわ筋線へと乗り入れる予定だと報道されています。
阪急はさらに、2017年に策定した「阪急阪神ホールディングスグループ 長期ビジョン2025」において、「新大阪連絡線」の建設を盛り込んでいます。十三と新大阪を結ぶ新大阪連絡線は、もともとは淡路~新大阪~十三間、新大阪~神崎川間を結ぶバイパス路線として計画されていたもの。淡路~新大阪~神崎川間については建設を断念したものの、新大阪~十三間は鉄道事業許可を現在も維持している状況です。
新大阪連絡線の建設予定地上には、2007年以降に東海道新幹線のホームや引き上げ線、新大阪阪急ビルが建設されており、路線整備の実現については未知数です。しかしながら、この新大阪連絡線となにわ筋連絡線がが開業すれば、おおさか東線経由に加え、阪急線経由でもなにわ筋線と新大阪駅が結ばれることになり、利便性やダイヤ編成上の柔軟性が向上します。
北梅田駅は現在工事が進められている段階で、開業予定は2023年春。そして、なにわ筋線は建設工事に向けて調査中。開業は2031年の予定です。5年、10年というスパンで進められているこの計画。大阪での新線建設は、まだまだ続くこととなります。
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