東京メトロは、視覚障害者向けに道案内システムの開発を進めています。駅の改札から地下鉄の乗降口、トイレなど駅構内をなるべく不便なく移動できるようにすることが目的です。8月30日、有楽町線の辰巳駅と新木場駅で、報道関係者向けに同システムの実証実験が公開されました。
この記事の動画(鉄道コム制作)
YouTube
このシステムは「shikAI」(しかい)と呼ばれ、東京のIT企業「プログレス・テクノロジーズ」とともに開発を進めています。日本語の「視界」と、後々このサービスで活躍が期待される人工知能(AI)とを掛け合わせて命名されました。
shikAIは、駅構内の点字ブロック上に貼られたQRコードを、専用アプリ内から起動したスマートフォンのカメラで認識。「改札です。直進4メートル」など、進む方向や距離を音声で細かく伝え、利用者を目的の場所まで案内します。
「改札」「券売機」など、どこに行きたいかは、スマホの画面をタップすることで音声が流れるので、それを元に選択することができます。
この日の実証実験では、日中の時間帯、新木場駅の改札から駅構内に入って地下鉄に乗り、隣の辰巳駅で降りて改札を出るまでの流れを確認しました。shikAIの開発会社「プログレス・テクノロジーズ」の小西祐一会長は「人ごみの中でも問題なく使えるのか、ということを検証した」と話しました。
実証実験に協力した高橋史月さんは、アプリを使った感想について、「分かりやすいです。リピート機能があるので、ちょっと(進む方向が)違ったかな、と思ってもやり直せるのが良い」、松尾政輝さんは「本当にありがたいことだと思います。こういうサービスがもっと広がっていってもらえれば良いと思います」と話しました。
辰巳駅と新木場駅は、来年の東京五輪では水球の会場となる東京辰巳国際水泳場の最寄り駅です。東京メトロの担当部署の工藤愛未主任は「来年のオリンピック、パラリンピックの時に、なるべく安全に、便利に、駅をご利用いただける状態にできれば」と話しています。