山手線、京浜東北線田町~品川間に設けられる新駅「高輪ゲートウェイ」駅が、11月16日に報道公開されました。同駅の開業などに向けた品川駅での線路切換工事に伴い、山手線、京浜東北線の一部区間が運休になっている間に行われ、駅舎内、ホーム、駅前広場の予定地などが公開されました。
11月16日時点での高輪ゲートウェイ駅の様子などを紹介します。
高輪ゲートウェイ駅、いよいよ来春開業
JR東日本が山手線、京浜東北線の田町~品川間に新設する駅で、東京オリンピック・パラリンピック競技大会にあわせて、2020年春の開業を予定しています。田町駅から約1.3キロ、品川駅から約0.9キロに位置し、京急線、都営浅草線の泉岳寺駅との乗り換えができます。
品川新駅として計画が発表されたのは2014年6月。田町~品川間の車両基地(東京総合車両センター田町センター)の再編により、同基地西側を大規模事業用地として整地しつつ、新駅の工事を進めてきました。山手線、京浜東北線、東海道線上り線は東側へ移設。車両基地の跡地、西側の線路を活用する形で、駅と街をつくるのが基本的な構想です。用地の総面積は、約13ヘクタールに及びます。
高輪ゲートウェイ駅は、山手線の駅としては30番目で、1971年開業の西日暮里駅以来の新駅。京浜東北線では、2000年開業のさいたま新都心駅に次ぐ新駅です。
気になる駅の様子
駅舎は、地上3階、地下1階、高さ約30メートル。総床面積は、7600平方メートルです。駅舎の上部には、折り紙をモチーフとした白い大屋根が設置され、日射の反射率の高い膜材が覆う構造になっています。膜材の放射熱により、屋根の下の温度を下げ、夏場の温度上昇を抑える設計になっているのが特徴。また、膜の形状はランダムに変化させられる仕様としています。駅舎東西には、大きなガラス面を設置。2階のコンコース階には、約1000平方メートルの吹き抜けを設けています。駅舎内部の採光、見通しを高め、全体的に開放感のある設計としているのも大きなポイントです。デザインは、建築家の隈研吾さんが担当。大林組などの共同企業体が工事を手がけています。
ホームは2面あり、西側の1・2番線が山手線、東側の3・4番線が京浜東北線と各線で別々になっています。田町駅のホーム2面は方向別に分かれていて、山手線と京浜東北線は同一ホームで乗り換えが可能ですが、高輪ゲートウェイ駅ではそれができないということになります。各線で分け、京浜東北線北行(大宮方面)と、山手線外回り(新宿方面)が隣り合う配置としたのは、品川駅での将来的なホーム配置と関係するもの。2022年ごろには、品川駅で大宮方面と新宿方面との同一ホーム乗り換えができるようになる予定です。
高輪ゲートウェイ駅の駅設備としては、エスカレーターが各ホームに4基ずつ、エレベーターが各ホーム2基ずつと、改札外に2基が設けられるほか、多機能トイレが南北に各2か所設置。ホームドア(可動式ホーム柵)は、すべての番線に取り付けられます。改札口は、駅西側の南北に1か所ずつ配置。改札内のコンコース階東側には、約300平方メートルのイベントスペースが設けられ、催事等で使われるほか、車両基地を見渡せるスポットとしても活用されます。3階改札外には、南北に1か所ずつテラスを整備。ホームや駅周辺が眺められるスペースとして開放されます。
高輪ゲートウェイ駅の本開業は、2024年ごろの予定。同駅周辺の「街びらき」も同時期に行われます。
11月16日、山手線が止まった日
高輪ゲートウェイ駅の開業に向け、品川駅などで線路の切換工事が行われました。同駅の改良も踏まえた工事で、11月16日深夜にスタート。切り換える線路は、山手線、京浜東北線の北行、計3本が対象で、品川~田町間で第一京浜寄り(西側)を通っていたのを3本とも東側に移す工事が行われました。16時以降、山手線の列車は高輪ゲートウェイ駅を経由するようになりました。
16日はこの工事に伴い、京浜東北線の品川~田町間が終日運休に。始発から16時ごろまでは山手線の大崎~東京~上野間も運休となり、大崎~池袋~上野間で折り返し運転が行われました。工事によって山手線の営業列車が運休となるのは、JR東日本発足以来初めて。上野東京ライン、埼京線などで列車が増発されたほか、広範囲での振替輸送も行われました。また、ふだんは見られない行先表示、発着番線の変更などもあり、鉄道ファンにとってもインパクトのある一日となりました。