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開業近づく高輪ゲートウェイ駅~外観、駅舎内、ホームの今

2019年11月27日(水) 鉄道コムスタッフ

山手線、京浜東北線田町~品川間に設けられる新駅「高輪ゲートウェイ」駅が、11月16日に報道公開されました。同駅の開業などに向けた品川駅での線路切換工事に伴い、山手線、京浜東北線の一部区間が運休になっている間に行われ、駅舎内、ホーム、駅前広場の予定地などが公開されました。

11月16日時点での高輪ゲートウェイ駅の様子などを紹介します。

高輪ゲートウェイ駅内部の様子。吹き抜け構造により、開放感があります
高輪ゲートウェイ駅内部の様子。吹き抜け構造により、開放感があります

高輪ゲートウェイ駅、いよいよ来春開業

JR東日本が山手線、京浜東北線の田町~品川間に新設する駅で、東京オリンピック・パラリンピック競技大会にあわせて、2020年春の開業を予定しています。田町駅から約1.3キロ、品川駅から約0.9キロに位置し、京急線、都営浅草線の泉岳寺駅との乗り換えができます。

来春開業の高輪ゲートウェイ駅。全長約110メートルの大屋根が同駅の目印です(品川駅構内電留線総合事務所ビル屋上から撮影)
来春開業の高輪ゲートウェイ駅。全長約110メートルの大屋根が同駅の目印です(品川駅構内電留線総合事務所ビル屋上から撮影)
京浜東北線ホーム側を拡大。同ホームの上階には、イベントスペースが設けられます
京浜東北線ホーム側を拡大。同ホームの上階には、イベントスペースが設けられます
京浜東北線ホーム北側の様子。ホーム上部には、太陽光パネルが取り付けられ、駅の「創エネ」に活かす予定
京浜東北線ホーム北側の様子。ホーム上部には、太陽光パネルが取り付けられ、駅の「創エネ」に活かす予定

品川新駅として計画が発表されたのは2014年6月。田町~品川間の車両基地(東京総合車両センター田町センター)の再編により、同基地西側を大規模事業用地として整地しつつ、新駅の工事を進めてきました。山手線、京浜東北線、東海道線上り線は東側へ移設。車両基地の跡地、西側の線路を活用する形で、駅と街をつくるのが基本的な構想です。用地の総面積は、約13ヘクタールに及びます。

田町駅方面。中央の高架線は、京浜東北線の北行(大宮方面)。16日の工事で西側から移設され、17日以降はこの高架線経由になりました。山手線をまたぎ田町駅1番線に入ります
田町駅方面。中央の高架線は、京浜東北線の北行(大宮方面)。16日の工事で西側から移設され、17日以降はこの高架線経由になりました。山手線をまたぎ田町駅1番線に入ります
品川駅方面。車両基地は規模を縮小し東側に集約。西側にできた跡地を使い、駅と街が整備されます
品川駅方面。車両基地は規模を縮小し東側に集約。西側にできた跡地を使い、駅と街が整備されます
高輪ゲートウェイ駅西側の駅前工事現場。広場が整備され、高層ビルも建設されます。写真左は、15日まで使われていた山手線、京浜東北線北行の線路
高輪ゲートウェイ駅西側の駅前工事現場。広場が整備され、高層ビルも建設されます。写真左は、15日まで使われていた山手線、京浜東北線北行の線路
品川駅線路切換工事概要図。品川駅の前後2か所と、田町駅寄りの1か所で線路の切り換えが行われました
品川駅線路切換工事概要図。品川駅の前後2か所と、田町駅寄りの1か所で線路の切り換えが行われました

高輪ゲートウェイ駅は、山手線の駅としては30番目で、1971年開業の西日暮里駅以来の新駅。京浜東北線では、2000年開業のさいたま新都心駅に次ぐ新駅です。

気になる駅の様子

駅舎は、地上3階、地下1階、高さ約30メートル。総床面積は、7600平方メートルです。駅舎の上部には、折り紙をモチーフとした白い大屋根が設置され、日射の反射率の高い膜材が覆う構造になっています。膜材の放射熱により、屋根の下の温度を下げ、夏場の温度上昇を抑える設計になっているのが特徴。また、膜の形状はランダムに変化させられる仕様としています。駅舎東西には、大きなガラス面を設置。2階のコンコース階には、約1000平方メートルの吹き抜けを設けています。駅舎内部の採光、見通しを高め、全体的に開放感のある設計としているのも大きなポイントです。デザインは、建築家の隈研吾さんが担当。大林組などの共同企業体が工事を手がけています。

高輪ゲートウェイ駅へのアプローチなど。地上から2階(コンコース階)に複数方向からアクセスできるようになっています
高輪ゲートウェイ駅へのアプローチなど。地上から2階(コンコース階)に複数方向からアクセスできるようになっています
駅舎西側。大きなガラス面が目をひきます。大がかりな工事はおおむね終え、駅舎本体は9割方完成しているとのこと
駅舎西側。大きなガラス面が目をひきます。大がかりな工事はおおむね終え、駅舎本体は9割方完成しているとのこと
折り紙に着想を得た大屋根。鉄骨の一部には、岩手、宮城、福島各県産のスギ材を組み込んであり、膜材とあわせて「和」のテイストが感じられる仕掛けになっています
折り紙に着想を得た大屋根。鉄骨の一部には、岩手、宮城、福島各県産のスギ材を組み込んであり、膜材とあわせて「和」のテイストが感じられる仕掛けになっています

ホームは2面あり、西側の1・2番線が山手線、東側の3・4番線が京浜東北線と各線で別々になっています。田町駅のホーム2面は方向別に分かれていて、山手線と京浜東北線は同一ホームで乗り換えが可能ですが、高輪ゲートウェイ駅ではそれができないということになります。各線で分け、京浜東北線北行(大宮方面)と、山手線外回り(新宿方面)が隣り合う配置としたのは、品川駅での将来的なホーム配置と関係するもの。2022年ごろには、品川駅で大宮方面と新宿方面との同一ホーム乗り換えができるようになる予定です。

西側、山手線ホーム(1・2番線)。柱に取り付ける形の番線表示・発車標が特徴的です。床面は、木目調のタイルが使われています
西側、山手線ホーム(1・2番線)。柱に取り付ける形の番線表示・発車標が特徴的です。床面は、木目調のタイルが使われています
東側、京浜東北線ホーム(3・4番線)に通じる階段、エスカレーター。階段のステップ部分も木目のデザインです。京浜東北線ホームの上部には、イベントスペースが設けられます
東側、京浜東北線ホーム(3・4番線)に通じる階段、エスカレーター。階段のステップ部分も木目のデザインです。京浜東北線ホームの上部には、イベントスペースが設けられます

高輪ゲートウェイ駅の駅設備としては、エスカレーターが各ホームに4基ずつ、エレベーターが各ホーム2基ずつと、改札外に2基が設けられるほか、多機能トイレが南北に各2か所設置。ホームドア(可動式ホーム柵)は、すべての番線に取り付けられます。改札口は、駅西側の南北に1か所ずつ配置。改札内のコンコース階東側には、約300平方メートルのイベントスペースが設けられ、催事等で使われるほか、車両基地を見渡せるスポットとしても活用されます。3階改札外には、南北に1か所ずつテラスを整備。ホームや駅周辺が眺められるスペースとして開放されます。

イベントスペース。改札内コンコース階に設けられ、車両基地や東海道新幹線などが眺められるスポットとしても活用されます。レインボーブリッジも遠くに見ることができます
イベントスペース。改札内コンコース階に設けられ、車両基地や東海道新幹線などが眺められるスポットとしても活用されます。レインボーブリッジも遠くに見ることができます
コンコース階、北側。3階部分にはテラスが設けられ、その奥には店舗が入る予定です。北側の改札口は、写真左手に設置されます
コンコース階、北側。3階部分にはテラスが設けられ、その奥には店舗が入る予定です。北側の改札口は、写真左手に設置されます
山手線ホームでの案内標示。都営浅草線、京急線の案内表記もあります
山手線ホームでの案内標示。都営浅草線、京急線の案内表記もあります
山手線の駅名標。駅ナンバリングは「JY26」です。主な乗換駅に付される「スリーレターコード」も設定され、高輪ゲートウェイの英字表記からとった「TGW」が併記されています
山手線の駅名標。駅ナンバリングは「JY26」です。主な乗換駅に付される「スリーレターコード」も設定され、高輪ゲートウェイの英字表記からとった「TGW」が併記されています
京浜東北線の駅名標。駅ナンバリングは「JK21」。大船駅起点で21番目の駅ということになります
京浜東北線の駅名標。駅ナンバリングは「JK21」。大船駅起点で21番目の駅ということになります
11月16日は、山手線、京浜東北線の一部区間が運休。上野東京ラインなどで列車が増発されました
11月16日は、山手線、京浜東北線の一部区間が運休。上野東京ラインなどで列車が増発されました

高輪ゲートウェイ駅の本開業は、2024年ごろの予定。同駅周辺の「街びらき」も同時期に行われます。

11月16日、山手線が止まった日

高輪ゲートウェイ駅の開業に向け、品川駅などで線路の切換工事が行われました。同駅の改良も踏まえた工事で、11月16日深夜にスタート。切り換える線路は、山手線、京浜東北線の北行、計3本が対象で、品川~田町間で第一京浜寄り(西側)を通っていたのを3本とも東側に移す工事が行われました。16時以降、山手線の列車は高輪ゲートウェイ駅を経由するようになりました。

朝6時台の品川駅北側での線路切換工事の様子。旧線路が分断され、新しい線路の敷設が進んでいました。右方向にカーブし、高輪ゲートウェイ駅をめざします
朝6時台の品川駅北側での線路切換工事の様子。旧線路が分断され、新しい線路の敷設が進んでいました。右方向にカーブし、高輪ゲートウェイ駅をめざします
田町駅側の工事現場。多くの作業員が集まり、集中的に工事が進められていました(松戸行き快速列車から撮影)
田町駅側の工事現場。多くの作業員が集まり、集中的に工事が進められていました(松戸行き快速列車から撮影)

16日はこの工事に伴い、京浜東北線の品川~田町間が終日運休に。始発から16時ごろまでは山手線の大崎~東京~上野間も運休となり、大崎~池袋~上野間で折り返し運転が行われました。工事によって山手線の営業列車が運休となるのは、JR東日本発足以来初めて。上野東京ライン、埼京線などで列車が増発されたほか、広範囲での振替輸送も行われました。また、ふだんは見られない行先表示、発着番線の変更などもあり、鉄道ファンにとってもインパクトのある一日となりました。

品川駅での「山手線・京浜東北線運休のお知らせ」。運休区間・時間などが大きく掲出されました。ホームに通じる階段などでは係員が待機、誘導する姿も見られました
品川駅での「山手線・京浜東北線運休のお知らせ」。運休区間・時間などが大きく掲出されました。ホームに通じる階段などでは係員が待機、誘導する姿も見られました
16日の案内ディスプレイの一例。大規模工事に伴う山手線の運転見合わせは、JR東日本史上初でした
16日の案内ディスプレイの一例。大規模工事に伴う山手線の運転見合わせは、JR東日本史上初でした
品川~田町間の運休により、京浜東北線の南行では田町行きが運行。東十条~浜松町間の各駅では、同方面の発車標が「田町」並びになりました
品川~田町間の運休により、京浜東北線の南行では田町行きが運行。東十条~浜松町間の各駅では、同方面の発車標が「田町」並びになりました
上野駅での山手線の様子。外回りは上野止まり、内回りは上野始発となり、その折り返し運用にファンの注目が集まりました
上野駅での山手線の様子。外回りは上野止まり、内回りは上野始発となり、その折り返し運用にファンの注目が集まりました
田端駅3番線の発車標。「上野」の行先とともに、列車到着までの時間が表示されました。発車時刻から「〇分後」の表示への切り換えは、11月から順次進められています
田端駅3番線の発車標。「上野」の行先とともに、列車到着までの時間が表示されました。発車時刻から「〇分後」の表示への切り換えは、11月から順次進められています
16日の山手線全線運転再開は、16時以降。東京・品川方面の初列車は上野駅16時17分ごろ発でした
16日の山手線全線運転再開は、16時以降。東京・品川方面の初列車は上野駅16時17分ごろ発でした
上野~東京~品川間運転再開列車の車内ディスプレイ。混雑や徐行運転もあり、品川駅まで20分では着きませんでした
上野~東京~品川間運転再開列車の車内ディスプレイ。混雑や徐行運転もあり、品川駅まで20分では着きませんでした
品川方面に向かうにつれて乗客は徐々に増え、田町駅発車時点でラッシュピーク時なみの混雑に。品川駅ホームもかなりの人出で、入場規制がかかるほどでした
品川方面に向かうにつれて乗客は徐々に増え、田町駅発車時点でラッシュピーク時なみの混雑に。品川駅ホームもかなりの人出で、入場規制がかかるほどでした

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