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2020年の鉄道トピックス[車両・列車編]

東海道新幹線、ついにN700系シリーズに統一へ

東海道新幹線では、1999年にデビューした700系が、2020年3月に営業運転を終了する。JR東海の新幹線車両としては2代目となる700系は、先に登場した300系が速度向上に主眼を置いていたのを改め、車内快適性の向上に注力。営業運転速度の向上は時速15キロ(山陽新幹線内)に留まったが、乗り心地の良さや騒音の低さは、300系を大幅に上回った。

2003年の新幹線品川駅開業や、これにあわせた「のぞみ」の大増発など、東海道新幹線の発展とともに活躍してきた700系だが、さらなる性能と快適性の向上を図ったN700系シリーズに追われ、ついに東海道新幹線約20年の歴史を終えることとなる。

その700系を置き換えたN700系シリーズも、まもなく変革の時が訪れる。7月には、新型車両「N700S」がデビューする予定。名前こそN700系シリーズだが、既存車両とは外観や車内、機器類に至るまで別物となっている。

2020年も登場、新たな特急車

毎年のようにデビューする新型の特急車両。2020年も新たな特急車が登場する。

近畿日本鉄道では、3月に名阪特急に80000系「ひのとり」を導入。上級クラスはハイデッカー仕様の車両となり、名称もデラックスカーから「プレミアムシート」へと変わる。レギュラーシートは前席のリクライニングが気にならないデザインとなっており、既存のアーバンライナーよりも大幅な居住性向上が図られている。ひのとりの導入により、アーバンライナーの車両は名阪甲特急から他の列車へと活躍の場を移し、12200系「スナックカー」などの車両を置き換える。

JR東日本では、3月に都心と伊豆半島を結ぶ特急「サフィール踊り子」の運転を開始する。グリーン車のさらに上のクラス「プレミアムグリーン車」や、「ヌードルバー」の設置など、これまでの特急列車とは異なるクラスの列車となっている。また、同じ区間を走る特急「踊り子」では、中央本線などで活躍したE257系のリニューアル車両が投入され、現行の185系は順次置き換えられる。

JR西日本でも、3月に新型特急車両の271系を導入する。関空特急「はるか」用として製造される車両で、デビュー時点では3両編成6本が投入される。2019年現在のはるかは9両編成と6両編成の2パターンでの運転となっているが、271系を増結車両とし、全てのはるかを9両編成に増強。2020年東京オリンピック・パラリンピックや、2025年大阪・関西万博などで見込まれる、旅行客の増加に備える。

さらに、既存車両の改造車ではあるが、5月にはJR西日本の新たな長距離列車「WEST EXPRESS 銀河」が、京都・大阪~出雲市間の夜行特急列車としてデビューする。新たな夜行列車の設定としては、1999年の「カシオペア」デビュー以来、約21年ぶりのこととなる。

一般型の新型車も続々登場

小田急電鉄では、新型通勤車両の5000形を、2019年度内に営業運転に投入する。2007年にデビューした4000形以来、12年ぶりの新型車両だが、車体幅を拡げた車両は、1995年デビューの2000形以来、実に25年ぶり。10両固定編成となっており、小田急線の混雑緩和が図られる。

首都圏新都市鉄道のつくばエクスプレスでは、新型車両TX-3000系が3月にデビューする。開業以来初めてのフルモデルチェンジとなるTX-3000系は、従来車のイメージを継承しつつ、デザインを刷新。車内快適性の向上も図られた。首都圏新都市鉄道は、デビューにあわせてダイヤ改正も実施し、ラッシュ時の最大運転本数は、現在の22本から25本へと増強される。

しなの鉄道では、老朽化した115系の置き換えのため、新型車両SR1系を導入する。E129系と同等の車両で、セミクロスシート仕様の一般車両と、デュアルシート仕様のライナー車両の2種類が製造される。製造はライナー車両から開始され、3月にライナー用の全6両が納車予定。営業運転の開始は7月の予定で、平日朝夕と土休日日中に運転される有料快速列車などに投入される。一般車両も2020年度より製造が開始され、2026年度までに全52両が投入される計画となっている。

新形式ではないが、JR西日本は2020年より、七尾線に521系を投入する予定。老朽化した既存車両は置き換えられる。国鉄急行型電車の生き残りであるクハ455-701・702や、1964年に製造された、JRグループの電車では最古参となるモハ414-802といった、特徴ある車両の去就が注目される。

また、JR東日本では、横須賀線・総武快速線にE235系を投入。E217系は順次置き換えられる。最初にE235系が投入された山手線では、既に同形式の新造は終了しており、置き換え対象のE231系も2019年度内に撤退する見込み。首都圏の車両投入計画は、新たな段階に移行する。

新たな形の動力を持った車両たち

2019年には、蓄電池搭載車両のBEC819系「DENCHA」の投入路線拡大や、電気式気動車GV-E400系のデビューなど、新たな動力を持った車両の運用範囲が広がった。2020年も、同様の車両の躍進は続く。

3月のダイヤ改正では、JR北海道の電気式気動車、H100形「DECMO」が営業運転を開始する予定。JR東日本のGV-E400系と共同開発された車両だが、耐寒性能がさらに強化されている。ダイヤ改正時点では、函館本線長万部~小樽間のほとんどの列車がH100形に置き換えられる。その後、老朽化したキハ40系の置き換えを目的に、全道の路線に投入される予定となっている。

九州でも、ダイヤ改正にあわせて新型車両の営業運転が始まる。このJR九州のYC1系は、蓄電池を搭載したハイブリッド式気動車。長崎地区に投入され、国鉄時代に投入されたキハ66・67形を順次置き換えていく。

2019年にデビューしたGV-E400系も、活躍の場がさらに広がる。新潟エリアでは引き続き導入され、3月までにキハ40系を全て置き換える予定。秋田エリアでも、2020年度内に営業運転を開始する予定となっている。

消える「スーパー」な特急

JR誕生後、各社の新型特急車両デビューと同時に生まれた「スーパー」を冠する特急たち。国鉄時代の車両を超える速度や設備を表す列車名として、JR東海・JR四国を除く各社で運行されていたが、さらなる新型車両の導入や列車運行体系の変化などにより、近年は数を減らしていた。そして、2020年3月のダイヤ改正で、JR旅客各社の中では、いよいよ西日本エリアのみの運転となる。

函館本線の特急「スーパー北斗」と、石勝線・根室本線の特急「スーパーおおぞら」「スーパーとかち」は、キハ281系やキハ283系といった高速性を意識した車両を導入し、従来のキハ183系よりも大幅なスピードアップを図っていた。しかしながら、既に各列車ともにJR化後の形式に統一されており、「旧型車両との差別化を図るという意義が薄れてきた」(JR北海道)ことから、ダイヤ改正にあわせて「北斗」「おおぞら」「とかち」と、スーパーを外した列車名に変更される。

速達性を重視した列車ではないが、都心と伊豆半島を結ぶ特急「スーパービュー踊り子」も、2020年3月のダイヤ改正で「サフィール踊り子」に置き換えられ、運転を終了する。ダイヤ改正後は、JRグループの旅客列車では、JR西日本管内の特急「スーパーはくと」「スーパーいなば」「スーパーおき」「スーパーまつかぜ」の、わずか4列車のみとなる。

北から南まで、2020年の観光列車

2020年には、東急グループが運行する「ロイヤルエクスプレス」が、北海道で運行される。JR北海道が他社と連携して北海道の観光振興と地域活性化を目指す施策の一環で、2019年にJR東日本などと連携し道内で運行した「風っこ そうや」に続くものとなる。ロイヤルエクスプレスは、2020年の夏の間、札幌~道東エリア間で運転される計画となっている。

北海道では他にも、キハ261系5000番台「はまなす」編成が、10月に登場する。「ノースレインボーエクスプレス」、2019年に引退した「クリスタルエクスプレス トマム&サホロ」といった、JR発足初期に導入したジョイフルトレインの置き換えを目的として、5両編成2本が投入される。5両編成中4両はリクライニングシート装備車両だが、1両はフリースペースとして、窓を向いた座席などが設置される。臨時列車や特急「宗谷」などの定期列車に使用される予定で、もう1本の「ラベンダー」編成も、2021年4月に登場予定となっている。

九州では、787系を改造した「36ぷらす3」が、2020年秋に登場する。座席は全てグリーン車で、6両編成中3両はグリーン個室に。また、かつての在来線特急「つばめ」時代に営業していたビュッフェが復活する。木曜日から月曜日にかけて、九州7県をめぐる経路で運転される。

東武鉄道では、2020年冬にC11形の動態復元作業を完了させる予定。作業が進められている「C111」は、1947年に滋賀県の江若(こうじゃく)鉄道向けに製造された車両で、最後は北海道の釧路開発埠頭で1975年まで活躍していた。C111が復元することで、SL列車の安定運行が実現するほか、他線区でのイベント運転も検討される。

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