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日本にただ一つ、珍しい鉄道システムの数々

2020年7月4日(土) 鉄道コムスタッフ

寺院の中を走るケーブルカー

かつて牛若丸、後の源義経が過ごしたことで知られる、京都府の鞍馬寺。山の中に建てられた寺院のため、本尊へは長い坂道を登る必要があります。

本来であれば歩いて登るのが正しい参拝方法ですが、年配者や体が不自由な方では本尊にお参りするのは困難。そこで鞍馬寺では、なんと境内でケーブルカー「鞍馬山鋼索鉄道」を運行しています。

鞍馬寺の境内を走るケーブルカー
鞍馬寺の境内を走るケーブルカー

1957年に開業した鞍馬寺のケーブルカー。現在の車両は4代目となっています。このケーブルカー、実は多くの「日本唯一」を持つ路線なのです。

ケーブルカーでは、2つの車両を同じケーブルにつなぎ、双方の重さでバランスを取る方法が一般的です。鞍馬寺のケーブルカーでは片方の車両の代わりに錘(おもり)を使用。レールの下を錘が通り、車両とのバランスを取っています。また、走行装置は鉄製の車輪ではなくタイヤを採用。こちらも日本のケーブルカーでは唯一です。

このケーブルカーはゴムタイヤで走るため、鉄製のレールは敷かれていません
このケーブルカーはゴムタイヤで走るため、鉄製のレールは敷かれていません
車両とのバランスを取るための錘。車両が走行するレールの下を通っています
車両とのバランスを取るための錘。車両が走行するレールの下を通っています

システム以外にも特徴があります。鞍馬寺のケーブルカーは、宗教法人が運営する鉄道としては日本唯一。山梨県の身延山久遠寺など、境内にスロープカーのような施設を設置している宗教法人もありますが、鉄道事業法に則った鉄道路線を運営しているのは、鞍馬寺が唯一です。

また、鞍馬寺のケーブルカーは、「運賃」が無料となっている日本唯一の路線でもあります。宗教法人として、利益を想像させる運賃をいただくわけにはいかない、ということなのでしょうか。

ただし、ケーブルカーの乗車には、大人200円の「寄付金」が必要。乗車口前の券売機で寄付金を納めるため、これが事実上の運賃と言えます。鞍馬寺は、寄付のお礼としてケーブルカーを利用してもらう、というスタンスを取っています。

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