鉄道コム

鉄道コらム

約143キロの鉄路が消えた 「本線」なのに廃止になった全国唯一の例とは?

2021年8月28日(土) 鉄道コムスタッフ 冨田行一

国鉄などでは、支線を持つ路線は「〇〇本線」と呼称されていました。軸となる路線なので、距離や利用者数も一定の水準にあった訳ですが、そんな本線でも廃止となってしまった例が全国で一例あります。宗谷本線の名寄駅と石北本線の遠軽駅を主に結んでいた名寄本線です。

名寄駅を発車する特急サロベツ。名寄本線はかつて写真右の方向に進んだ後に東へ。オホーツク海をめざし延びていました
名寄駅を発車する特急サロベツ。名寄本線はかつて写真右の方向に進んだ後に東へ。オホーツク海をめざし延びていました

名寄本線の前身である名寄線が全線開通したのは100年前の1921年。当時の名寄線は名寄~中湧別間でしたが、1923年に支線となる渚滑線が開業したことを受け、本線に格上げされました。1932年には、名寄~遠軽間と中湧別~湧別間からなる名寄本線の最終形となる路線(計143キロ)が誕生しました。

名寄本線の終点でもあった遠軽駅。同線が廃止された翌年の8月に訪ねました
名寄本線の終点でもあった遠軽駅。同線が廃止された翌年の8月に訪ねました

時を同じくして石北線(当時)が全線開通し、道央と網走方面を結ぶメインルートは名寄本線から石北線にシフトしました。こうした影響もあり、名寄本線の業績が悪化。同線は、1980年に制定された国鉄再建法に基づく廃止対象路線の一つに挙げられるなどした後、1989年5月に全線廃止となりました。JR北海道の本線ではその後、留萌本線、日高本線が一部区間を廃止していますが、全線が廃止となった本線はこの名寄本線のみ。実質的な路線の廃止例としても全国唯一です。

名称としての「本線」がなくなった例としては、JR四国の予讃本線、土讃本線、高徳本線、徳島本線があります。1988年6月、それぞれ予讃線、土讃線、高徳線、徳島線に改称され、今日に至ります。

JRの本線で営業距離が短いのを順に挙げると、日高本線(30.5キロ)、留萌本線(50.1キロ)、筑豊本線(66.1キロ)となります。日高本線は、2021年4月の鵡川~様似間(116キロ)の鉄道事業廃止を受けて、一気に最短の路線に。JR北海道管内の路線については、こうした支線を持たない本線の名称の議論を含め、今後の動向が気になるところです。

鉄道コムの最新情報をプッシュ通知でお知らせします無料で受け取りますか?

関連鉄道未来ニュース

鉄道コムおすすめ情報

画像

ラストランは2月10日

「青胴車」5001形は2月10日にラストラン。引退前の「乗車会」開催や、引退記念グッズ発売も。

画像

「T4編成」展示へ

1月で引退の「ドクターイエロー」T4編成、先頭車がリニア・鉄道館で保存へ。6月に展示開始予定。

画像

幻の東京圏「改良計画」とは?

1950年代の国鉄は、東京圏を今と違った形に改良する計画を持っていました。その中身とは?

画像

「サステナ車両」5月デビュー

元小田急の西武8000系が、車両基地を出場。デビューは2024年度末から2025年5月末に変更。

画像

撮影スタイルとレンズ選び

撮影スタイルにあったレンズ選びについて、プロカメラマンが解説! 今回は、標準~望遠・超望遠レンズ編です。

画像

1月の鉄道イベント一覧

2025年も鉄道コムをよろしくお願いします。1月の計画立案には、イベント情報をどうぞ。

画像

イベント投稿写真募集中!

鉄道コムでは、臨時列車や基地公開など、さまざまなイベントの投稿写真を募集中! 投稿写真一覧はこちら。