いよいよ3月18日に開業する、大阪駅の新ホーム「うめきたエリア」。東海道本線(JR京都線)と大阪環状線を短絡する「梅田貨物線」に設けられる新ホームで、特急「はるか」「くろしお」やおおさか東線が発着する予定です。JR西日本では、開業に先立って線路切換工事を実施。新ホームを通る線路自体は、2月13日に供用開始となりました。
JR貨物では、この新ルート供用開始にあわせ、梅田貨物線を通る貨物列車に「後補機」の連結を始めます。これは、今までは主に山間部で見られもの。なぜこのような運用が、都市部で生まれたのでしょうか。
梅田貨物線の新ルートは、JR京都線と別れ、大阪メトロ御堂筋線と交差する付近から地下に潜り始めます。そしてうめきたエリアを通り、大阪環状線の福島駅付近で現在線と合流します。このルートが選ばれた結果、線路の勾配は最大で23.5パーミル(1000メートル進むと23.5メートル登る勾配)となりました。
電車ではなんのこともない勾配ですが、長く連なる貨車を機関車1両で引っ張る貨物列車にとっては、この勾配は大敵。貨物列車にとっては、「梅田峠」ともいうべき難所です。そのため、梅田貨物線を通る貨物列車に、後部の補助機関車、略して後補機を連結して対応することとなったのです。
これまで、この後補機が定期的に見られたのは、山陽本線の瀬野~八本松間(通称「セノハチ」)、石北本線、大井川鐵道井川線のアプト式区間の3路線のみでした。このように地方の勾配区間でのみ見られた後補機ですが、今後は大阪の中心地でも日常的に見られるようになります。
ちなみに、この区間の後補機として使われるのは、セノハチの後補機でも活躍するEF210形300番台。後補機運用を想定した設計で、当初はセノハチの後補機として活躍したEF67形を置き換えるために導入されましたが、現在ではEF67形の投入両数を超える数が製造され、関東も含む広範囲で活躍しています。セノハチ専用とならなかったのは、今回の梅田峠開業に備えた伏線だったのかもしれません。