JR北海道は21日、不通になっている日高本線の鵡川~様似間(116キロ)について、復旧を断念するとの説明を沿線自治体におこなった。
日高本線の鵡川~様似間は、2015年1月の強風や高波による影響で、沿岸部で路盤の流失などが複数箇所で発生。同区間での運転ができない状態となった。同1月中に静内~様似間で運転を再開したが、同3月には再び鵡川~様似間で運休となり、長期不通に。同社ではその間、同区間の復旧や、今後のあり方について、協議会などの場を通じて検討を重ねてきた。今回、復旧費などの概算や、単年度での維持費負担などで結論が出たことをふまえ、同社は復旧の断念を決定。12月21日に、沿線自治体の各首長に対し、同決定を伝えた。
同社では、復旧費の試算を約86億円と計上したうえで、海岸の浸食対策として離岸堤の整備費も加算。合計で100億円を超える規模になるとした。また、鵡川~様似間を持続的に維持するために必要な単年度の費用として、収支差額、防災対策費、土木構造物の老朽対策費をあわせ、16億4000万円と算出。この額について、同社単独での負担は困難とし、自治体に対し上下分離方式なども提案したところ、受け入れられなかったことなどを理由に、復旧を断念したとしている。今後は、バス等への転換などについて、沿線自治体と協議を始める。日高町長からの要望による、鵡川~日高門別間の復旧費、維持費の試算については、別途回答する予定。
日高本線の2014年度の利用客数は、1キロあたり1日平均186人。同社が発足した1987年度の同538人に比べ、約3分の1に減少している。2014年度は、年間約11億円の赤字を計上した。