東京メトロ、鉄道総合技術研究所、日立製作所、三菱電機、NTTコミュニケーションズは24日、5G技術を活用した鉄道システムの実証実験を、国内で初めて実施すると発表した。
今回の実証実験では、パブリック(公衆網)およびローカル(自営網)の5Gネットワークを用い、次世代の鉄道向け無線通信基盤「FRMCS」を参照した鉄道用通信基盤のプロトタイプを構築。これにより、無線通信による列車運行システム「CBTC」や、各種鉄道システムを想定した、5G通信の実用性を検証する。
従来の鉄道用通信システムは、各社が独自に開発した専用設備により構築されている。安全性、安定性、セキュリティ面で有利だが、汎用性が低く、開発コストや維持管理コストの増大、メンテナンス技術の伝承などが課題となっていた。
東京メトロなどは、今回の実証実験により、5G通信の活用による設備投資の低減や鉄道運営の効率化を図ると説明する。また、欧州諸国を中心に検討されているFRMCSプラットフォームの仕様について、本実証実験では将来的な互換性も考慮。欧州とは背景や要求が異なる国内の鉄道事業において、共通利用できる鉄道用通信基盤の仕様や国際標準化への対応を目指すほか、実証実験で試作した鉄道用通信基盤の仕様案を公開し、標準化を目指すとしている。
各社では、本実証実験後の活用イメージとして、CBTCなどの高度な列車運行システムにおける地上と列車間のデータ伝送や、CBM(状態基準保全)などにおける取得情報の伝送、車内・地上カメラ映像の相互・リアルタイム送信などを説明。安全性のさらなる向上や安定性の維持・向上、保全業務の生産性向上や設備投資の低減を見込むという。
実証実験は、2024年8月から2025年3月にかけて、丸ノ内線の新大塚~後楽園間で実施する。