撮影実習で編成写真や流し撮りに挑戦
さて、お待ちかねの撮影実習は、千葉県を走る小湊鉄道の養老渓谷駅付近にある「石神の菜の花畑」で開催されました。春には菜の花が咲き誇り、多くの写真家や観光客を集めるこの地……ですが、残念ながら撮影実習時は開花状況がイマイチ。さらに当日は雨もちらつく天気で、晴天下で明るい写真を撮影することは望めない状況でした。しかし当日はこれを逆手に取り、鉄道写真の基本となる編成写真のほか、暗さを活かして流し撮りなどの応用に取り組んだ構成となりました。
菜の花畑での撮影ですが、まずは基本となる編成写真をトライ。特にこの石神地区には鉄道電話などの通信線が通る電柱がなく、障害物のない構図で撮影できます。
続いて流し撮りにチャレンジです。晴天下ではシャッタースピードを上げなければ露出オーバーとなってしまうため、撮影することが難しい流し撮り。しかし、光量が減る曇りや雨ならばシャッタースピードを落とせるため、撮影のチャンスです。菜の花を入れた構図で、参加者のみなさんは思い思いにカメラを振っていました。
筆者が流し撮りを楽しんでいる横で、助川さんはなかなか上手く撮影できない参加者にアドバイス。「流し撮りをする時は、手持ちならVR(手ぶれ補正)はスポーツモードがあればスポーツ、これがなければノーマルモードがオススメです」。ノーマルモードは画質と手ぶれ補正を両立するため、連写時には向かないのだそう。しかし、一部のレンズではスポーツモードの代わりにアクティブモードが搭載されており、こちらよりはノーマルモードの方が良い、と助川さんは説明していました。
また、三脚使用時にはVRをオフにする必要があるそう。「手持ち撮影と三脚を使った撮影では、カメラの動き方が異なります。三脚で流し撮りをする際には、VRを入れたままだと精度が落ちてしまうため、オフにした方が綺麗に撮れます」とのことです。
桜を入れた流し撮りに挑戦。列車が桜の木から出てきた瞬間が狙い目です。「桜は晴れていると影が強く出ますが、曇りならば色がまんべんなく広がって綺麗に撮れます」と説明していた助川さん。さらに今回のような曇りならばシャッタースピードを下げられるので、流し撮りもしやすくなります。
この石神地区は小湊鐵道沿線の有名スポットで、鉄道ファンでない観光客も多く訪れます。当日も雨ながら、バスツアーで訪れたと思われる方が度々見受けられました。このような場合、自分が狙いたかった構図の中に他の人が入ってしまうことがあるかもしれません。助川先生は、「そのような時は穏やかに声を掛けたり、構図を変えたり、どうしても難しいならば撮影後にレタッチしましょう」とアドバイス。激しい言葉を投げかけるなど、自己中心的な言動は決してしてはいけないと、マナーにも言及していました。