いよいよ3月に東海道新幹線から引退する700系。2月からは「ありがとう700系」装飾を掲げ、臨時「のぞみ」として東京~新大阪間で運転されています。
初代「のぞみ」用車両として登場した300系や、そのフォルムが今でも絶大な人気を誇る500系、東海道新幹線の時速285キロ運転を実現したN700系シリーズと異なり、どちらかといえば脇役な扱いをされがちな700系。しかし、その歴史を見ると、ダイヤや環境性能、乗り心地など、現在の東海道新幹線を形作るのに貢献してきた車両でした。
700系の登場、ダイヤは「ひかり」から「のぞみ」へ
1996年に、JR東海とJR西日本の2社による共同開発車両「N300系」として発表された700系。JR東海の試験車両「300X」や、翌年3月にデビューするJR西日本の500系など、両社の車両技術を活かし、乗り心地や環境性能の向上を目指して開発がスタート。量産先行試作車のC0編成(後のC1編成)が、1997年に登場しました。
横揺れに配慮した先頭部や、骨格を減らしつつ強度を確保し、防音材も組み込んだダブルスキン構造の車体、新型空調システムや揺れを抑えるセミアクティブサスペンションの採用など、速度向上を主眼に置いた300系に対し、乗り心地や環境性能など、全方面の性能向上が目標に置かれました。
C0編成は落成後、量産車の製造に向け、さまざまな試験をこなしました。その結果をフィードバックした量産車の登場は1999年。そして同年3月より、東海道・山陽新幹線での営業運転を開始しました。
700系がデビューした当時、東海道新幹線のダイヤは「のぞみ」ではなく「ひかり」が主流。2020年3月以降は1時間あたり最大12本も運転される「のぞみ」ですが、1999年当時は1時間あたり最大2本のダイヤ。看板列車は「のぞみ」でしたが、主力となっていたのは、1時間あたり最大7本運転される「ひかり」でした。
車両面でも現在とは大きな違いがありました。たった半年の共演ではありましたが、1999年9月までは0系が東海道新幹線で運用されていました。2階建て車両を組み込んだ100系も、「ひかり」でまだまだ現役。「のぞみ」では2時間に1本の間隔で500系が使用されていましたが、主流となっていたのは300系でした。
そんな時代の中で、700系は急速に数を増やし、東海道新幹線の主力車両としての立場を得ていきます。
1999年中に、700系は東海道新幹線の0系と、300系による東京~博多間直通の定期「のぞみ」運用を置き換えました。2001年10月のダイヤ改正では「ひかり」毎時1本が「のぞみ」となり、本数は1.5倍に。100系の置き換えも進み、東京駅発着の定期列車から100系は撤退しました。そして翌2002年には300系の定期「のぞみ」運用も全て置き換え、500系以外の定期「のぞみ」は全て700系による運用となりました。
なお、山陽新幹線の「ひかりレールスター」用として、JR西日本も2000年に8両編成のE編成を投入。2001年には、JR西日本の16両編成バージョンであるB編成を製造し、100系の運用を置き換えています。