「表定速度」が日本で最も高い列車は?
列車の所要時間を短縮するためには、最高速度の引き上げはもちろんですが、高速度で継続的に走れる環境も必要です。この目的地までの所要時間に対する速度を「表定速度」といい、距離を所要時間で除することで導き出せます。
この表定速度は、参考にする区間によって変動しますが、今回は各列車最速達列車の全運転区間、たとえば東京~博多間の「のぞみ」であれば、時速300キロで運転する山陽新幹線区間だけでなく、東京~博多間の全区間をもとに算出しました。
それでは4月現在、日本で最も表定速度が高い列車は何でしょうか。それはもちろん日本最速の「はやぶさ」……ではなく、意外にも東海道・山陽新幹線の「のぞみ」でした。
博多発東京行き最終列車である「のぞみ」64号は、東京~博多間1069.1キロ(実キロ)を4時間46分掛けて走り、表定速度は時速224キロ(小数点以下は切り捨て、以下同様)に達します。東海道新幹線では最高速度が時速285キロに抑えられる「のぞみ」ですが、山陽新幹線内は最高時速300キロで運転できることに加え、64号は東海道新幹線内で先行列車との列車間隔が詰まり減速を強いられることが無いため、ほぼトップスピードを維持できるのです。
2位は新大阪~鹿児島中央間を走る山陽・九州新幹線の「みずほ」。下り2便となる603号の表定速度は、時速220キロです。九州新幹線区間では最高速度が時速260キロに制限されるため、全体的な表定速度が下がっています。なお、時速300キロ運転が可能な新大阪~博多間で計算すると、同列車の表定速度は時速232キロとなります。
時速320キロで運転する「はやぶさ」は3位。新青森~東京間674.9キロを3時間6分で結ぶ速達タイプの「はやぶさ」4号の記録で、表定速度は時速217キロです。こちらも「みずほ」同様、東京~大宮間が時速110キロ、盛岡以北が時速260キロに制限され、車両性能をフルに活かせないために表定速度が落ちています。なお、高速走行が可能な区間のみを抽出すると、大宮~盛岡間を1時間47分で走破する「はやぶさ」7・13・44号の表定速度が、時速260キロに達します。