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「幸せのドクターイエロー」、どんな仕事をしてる?

2020年4月23日(木) 鉄道コムスタッフ

「新幹線のお医者さん」である「ドクターイエロー」。毎日運転されるわけでなく、運転日も非公開という希少性から、「見ると幸せになれる」と言われるほど人気のある車両です。ところで、その具体的な仕事の内容、ご存じでしょうか?

「新幹線のお医者さん」のドクターイエロー
「新幹線のお医者さん」のドクターイエロー

ドクターイエローの仕事内容

新幹線のお医者さんの異名の通り、新幹線の線路を検査・測定するドクターイエロー。正式には「新幹線電気軌道総合試験車」といい、その名の通り、大きく分けて軌道と電気の2つを検測しています。

自走が可能な試験車として初めて投入されたのは、東海道新幹線の「モデル線」走行試験用に投入された1000形を改造した922形T1編成。1974年と1979年には、T1編成の老朽化により、2代目となるT2・T3編成が新製されました。両編成は0系と類似したデザインで、T2編成は2001年、T3編成は2005年まで活躍しました。

現在、東海道・山陽新幹線で活躍しているのは、3代目となる923形。700系をベースとした車両で、JR東海のT4編成、JR西日本のT5編成の、計2編成が運用中です。923形は7両編成で、このうち4号車が軌道を検測する車両。その他の1~3号車と5~7号車が、電気関係を検測する車両となっています。

3代目のドクターイエローとなる923形。写真はJR西日本が保有するT5編成です
3代目のドクターイエローとなる923形。写真はJR西日本が保有するT5編成です

軌道の検測は、レールのゆがみやねじれ、ズレを見るもの。時速300キロ近くで走る新幹線においては、わずかなレールの誤差が乗り心地の悪化につながるほか、放置し続けると大事故を招く恐れもあります。ドクターイエローでは、時速270キロで走行しながら、ミリ単位のレール誤差を25センチ間隔で検測することができる性能を持っているといい、この検測データが夜間の線路保守作業などに活用され、日々の運行を支えています。

電気関係の検測は、列車の運行に必要な電力を供給する架線や、列車の速度を制御する信号装置、指令所と列車をつなぐ通信装置などが対象です。

日々多くの列車のパンタグラフと接している架線(トロリ線)は、摩擦によって次第に削られていくので、一定期間ごとに交換が必要となります。また軌道と同様に、電車線の高さや左右位置にズレがある場合、高速走行する新幹線からの集電効率が悪化してしまいます。923形ではレーザー光でトロリ線の厚さを測定するほか、検測専用に搭載しているパンタグラフを用い、走行中の架線の状態を映像で確認することができます。また、架線電圧や電流など、変電所の動作に関わる項目も測定しています。

ドクターイエローの車内。写真の検測室では、検測状態を検測員がリアルタイムで確認することができます
ドクターイエローの車内。写真の検測室では、検測状態を検測員がリアルタイムで確認することができます

このほか、新幹線の安全運行に欠かせないATC(自動列車制御装置)や、ATCの信号電流を伝える軌道回路、指令所~列車間のデジタル無線など、信通と呼ばれる各項目をチェックしています。

これらの検査のために、4号車では軌道検測用の特別な台車を装備。1・7号車には前方監視用のカメラを設置しています。2・6号車には、走行用の電力を集電するパンタグラフに加え、検測用のパンタグラフも設置。3・5号車には、この検測用パンタグラフを監視するドームが設置されています。

3・5号車に設置された監視用のドーム
3・5号車に設置された監視用のドーム
検測用機器だけではなく、社員の添乗用などのため、7号車には700系と同様の座席が設置されています
検測用機器だけではなく、社員の添乗用などのため、7号車には700系と同様の座席が設置されています

ドクターイエローの運転パターンは2つ。「のぞみ」と同様に途中駅を通過する「のぞみダイヤ」と、各駅に停車して待避線を検測する「こだまダイヤ」です。のぞみダイヤは10日に1回程度、こだまダイヤは2~3か月に1回程度の頻度で運転されており、それぞれ2日かけて東京~博多間を往復しています。

 

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