7月12日、中央・総武緩行線の飯田橋駅が新たなスタートを切りました。カーブ区間にあったホームの使用をやめ、西側に新設したホームの供用を始めたほか、牛込橋に面する西口の新駅舎もこの日開業。かつてのホームは、東口と新ホームを結ぶ連絡通路としての役割を担うようになりました。
今回は飯田橋駅の変化について、7月12日の様子と以前の状況を比較する形で紹介します。
カーブ駅からの脱却
飯田橋駅の工事は、ホームの抜本的な安全対策がテーマ。これまでのホームは半径300メートルのカーブ区間にあり、列車とホームとの隙間は最大で33センチありました。ホーム上には「足もと注意」の掲示のほか、回転灯、転落検知マットといった設備も設けられていましたが、年間で平均10件ほど、2019年度も12件の転落事故が起きていました。
カーブ区間に飯田橋駅を設けるに至ったのは、前身となる2つの駅(牛込駅、飯田町駅)の統合という経緯によるものですが、その安全対策は飯田橋駅が開業した1928年以来の課題でした。JR東日本では、その根本的な解決策として、ホームを西側の直線状の区間に移すことを2014年7月に発表。2015年8月に改良工事が着工され、2016年12月に新ホームの工事が始まりました。
新ホームは、かつてのホームの西端から新宿方面に延伸する形で設置。7月12日の始発から、中央・総武各駅停車の列車は新ホームでの発着に切り替えられました。10両編成の停車位置はそっくりシフトし、新宿方面の列車で言えば、かつては先頭部の位置がこの日からは最後尾よりも後方に、逆に秋葉原方面の列車では最後尾よりも後ろに先頭部が来ることになりました。移った距離は約200メートルです。新しい西口からは列車にすぐにアクセスできますが、東口からは逆に遠くなり、駅の案内では約3分要するとあります。シフト初日は、東口方面から小走りで列車に乗り込む利用者の姿を少なからず見かけました。距離感や時間的な感覚が定着するには一定の期間が必要かもしれません。
新ホームの概況
新ホーム設置により、列車とホームの隙間は狭小化され、最大で15センチに縮まりました。かつては、車両が傾くことで生じていた高低差もほぼ解消。今後はホームドアの設置工事が予定されています。