JR九州は9月29日、新たなD&S列車(デザイン&ストーリー列車)の「36ぷらす3」を報道陣に公開しました。
36ぷらす3は、1992年に在来線特急「つばめ」でデビューした特急型車両、787系を改造した車両。787系をデザインした、ドーンデザイン研究所の水戸岡鋭治さんが、ふたたびデザインを担当しました。列車名は、世界で36番目に大きな島である九州や、「39(サンキュー!)=『感謝の輪』」を広げる、などの意味を持たせたといいます。
車両は全てグリーン車。定員は105人となっています。リクライニングシートの「グリーン席プラン」は通常のきっぷとして発売し、JR九州のインターネット列車予約サイトなどで購入可能ですが、食事を提供する「ランチプラン」「ディナープラン」は旅行商品の扱い。みどりの窓口で購入することはできません。
36ぷらす3は、10月16日に営業運転を開始する予定。木曜日から月曜日にかけて、九州7県をめぐる経路を走ります。木曜日は博多~熊本~鹿児島中央間、金曜日は鹿児島中央~宮崎間、土曜日は宮崎空港・宮崎~大分・別府間、日曜日は大分・別府~門司港~小倉~博多間で、月曜日は博多~佐賀~長崎間の往復を運転。この5日間1セットのルートを、年間45週程度運転する予定です。
なお、2020年7月の豪雨により、木曜日ルートで運転経路となる肥薩おれんじ鉄道は、一部が運休となっています。そのため、36ぷらす3も、当面の間は木曜日ルートが運休となっています。
黒い森をイメージした外観
外観は、黒い森をイメージしたというメタリック塗装。金色をベースとしたロゴマークを各所に配置したほか、一部には電鋳(電気鋳造技術)によって製造した立体的なロゴを設置。さらに、水戸岡さんデザインの車両に特徴的な英字が、各所に配されています。
なお、側面に設置されていた表示器は、LEDタイプに交換されています。
木材を活かして生まれ変わった客室内
客室内は、「ななつ星 in 九州」や「或る列車」などで用いた「大川組子」をふたたび採用。天井は「格天井」や「光天井」としていますが、一部では既存のものを活かしたデザインとなっています。
壁や荷物棚などは、本物の木を加工した素材を使用。車両ごとに使用樹種は異なっており、1号車はブラックウォールナット、2号車はペアウッド、3号車はベイマツやホワイトシカモアなど、4号車はホワイトシカモアとペアウッド、5号車はベイマツ、6号車はスギとなっています。
1号車は、3~4人用の個室を設置した車両。JR九州のD&S列車として初めて、床面は畳敷きとなっています。JR九州 代表取締役社長執行役員の青柳俊彦さんは、この畳敷きについて「こんなこと(車両設計)をする人もいるんですね」と、水戸岡さんのデザインに対する驚きをコメントしていました。
個室は4室。うち1室は、既存のグリーン個室「サロンコンパートメント」を改造しています。
ほかの3室は、パーテーションで区切られたもの。パーテーションの高さを抑えており、明るく開放的な空間としています。