約75年ぶりの「新しい路面電車」、芳賀・宇都宮LRT
かつて高度経済成長期には、「道路交通の邪魔になる」として、各地で廃止が進められた路面電車。しかしながら、近年は輸送量や環境性能などが見直され、2020年3月には富山駅の南北を結ぶ区間が開業するなど、再評価が進められています。
そんな路面電車、あるいは次世代型路面電車「ライトレール (LRT)」として、建設が進められているのが、宇都宮市と芳賀町を結ぶ「芳賀・宇都宮LRT」です。
芳賀・宇都宮LRTは、宇都宮駅の東口から、芳賀町の本田技研工業研究所前までの間、約14キロを結ぶ予定の路線。既存路線の延長や活用ではない、完全新規路線として路面電車が建設されるのは、1948年に開業した現在の万葉線以来、約75年ぶりとなります。
この路線の特徴は、市街地では道路上を、郊外では専用の軌道(厳密には線路のみを敷設した道路)を走ること。市街地ではバスのように集客でき、郊外では道路と分離することで速達性を向上します。全区間の所要時間は、各駅停車が約44分。このほか、平日ラッシュ時には快速列車が設定される予定で、こちらは約38分で走行します。
なお、路面電車の最高速度は、軌道法で時速40キロと規定されています。芳賀・宇都宮LRTでも、開業時点では全区間で最高速度を時速40キロとする予定。しかしながら、この路線を運営する予定の宇都宮ライトレールでは、将来的には道路上では時速50キロ、専用軌道では時速70キロで運転するとの目標を掲げています。
2021年1月時点では、宇都宮駅前や栃木県道64号線上などで工事が進行中。清原工業団地内では、すでにレールが敷設されている箇所もあります。宇都宮市は、整備区間の約8割で工事が進行中としています。
芳賀・宇都宮LRTの開業は、2023年春を予定。さらに宇都宮市では、宇都宮駅より西側、東武宇都宮駅方面へと路線を延長する計画も検討しています。