5月6日に営業運転を開始する、京浜急行電鉄の新1000形20次車(1890番台)。20次車は同社で初めて「L/C座席」を採用しており、「モーニング・ウィング」号などの座席指定制列車や貸切列車、一般列車といった、さまざまな需要形態に対応できる車両です。
先日、一足先に公開された車内に続き、20次車の外観が報道陣に公開されました。車内公開時には見ることのできなかった足回りを中心に、20次車をご紹介します。
なお、車内についての解説は、前回の記事をご覧ください。
1890番台は、座席指定列車や貸切イベント列車に対応するため、ロングシートからクロスシートに切換可能な「L/C座席」を採用。乗務員室後方には、新1000形では2006年製造車以来の設置となる、前面展望席のクロスシートを設置しています。
車体は総合車両製作所のステンレス車体ブランド「sustina」を採用していますが、2018年デビューの17次車以降と同様に、あえて全面を塗装しています。この赤の塗装に加え、展望席を復活したことで「京急らしさ」を表現しています。
今回の20次車は、中央に貫通扉を設けたことから、同様の車両(ただしロングシート)である1800番台の派生として、1890番台を名乗りました。従来の京急の車両付番方法では1891-1894、1895-1898と2編成しか製造できないため、20次車では「1891-1編成」「1892-1編成」と、600形同様にハイフンを用いた附番方法を採用しています。
なお、京急では現在のところ、この車両を「1000形新造車両」または「20次車」と呼んでおり、「1890番台」とは呼んでいない様子。また、京急社内の車両呼称として、新1000形は4V、6V、8V(編成両数により数字が変化)、600形は4F、8F、などという呼び方がありますが、この20次車の呼び方は「4L」だそう。従来の新1000形4両編成「4V」とは区別されているということです。
赤色に塗装したステンレス車体
20次車の先頭部の特徴は、前面中央部に貫通扉を設置したデザイン。地下鉄乗り入れに対応するため、連結時に貫通できる設計とすることで、地下鉄区間で求められる編成間の通行を可能としています。
また20次車では「sustina」を採用しており、車体側面に目立つ継ぎ目は無いほか、側面上部の雨どいは車体と一体化しています。さらに車体は近年製造の新1000形と同様に塗装しており、ステンレス地肌の銀色が見える部分はほぼありません。
中央に貫通扉を設けた1000形としては、これまでにも1800番台が2016年にデビューしていますが、ステンレス車体に塗装した形態は、2018年製造の17次車(1200番台など)以降のもの。そのため、中央貫通扉+ステンレス塗装車体という組み合わせは、この20次車が初めてです。
車内ではL/C座席が特徴的な20次車ですが、先頭部に前方を向いた展望席が復活したこともポイント。展望席の横には幅10センチとかなり細い窓が設置されており、こちらも外観上の特徴となっています。
以前の京急車ではこれ以上の幅が取られていましたが、ステンレス車体となった際に運転台スペースが拡大されたことに加え、「機器スペースの問題からこのような形状となった」(京急担当者)といいます。
前面デザインは従来車のものを踏襲していますが、尾灯・急行灯が一体型のLEDとなり、従来よりも小型になりました。また、これまで下3ケタ表記だった車両番号は、5ケタすべてを表記する形に。「1000」の文字もスリット入りに変化しています。
行先・種別表示器はフルカラーLEDを採用。表示器まわりのデザインは従来車とほぼ同一ですが、運行番号と種別表示は一体となっています。なお、カメラでの撮影時には、シャッタースピード1/1000まで切れることはありませんでした。
側面の行先・種別表示もフルカラーLEDを採用。従来車よりもサイズが大きくなっており、上段に日本語、下段に英語・中国語・韓国語と、多言語の同時表示に対応しています。
L/C座席とともに、20次車で京急初採用となった車内トイレ。トイレが設置されている2・3号車間の海側(浦賀方面に向かって左側)は窓が無く、従来車と大きく異なるポイントです。
なお、トイレ関連の給水・抜き取り設備は、金沢検車区に設置しているとのこと。そのため、この20次車は同検車区所属として運用するということです。