鉄道コム

新車両リポート

もはや新型の別形式、京急新1000形20次車の外観を見る

2021年5月3日(祝) 鉄道コムスタッフ 西中悠基

5月6日に営業運転を開始する、京浜急行電鉄の新1000形20次車(1890番台)。20次車は同社で初めて「L/C座席」を採用しており、「モーニング・ウィング」号などの座席指定制列車や貸切列車、一般列車といった、さまざまな需要形態に対応できる車両です。

京浜急行電鉄の新1000形20次車、1892編成
京浜急行電鉄の新1000形20次車、1892編成

先日、一足先に公開された車内に続き、20次車の外観が報道陣に公開されました。車内公開時には見ることのできなかった足回りを中心に、20次車をご紹介します。

なお、車内についての解説は、前回の記事をご覧ください。

1890番台は、座席指定列車や貸切イベント列車に対応するため、ロングシートからクロスシートに切換可能な「L/C座席」を採用。乗務員室後方には、新1000形では2006年製造車以来の設置となる、前面展望席のクロスシートを設置しています。

車体は総合車両製作所のステンレス車体ブランド「sustina」を採用していますが、2018年デビューの17次車以降と同様に、あえて全面を塗装しています。この赤の塗装に加え、展望席を復活したことで「京急らしさ」を表現しています。

20次車の車内
20次車の車内

今回の20次車は、中央に貫通扉を設けたことから、同様の車両(ただしロングシート)である1800番台の派生として、1890番台を名乗りました。従来の京急の車両付番方法では1891-1894、1895-1898と2編成しか製造できないため、20次車では「1891-1編成」「1892-1編成」と、600形同様にハイフンを用いた附番方法を採用しています。

なお、京急では現在のところ、この車両を「1000形新造車両」または「20次車」と呼んでおり、「1890番台」とは呼んでいない様子。また、京急社内の車両呼称として、新1000形は4V、6V、8V(編成両数により数字が変化)、600形は4F、8F、などという呼び方がありますが、この20次車の呼び方は「4L」だそう。従来の新1000形4両編成「4V」とは区別されているということです。

赤色に塗装したステンレス車体

20次車の先頭部の特徴は、前面中央部に貫通扉を設置したデザイン。地下鉄乗り入れに対応するため、連結時に貫通できる設計とすることで、地下鉄区間で求められる編成間の通行を可能としています。

また20次車では「sustina」を採用しており、車体側面に目立つ継ぎ目は無いほか、側面上部の雨どいは車体と一体化しています。さらに車体は近年製造の新1000形と同様に塗装しており、ステンレス地肌の銀色が見える部分はほぼありません。

20次車の先頭部
20次車の先頭部

中央に貫通扉を設けた1000形としては、これまでにも1800番台が2016年にデビューしていますが、ステンレス車体に塗装した形態は、2018年製造の17次車(1200番台など)以降のもの。そのため、中央貫通扉+ステンレス塗装車体という組み合わせは、この20次車が初めてです。

2016年デビューの1800番台
2016年デビューの1800番台

車内ではL/C座席が特徴的な20次車ですが、先頭部に前方を向いた展望席が復活したこともポイント。展望席の横には幅10センチとかなり細い窓が設置されており、こちらも外観上の特徴となっています。

以前の京急車ではこれ以上の幅が取られていましたが、ステンレス車体となった際に運転台スペースが拡大されたことに加え、「機器スペースの問題からこのような形状となった」(京急担当者)といいます。

幅10センチという細長い側窓
幅10センチという細長い側窓

前面デザインは従来車のものを踏襲していますが、尾灯・急行灯が一体型のLEDとなり、従来よりも小型になりました。また、これまで下3ケタ表記だった車両番号は、5ケタすべてを表記する形に。「1000」の文字もスリット入りに変化しています。

尾灯・急行灯が小型になった20次車
尾灯・急行灯が小型になった20次車
従来の新1000形ステンレス車
従来の新1000形ステンレス車
従来車の尾灯・急行灯
従来車の尾灯・急行灯

行先・種別表示器はフルカラーLEDを採用。表示器まわりのデザインは従来車とほぼ同一ですが、運行番号と種別表示は一体となっています。なお、カメラでの撮影時には、シャッタースピード1/1000まで切れることはありませんでした。

フルカラーLEDの行先・種別表示器
フルカラーLEDの行先・種別表示器

側面の行先・種別表示もフルカラーLEDを採用。従来車よりもサイズが大きくなっており、上段に日本語、下段に英語・中国語・韓国語と、多言語の同時表示に対応しています。

側面表示器
側面表示器

L/C座席とともに、20次車で京急初採用となった車内トイレ。トイレが設置されている2・3号車間の海側(浦賀方面に向かって左側)は窓が無く、従来車と大きく異なるポイントです。

2号車と3号車の車端部海側は、トイレが設置されているため窓はありません
2号車と3号車の車端部海側は、トイレが設置されているため窓はありません

なお、トイレ関連の給水・抜き取り設備は、金沢検車区に設置しているとのこと。そのため、この20次車は同検車区所属として運用するということです。

2号車と3号車の車端にトイレタンクを設置
2号車と3号車の車端にトイレタンクを設置
 

鉄道コムの最新情報をプッシュ通知でお知らせします無料で受け取りますか?

関連鉄道リポート

鉄道コムおすすめ情報

画像

登場時デザイン撮影会で

京急600形30周年にあわせた撮影会が12月に開催。600形デビュー時デザインが撮影会限定で復活。

画像

東武の車両「記録推奨度」

この車両、いつまで走る? 引退が危ぶまれる車両や、見た目が変わりそうな車両をご紹介。今回は東武編です。

画像

4000系が「機関車風」塗装に

「西武秩父線開通55周年記念車両」11日運転開始。4000系をE851形を模した塗装に変更。

画像

撮影スタイルとレンズ選び

撮影スタイルにあったレンズ選びについて、プロカメラマンが解説! 今回は、高倍率ズーム・広角レンズ編です。

画像

京都鉄博に381系

12月12日~17日に特別展示。16日までは、一部で「スーパーくろしお」色ラッピングも実施。

画像

11月の鉄道イベント一覧

数百件の情報を掲載中。鉄道旅行や撮影の計画には、鉄道コムのイベント情報をどうぞ。