東武鉄道は5月26日、修復作業中の蒸気機関車、C11形123号機のボイラーを、南栗橋車両管区 SL検修庫に搬入しました。
この123号機は、1947年に滋賀県の江若(こうじゃく)鉄道向けに製造された車両。当時の車両番号は「C11 1」でした。北海道の雄別炭礦(ゆうべつたんこう)鉄道や釧路開発埠頭と渡り歩いた後、1975年に廃車され、以降は日本保存鉄道協会が保有する形で、北海道で静態保存されてきました。
一方、東武鉄道では、2017年に運行を開始した「SL大樹」について、蒸気機関車1両体制では検査時の安定運行ができないことから、機関車の増備を検討。このC11 1に白羽の矢が立ち、車両を東武博物館が譲り受けた上で、2018年に南栗橋車両管区へ搬入。2019年より動態復元作業に着手することとなりました。
大手私鉄では初めてだという、蒸気機関車の動態復元作業。当初は2020年冬の作業完了を予定していましたが、長年静態保存されていたことによる修繕・新規製作箇所の多さに加え、新型コロナウイルスの影響で作業工程に遅延が発生していることで、現在は2021年冬の完了予定となっています。
現在、復元作業そのものはSL検修庫で実施していますが、ボイラーの修繕はここで実施することはできませんでした。そのため、JRなどのさまざまな蒸気機関車のボイラーを修繕した実績を持つ、大阪のサッパボイラで作業を実施。2019年7月から約2年を掛けて作業を進め、この日ふたたびボイラーが南栗橋へと戻ってきました。
今回搬入したボイラーは今後、台枠などの部品と組み合わされ、蒸気機関車としての形を取り戻していくこととなります。