東京都交通局は5月14日に、三田線で新型車両「6500形」の営業運転を開始します。これに先立つ2月16日に、6500形の報道公開が実施されました。
6500形は、1993年登場の6300形以来となる新型車両。同線への新車投入としては約22年ぶり、新形式車両としては約29年ぶりの導入となります。
車両の外観は、「移動を担う都市の一部としての存在感を表現した、スマートで無駄のない機能美」を目指したもの。先頭部も含めてシンプルな箱型とし、行先表示器や前照灯なども、視覚的なノイズとなる要素を極力抑えたといいます。6300形にあった赤帯は採用されていませんが、こちらもシンプルさを追求した結果だといいます。
2018年にデビューした浅草線用の5500形では、歌舞伎などもイメージしたという、スピード感を表現した車両でした。一方、今回の6500形では、方向性が若干異なるように感じられます。
この点について都の担当者は、浅草線では浅草寺や東銀座(歌舞伎座)、泉岳寺などの「和」の要素を、三田線では大手町や日比谷といった都心部のオフィス街を、それぞれイメージしてデザインしたと説明。それぞれの路線をイメージしたという点に変化はないとしています。また、交通局内のプロジェクトチームによってデザイン検討が進められた点も、5500形と6500形は共通となっています。
また、新宿線の10-300形がJR東日本のE233系地下鉄直通対応車に類似したデザインとなっていたように、6500形もE235系を思わせる部分がいくつか見られます。都の担当者は、「デザインの基としたというわけではないが、チームで参考にした部分はあるかもしれない」と語っていました。
車体はアルミ合金製。都営地下鉄では12-000形、5300形、12-600形に次ぐもので、三田線では初の導入となります。
行先・種別表示器はフルカラーLEDを採用。前面は日本語→英語の交互表示、側面は日本語→英語→日本語(次駅案内つき)→英語(次駅案内つき)の交互表示となっていました。なお、表示はシャッタースピード1/500秒まで切らずに撮影可能です。
過不足のない通勤型車両を追求
外観同様、車内もスマートさを掲げたデザイン。「幅広いお客様にとって過不足の無い、通勤型車両としての快適性を追求」したといいます。
乗降扉間の座席数は、7席だった6300形よりも1席少ない6席に。その代わり、座席幅は6300形より25ミリ拡大されました。また、乗降口スペースの混雑緩和を目的に、座席と乗降扉の間のスペースが拡大されています。座席袖仕切りや車両間の貫通扉には、透明感のある素材を使用。LED照明の採用とあわせ、明るく開放感のある車内を演出します。
優先席は、都営地下鉄の標準である両車端部(先頭車を除く)の配置。優先席に限りませんが、各座席の左右いずれかには握り棒がある配置となっており、「人にやさしい車両」の実現を目指しています。