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西九州新幹線開業

いよいよ走り出す新幹線「かもめ」のN700S 東海道新幹線とは何が違う?

2022年9月22日(木) 鉄道コムスタッフ 西中悠基

「かもめの巣」車両基地も見る

このN700Sが所属する車両基地も、簡単にご紹介しましょう。

西九州新幹線の車両基地は、嬉野温泉~新大村間に設置された「熊本総合車両所大村車両管理室」。その名の通り、九州新幹線の車両基地である熊本総合車両所の傘下となる組織です。新幹線開業にあわせて、大村線の車両基地隣接地には「大村車両基地駅」が開業する予定で、車両基地もこちらの「大村車両基地」と呼ばれることもあります。また、報道向け試乗会では、現場関係者からのあだ名として「かもめの巣」という愛称も紹介されました。

「かもめの巣」の愛称もある大村車両基地
「かもめの巣」の愛称もある大村車両基地

先述した通り、開業時点でのN700Sは6両編成4本の24本という小所帯。そのため、大村車両基地は、新幹線の車両基地としてはかなり小ぶりなものとなっています。

右の建屋は仕業検査や交番検査を実施する「仕交検庫」。左側には留置線2本があります
右の建屋は仕業検査や交番検査を実施する「仕交検庫」。左側には留置線2本があります

新幹線の車両検査は、周期が短いものから順に、「仕業検査」「交番検査」「台車検査」「全般検査」の4つがあります。このうち、仕業検査と交番検査は大村車両基地内の「仕交検庫」で実施可能ですが、多数の部品分解をともなう台車検査と全般検査は、車体は大村車両基地で、台車や重要機器は車両から取り外して熊本総合車両所へ輸送し、それぞれ検査することとなります。

仕業検査や交番検査を実施する「仕交検庫」の内部
仕業検査や交番検査を実施する「仕交検庫」の内部

また、検査と並ぶ車両基地の機能である留置機能も最小限で、大村車両基地の留置線はたった2本のみ。建屋内部や他の線路を使用すれば3本以上の留置は可能なうえ、開業後は駅での留置も想定されるので、現状で必要十分な設備となっています。将来的に新鳥栖~武雄温泉間が開業した場合は、所要編成はさらに増加することとなりますが、その際は熊本総合車両所とあわせて留置することが考えられます。

余談ですが、9月11日に開催された報道向けのN700S4編成撮影会では、1本が架線の張られていない線路に留め置かれた状態となっていました。4本を横に並べるだけでも難しいという、コンパクトな車両基地ならではのユニークな光景でした。

記事最初の写真の並びを上から見た様子。一番手前の線路には架線が張られていません
記事最初の写真の並びを上から見た様子。一番手前の線路には架線が張られていません

いよいよ開業する西九州新幹線は、全長66.0キロと、東海道新幹線の米原~京都間(実キロで68.1キロ)にも満たない、日本最短の新幹線です。しかし、用意される車両はフルスペックの新幹線で、ほかの新幹線車両に見劣りするものでもありません。そんな新たな翼を得た「かもめ」が、いよいよ長崎の地に降り立ちます。

 

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