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新車両リポート

「スペーシアX」に乗ってみた 新型特急での日光への旅はどんなものに?

2023年6月7日(水) 鉄道コムスタッフ 西中悠基

7月15日にデビューする、東武鉄道の新型特急車両「スペーシア X」。同社のこれまでの特急車両より数段階上のサービスを提供する車両で、日光・鬼怒川エリアへの旅がこれまで以上に快適になります。

東武の新型特急「スペーシア X」
東武の新型特急「スペーシア X」

鉄道コムでは、6月上旬に開催された試乗会に参加し、そのサービスの内容を一足先に体感しました。新しい特急の旅は、どのようなものとなるのでしょうか。

浅草駅は専用ホームから

「スペーシア X」の始発駅は、東武伊勢崎線・日光線系統のターミナル駅である浅草駅です。

浅草駅では、「スペーシア X」の運行開始にあわせ、ホームがリニューアルされています。2017年までは日光・鬼怒川方面の快速・区間快速が発着していた5番ホームを、「スペーシア X」用の発着ホームに改修。木目調のデザインとし、目的地の日光・鬼怒川エリアとのつながりを持たせました。

リニューアル後の浅草駅5番ホーム(イメージ・画像提供:東武鉄道)
リニューアル後の浅草駅5番ホーム(イメージ・画像提供:東武鉄道)

この試乗会の時点では、5番ホームは工事中のため利用できませんでしたが、「スペーシア X」の運行が始まった際には、当初はこのホームからの発着が基本になるといいます。

入線してきた「スペーシア X」ことN100系は、従来の100系「スペーシア」同様の6両編成。白地に窓回りの黒いアクセントが入る、シンプルながら目立つデザインです。

浅草駅に入線する「スペーシア X」
浅草駅に入線する「スペーシア X」

ちなみに、白い車体は汚れてしまうと余計に目立ちそうですが、東武では他の車両よりも念入りに洗車をしているとのこと。加えて、汚れが目立ちやすい外装であることを考慮し、ボディコーティングも施しているといいます。

それでは、早速車内に入ってみましょう。

6両編成に6種類もの座席を用意

「スペーシア X」は、6両編成で座席種類を6パターンも持つという、バラエティに富んだ設備が特徴です。

普通席となる「スタンダードシート」は、3~5号車に設置。一般的な2+2列配置のリクライニングシートですが、背もたれを倒すと座面も傾くなど、かなり快適性に配慮したつくりです。シートピッチ(座席の間隔)は、「スペーシア」と同じ1100ミリ。1000ミリの「リバティ」よりも広くなっています。

3~5号車の「スタンダードシート」
3~5号車の「スタンダードシート」

テーブルは、座席背面と肘掛け内部の2つ。背面テーブルはノートパソコンを広げられるサイズで、車内でお弁当を食べるのにも十分な大きさです。肘掛け内部のインアームテーブルは、背面テーブルほどの大きさはありませんが、座席を向かい合わせにした際には役立つ装備です。

大型の背面テーブル。座席背面にはコンセントも設置されています。
大型の背面テーブル。座席背面にはコンセントも設置されています。
こちらは肘掛けに収納された小型のテーブル
こちらは肘掛けに収納された小型のテーブル

ちなみに、座席自体は「リバティ」のものの改良型で、コンセントの設置位置はひじ掛けから座席背面に変更。このほか、カップホルダーが背面に設置されました。

「リバティ」のコンセントの設置位置
「リバティ」のコンセントの設置位置

5号車の日光・鬼怒川寄りには、「ボックスシート」が2組設置されています。

5号車の「ボックスシート」
5号車の「ボックスシート」

この座席は、パーテーションによって区切られた半個室。大人2人での利用のほか、片方の座席につき大人と子どもが各1人座ることも可能です。写真では通路から丸見えのようですが、実際に座ってみると、意外とプライベート感が保たれている印象を持ちました。

窓側を向いて座ると、通路は気になりません
窓側を向いて座ると、通路は気になりません
窓とは反対側を見れば通路は気になりますが、実際には写真よりもプライベート感があります
窓とは反対側を見れば通路は気になりますが、実際には写真よりもプライベート感があります

2号車は、上級クラスである「プレミアムシート」。電動リクライニング式の座席が2+1列で配置され、スタンダードシートよりもゆったりとした空間で移動できます。座席背面には「バックシェル」が装備され、前席がリクライニングしても気になりません。

2号車の「プレミアムシート」
2号車の「プレミアムシート」

日光・鬼怒川寄りの先頭車である1号車の座席は「コックピットラウンジ」。「ラウンジ」とありますが、指定席車両の一つです。

1号車の「コックピットラウンジ」。非常に開放感があるデザインです
1号車の「コックピットラウンジ」。非常に開放感があるデザインです

座席は、1人席、2人席、4人席と、さまざまな人数に対応。先頭部の1人席は全面展望も可能です。実際に乗ってみると、運転席後ろの窓だけでなく、左右すべての窓から車窓が飛び込んでくる内装で、非常に開放感があります。

1~4人用にソファーを配置
1~4人用にソファーを配置

浅草寄りの先頭車である6号車の客席は、全てが個室。5室中の4室は、4人用の「コンパートメント」です。

6号車の「コンパートメント」
6号車の「コンパートメント」

従来の「スペーシア」の設備を引き継いだかのような客室ですが、座席が向かい合わせからコの字型になり、テーブルも折り畳み式となるなど、使い勝手は進化しています。

窓については「借景」を意識したデザインということ。「スペーシア」よりはサイズが小さくなっていますが、走行中の車内で見ると、そこまで閉塞感は覚えませんでした。

そして、運転席に近い1室は、スペーシア Xの最上級席ともいえる「コックピットスイート」。室内の広さは11平方メートルで、東武によると「私鉄特急では最大」だといいます。定員は7人で、「コックピットラウンジ」のようなソファーが設置されています。

私鉄特急では最大だという面積をほこる「コックピットスイート」
私鉄特急では最大だという面積をほこる「コックピットスイート」

こちらも「コックピットラウンジ」のような前面展望ができる空間ですが、室内空間自体は1号車よりも狭いため(それでも十分な広さですが)、どちらかと言うとプライベート感の方が大きい印象。それもそのはず、この個室は「プライベートジェット」をイメージしたもので、「走るスイートルーム」というコンセプトを体現したものとなっています。

乗務員室側から見ると、プライベート感が大きい印象を持ちます
乗務員室側から見ると、プライベート感が大きい印象を持ちます

ちなみに、この部屋の椅子やテーブルは固定されておらず、利用者が自由に動かすことができます。ただし、いずれも床に対する十分なグリップ感があるので、例え列車が非常ブレーキを掛けたとしても、椅子やテーブルが動いてしまうことはありません。

 

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