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スーパーミドル機「Z6III」、鉄道撮影での実力は? フラッグシップの「魂」を受け継ぐニコン新型ミラーレス

2024年9月7日(土) 鉄道カメラマン 助川康史

表現者よ、大志を抱け! ~撮影がさらに楽しくなる色調整の新機能~

Z6IIIは、撮影の手助けとなる機能や性能が上がっただけではありません。Z9やZ8には無い(2024年8月現在)、表現者の心をくすぐる機能が搭載されています。その名も「フレキシブルカラーピクチャーコントロール」!

撮影者オリジナルの表現を追求できる「フレキシブルカラーピクチャーコントロール」
撮影者オリジナルの表現を追求できる「フレキシブルカラーピクチャーコントロール」

ピクチャーコントロールについては「鉄道写真なんでもゼミナール」で以前解説しましたが、ニコンのカメラの今までのピクチャーコントールは既に決められたものが登録されていて、自分がその場にあったピクチャーコントロールを選んで撮影することになります。あくまで自分のイメージに近い色味で撮影し、それを家に帰ってパソコンでレタッチをする必要がありました。

しかし、Z6IIIに搭載された「フレキシブルカラーピクチャーコントロール」は、自分で細かく作り上げた色や彩度、コントラストなどをオリジナルピクチャーコントールとして登録することができるようになったのです。この設定はEVFや背面モニターの映像にも反映されるので、現場で自分の描いたイメージを感じながら撮影に臨めるのです。

正直、私はフレキシブルカラーピクチャーコントロールのことを聞いた当初は「ふ~ん……」としか感じませんでした(笑)。しかし、実際に助川オリジナルのフレキシブルカラーピクチャーコントロールを作ってZ6IIIに登録し、秩父鉄道の上長瀞駅で夜のシーンを撮ろうとEVFを覗くと、どうでしょう。私が思い描いた印象的なコントラストと彩度で表示されているではありませんか!

秩父鉄道の上長瀞駅で「フレキシブルカラーピクチャーコントロール」を設定し撮影した作品
秩父鉄道の上長瀞駅で「フレキシブルカラーピクチャーコントロール」を設定し撮影した作品
コントラストと彩度を、ユーザーの好みのものに設定し撮影できる機能。後処理ではなく「撮影時から」この雰囲気で撮影できる点が魅力です
コントラストと彩度を、ユーザーの好みのものに設定し撮影できる機能。後処理ではなく「撮影時から」この雰囲気で撮影できる点が魅力です

これは面白いと思い、夜の上神梅駅を様々な角度でたくさん撮りました。仕上がった作品を見て、我ながらさらに感動(笑)。「信号機や踏切を撮りたいな」「地下鉄の駅も良いかも」「シャッターが閉まった夜の商店街と列車が撮れるところは無いか?」など、イメージが次々と湧いてきます。撮影シーンを想像するだけでも楽しくなるのは、20代のころ以来かも!? フレキシブルカラーピクチャーコントロールを「ふ~ん……」と感じていた自分が恥ずかしい(笑)。

お仕事撮影の合間に、少しずつでも良いから私が思い描いた作品を撮りためて、いつか写真展を開催したいと野望も描き始めました。ちなみにどんな作品を撮ろうとしているのかというと、ちょっと怖い鉄道写真の世界です。何せ私は心霊モノやパラレルワールド系の話が大好きなので(笑)。どうぞご期待ください!!

ミドルクラス以上の性能を鉄道写真で楽しめるニコンZ6III

Z6IIIの鉄道写真撮影に役立つ性能や表現力を5つほど取り上げましたが、いかがだったでしょうか。

ミドルクラス以上の性能を鉄道写真で楽しめるZ6III!
ミドルクラス以上の性能を鉄道写真で楽しめるZ6III!

私は既にZ9やZ8を使っているので、身体がフラッグシップ&ハイエンド機慣れしています(笑)。そんな私に、Z6IIIはどんなパフォーマンスを見せてくれるか興味津々でした。もちろんそれら2機はトップクラスの性能を持っていますが、Z6IIIも遜色のない機能や性能を持っています。「ミドルクラスであって、ミドルクラスにあらず」というのが、私がZ6IIIに抱いた印象です。

良い作品を撮るには、撮影技術と表現方法やこだわりというのが大事です。しかし、自分の追い求める作品を具現化するには、どんなに頑張っても技術的に難しい部分があります。いずれその技術を身に付けることができるとしても、今撮影する瞬間にその表現方法に伴う技術が無いと、せっかくのシーンを撮り逃したり、失敗することになります。写真撮影はまさに一期一会。鉄道写真に限らず、素晴らしいシーンというのは二度と会えないものです。そんな稀有な機会を失敗で逃してしまうのは、一生の後悔になりかねません。その失敗を極力少なくして、より美しく、そして確実に撮るためには、良い機材が必要になるのです。

また、良いカメラやレンズを手にすれば、腕が上がるとも言います。カメラやレンズの機能や性能に助けられるという点も大きいですが、それだけではありません。私が学生の頃、新しいカメラやレンズを買った時に「構図取りが良くなった」と感じたことがありました。新しい機材を手にしたことで、今までできなかった構図や撮れなかった瞬間が撮れるようになりました。そして何より、写真へのこだわりが強くなったのっだと思います。新しいカメラやレンズのおかげで、表現力や技術が磨かれていくということもあるのです。

「フレキシブルカラーピクチャーコントロール」など、Z6IIIは私が学生時代にあった「撮影前から作品を想像する楽しみ」という気持ちを蘇らせてくれました。撮影前に「あれが撮りたい、こんな作品にしたい」と想像するのはワクワクします。そしてそのイメージに近い風景に出会い、シャッターを押す時は本当に楽しいものです。良い作品を撮るためには「撮影者の技術や表現力」と「素晴らしい機能や性能を持ったカメラやレンズ」の両輪が必要です。その両輪となりえる力を持ったのがニコンZ6IIIだと、私は感じています。

 

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