鉄道コム

ドクターイエロー2編成が揃い踏み! 2024年「JR東海 浜松工場へGO」に密着

2024年11月23日(祝) フォトライター 栗原景

トラバーサーの稼働実演や車両の床下見学も人気

検修庫の東側では、車両を横移動させるトラバーサーの実演が30分ごとに4回行われました。浜松工場には3か所にトラバーサーがありますが、こちらの東トラバーサーは、検査を終えて再び組み立てられた車両を出場線へ運ぶ装置。実際に車両を積載し、現役の担当社員が「前方ヨシ!」と確認・喚呼をすると、MCの女性社員による「ゴーゴーレッツゴー!」のかけ声とともに場内を往復しました。ちなみに、運搬実演に使われたN700AのG51編成1号車(783-1051)は、JR東海のN700Aで最後に製造された編成の先頭車です。2020年2月に完成、今回が2度目の全般検査で、ツアー終了後の10月29日に検査を終えて出場しました。

車両を横移動させるための「トラバーサー」の実演
車両を横移動させるための「トラバーサー」の実演
「新幹線の横移動」という珍しい光景に、参加者は釘付けでした
「新幹線の横移動」という珍しい光景に、参加者は釘付けでした
作業員の方もノリノリでした
作業員の方もノリノリでした

団体専用列車が停車している検修庫3番線の隣、2番線にはN700A G39編成が留置されています。こちらは「下から新幹線を眺めよう!」コーナーで、編成横からN700Aの床下機器を間近に見学できます。こちらも全般検査をほぼ終え、車体・床下ともまるで新車のようにピカピカです。部品のあちこちに検査・確認済みであることを示すマーキングが施され、車軸から揺れを抑えるダンパ、車体傾斜装置など、普段雑誌などでしか見られない新幹線の最新メカニズムをじっくり観察することができました。G39編成は、ツアー終了の翌週、10月23日に出場して運用に戻っています。

検修庫に留置されていたN700A G39編成。2018年に日本車輌製造で製造された編成です
検修庫に留置されていたN700A G39編成。2018年に日本車輌製造で製造された編成です
G39編成は、床下機器が見学できるコーナーとなっていました
G39編成は、床下機器が見学できるコーナーとなっていました
新車のようにピカピカの台車にはあちこちにマーキングがつけられ、いかにも最先端メカという印象
新車のようにピカピカの台車にはあちこちにマーキングがつけられ、いかにも最先端メカという印象
妻面にぶら下がっているのが、揺れを抑えるための車両間ダンパ。ふだんは見ることができません
妻面にぶら下がっているのが、揺れを抑えるための車両間ダンパ。ふだんは見ることができません
車両間に装着される全周ホロも触れることができました。軽くて柔らかい素材が何であるかは「ひみつです(笑)」とのこと
車両間に装着される全周ホロも触れることができました。軽くて柔らかい素材が何であるかは「ひみつです(笑)」とのこと

すっかり定着したツアーイベント、さらに多彩なイベントにも期待

さて、気がつけば11時25分。集合時間まであと10分となり、参加者が続々とツアー専用列車に戻っていきます。2時間あまりたっぷり見学できると思いきや、展示が充実していて、あっという間に過ぎました。食堂での物販コーナーを取材する時間はなく、参加者からも「大満足だけどもう少し時間がほしかった」という声がありました。

検修庫に停まっている、団体臨時列車に使われたJ12編成。集合時間になり、参加者が名残惜しそうに戻ってきました
検修庫に停まっている、団体臨時列車に使われたJ12編成。集合時間になり、参加者が名残惜しそうに戻ってきました

車内で参加者が揃ったことを確認し、12時05分、団体列車は手を振るスタッフの皆さんに送られて浜松工場を出発。何度か待機を繰り返し、本線で再びスイッチバックして12時59分に浜松駅に到着しました。同じ頃、新大阪発の団体専用列車が12時51分に名古屋駅を発車し、東京発と入れ替わりで浜松工場に入って、関西・東海地区の参加者がまた120分間の工場見学を楽しむことになります。東京発の団体専用列車は、「のぞみ」356号のダイヤで運行し、14時21分東京駅着。無事ツアー終了となりました。

入場時と同じように、手を振るスタッフに見送られて、浜松工場を後にします
入場時と同じように、手を振るスタッフに見送られて、浜松工場を後にします

近年は、こうした事前申込制の有料鉄道イベントが増えています。混雑に悩まされることなく、落ち着いてじっくり楽しめる点は大きな魅力ですが、参加者が「事前に申込ができる、すでに新幹線が大好きな人」に偏り、「これから好きになる人」にとっては参加しづらい面もあります。この点についてJR東海の広報担当者は「今回はツアー形式が最適と判断しましたが、今後についても、例えば地域にお住まいの皆様を対象とした小学生の工場見学など、より多くの方にお楽しみいただけるイベントも実施していきたいと考えています」と話しました。

往路で話を聞いた齋藤さんと仲宗根さん。絶対に今日しか撮れない、ドクターイエローとの記念写真を撮ることができました
往路で話を聞いた齋藤さんと仲宗根さん。絶対に今日しか撮れない、ドクターイエローとの記念写真を撮ることができました

大盛況のうちに3回目を終えた「JR東海 浜松工場へGO!」は、秋の恒例ツアーイベントとして定着しました。工場見学だけでなく、貴重な「スイッチバック」による工場線入場も体験できる、すべてのレールファン必見のイベントと言えるでしょう。

鉄道コムの最新情報をプッシュ通知でお知らせします無料で受け取りますか?

アンケート

このリポート記事について、よろしければ、あなたの評価を5段階でお聞かせください。

関連鉄道リポート

関連鉄道未来ニュース

鉄道コムおすすめ情報

画像

ラストランは2月10日

「青胴車」5001形は2月10日にラストラン。引退前の「乗車会」開催や、引退記念グッズ発売も。

画像

「T4編成」展示へ

1月で引退の「ドクターイエロー」T4編成、先頭車がリニア・鉄道館で保存へ。6月に展示開始予定。

画像

幻の東京圏「改良計画」とは?

1950年代の国鉄は、東京圏を今と違った形に改良する計画を持っていました。その中身とは?

画像

「サステナ車両」5月デビュー

元小田急の西武8000系が、車両基地を出場。デビューは2024年度末から2025年5月末に変更。

画像

撮影スタイルとレンズ選び

撮影スタイルにあったレンズ選びについて、プロカメラマンが解説! 今回は、標準~望遠・超望遠レンズ編です。

画像

1月の鉄道イベント一覧

2025年も鉄道コムをよろしくお願いします。1月の計画立案には、イベント情報をどうぞ。

画像

イベント投稿写真募集中!

鉄道コムでは、臨時列車や基地公開など、さまざまなイベントの投稿写真を募集中! 投稿写真一覧はこちら。