日本の鉄道では、JRと私鉄、そして鉄道とその他の交通機関との間での競争が、以前より繰り広げられてきました。そこで鉄道事業者が採ってきた手段の一つが、速度の引き上げです。
1964年に開業した新幹線では、時速210キロから始まり、1997年には時速300キロ運転と世界最速タイに到達。将来はリニア中央新幹線により、時速500キロでの営業運転が見込まれています。在来線でも、1930年に登場した超特急「燕」を皮切りに速度向上の試みが続き、現在では時速130キロで走る特急が各地で運転されています。
そんな鉄道大国の日本で、最も速い列車をご紹介します。
時速300キロを超えて走る日本最速の列車
日本の営業列車でもっとも速いのは、E5系による東北新幹線の「はやぶさ」と、これに連結して走るE6系「こまち」です。最高速度は時速320キロ。これは中国の高速鉄道による時速350キロに次ぐもので、フランスの高速鉄道「TGV」とともに全世界で2位タイの記録となっています。
なお、「はやぶさ」「こまち」が時速320キロで走ることができるのは、東北新幹線の宇都宮~盛岡間に限られます。東京~宇都宮間は騒音対策のため、盛岡~新青森~新函館北斗間は整備計画上の数値から、北海道新幹線の青函トンネル区間は在来線列車へ与える影響で、それぞれ速度が抑えられています。
なお、非営業列車の記録では、2015年4月21日にJR東海の山梨リニア実験線でL0系が達成した時速603キロが、国内・世界ともに最速。超電導リニアの技術を実用化するリニア中央新幹線では時速500キロ程度での営業運転が見込まれるため、開業後はこちらが国内最速の鉄道となります。
在来線で最速の列車
新幹線以外で最も速い列車は、京成電鉄が運行する「スカイライナー」です。2010年7月17日に開業した成田スカイアクセス線を走る「スカイライナー」は、印旛日本医大~空港第2ビル間の約18キロに限られますが、最高時速160キロで運転しています。
JRの在来線での営業最高速度は、時速130キロです。こちらは非常時の停止距離などを勘案して多くの事業者が採用しているもので、「ひたち」「サンダーバード」「うずしお」「ソニック」など、JR北海道を除くJR各社の特急、そして常磐線の特別快速や京阪神地区の新快速、岡山~高松間の快速「マリンライナー」、一部私鉄の特急列車が、最高時速130キロで運転しています。
かつては他の最高速度記録もありました。1997年に運行開始した在来線特急の「はくたか」は、北越急行ほくほく線内において、当初は時速140キロ、2002年からは時速160キロで運転していました。また、東北新幹線と接続して盛岡~青森・函館間を結んでいた特急「はつかり」は、1991年より青函トンネル区間で時速140キロ運転を開始。2002年の東北新幹線八戸延伸後に登場した特急「白鳥」「スーパー白鳥」も、これを受け継いでいました。はくたかは2015年に、白鳥・スーパー白鳥は2016年に、それぞれ新幹線延伸開業によって廃止されています。