かつては各地で相次いだ新路線の開業も、近年は下火の傾向にあります。2020年の新規開業路線は、富山地方鉄道富山港線(富山駅南北接続線)の富山駅~(旧)富山駅北間約90メートルのみ。わずかな距離の開業ながら、富山駅の南北を直通するという歴史的な出来事でしたが、距離だけを見ると大規模なものではありませんでした。
しかしながら、日本ではまだまだ新路線の建設が進められています。今後の開業を目指し、今まさに工事が進められている鉄道路線は10路線(索道・軌道含む)。今回は、新幹線以外の路線のうち、関東エリアの3路線をご紹介します。
相鉄と東急を結ぶ直通線
かつては神奈川県内で路線網が完結していた相鉄線ですが、2019年11月に「相鉄・JR直通線」が開業したことで、相鉄沿線と東京都心の直通列車が運転されるようになりました。
この相鉄・JR直通線は、神奈川県東部の鉄道の利便性を向上させる事業「神奈川東部方面線」として整備されたルート。この事業では、JR直通線に加え、もう1つのルート整備が盛り込まれています。それが、相鉄線と東急線を結ぶ「相鉄・東急直通線」です。
相鉄・東急直通線は、羽沢横浜国大駅から新横浜駅を通り、東急東横線・目黒線の日吉駅までを結ぶ、約10キロの路線。相鉄・JR直通線として開業済みの区間を含む西谷~新横浜間が相鉄新横浜線、新横浜~日吉間が東急新横浜線として、両社が営業する予定です。
現時点では、途中駅の新横浜駅、新綱島駅は掘削が終了し、内部の工事が進行中。駅間のトンネルも、羽沢横浜国大~新横浜間の「羽沢トンネル」と、新横浜~新綱島間の「新横浜トンネル」は貫通済み。日吉駅では、将来の新横浜線本線となるレールの敷設が一部で始まっています。
新線区間以外でも、さまざまな部分で準備が進められています。相鉄では、相鉄・東急直通線に対応する20000系を増備中。直通先となる東急や、東急目黒線と直通している都営三田線、東京メトロ南北線では、現在の6両編成から8両編成へ増強する計画を進めています。
相鉄・東急直通線の開業は、2022年度下期を予定。この路線が開業すると、相鉄沿線から新横浜駅へ乗り換え無しでアクセスできるようになり、東海道新幹線へのアクセスが大幅に向上します。