東京メトロは6月2日、半蔵門線用の新型車両「18000系」を、報道陣に公開しました。
18000系は、1981年にデビューした8000系の置き換え用として投入される車両。半蔵門線用の車両としては、東京メトロの前身である営団地下鉄が導入した08系以来、18年ぶりの新型車両です。2021年8月にデビューし、2025年度までに19編成190両が投入される予定となっています。
従来車のイメージを踏襲した紫の車両
車両の設計コンセプトは「伝統と新しさが交じり合う街にさらなる活力を」。渋谷、表参道、清澄白河、押上と、伝統と新しさが交じり合う地域を走る半蔵門線の車両であることから、通勤、通学、ビジネス、観光とさまざまな乗車目的に寄り添えるようなデザインを目指しています。
車体は、東京メトロの標準であるアルミ合金製です。この車体に、半蔵門線のラインカラーであるパープルを基調とした2色の帯を、前面から側面へ流れるように配置。親しみやすさやスタイリッシュさを感じられるデザインとしています。
また、東京メトロ 車両部設計課 課長の荻野智久さんは、設計時に「乗客が持つさまざまなイメージの紫を配置したら面白いのでは」というアイデアから、複数のカラーを採用したと説明しました。加えて、半蔵門線のラインカラーである濃い紫色は、08系や8000系のイメージを踏襲し、兄弟・姉妹感を演出することを狙ったといいます。
08系や8000系との関係は、前面のデザインにも。先頭部のライトは直線的なデザインとし、08系・8000系の「端正な表情」を継承しています。
正面と側面の行先表示器は、フルカラータイプのLEDを採用。種別・行先に加えて駅ナンバリングが表示できるほか、側面では号車案内の表示も可能です。なお、正面の行先表示器については、シャッタースピード1/1000秒まで切らずに撮影することが可能です。
車内も紫を基調に
車内は、ラインカラーを基調に、床から天井に向かって明るい色となる配色。こちらも外観同様、さまざまなイメージの紫を使用したデザインとなっています。また、袖仕切りや貫通扉、網棚にはガラスを採用しており、地下空間においても開放感を感じられる設計としています。
扉上には、17インチワイド液晶2画面による車内情報表示器を設置。また、8か所中4か所の扉上には、車内全体を死角なく監視できる防犯カメラを設置しています。
床面高さは、8000系よりも60ミリ低い1140ミリとなりました。加えて、ドア出入口の下部をホーム側へ傾斜させ、一部ではドアレールに切り欠き部分を設けることで、車いすやベビーカーの乗降性向上を図っています。
各車両の車端部には、車いすやベビーカーに対応したフリースペースを設置。立ち客が軽く腰掛けられるヒップレストを設けているほか、窓まわりにも手すりを設置しています。また、フリースペースが設置されている部分の車体側面には、スペース設置を示すピクトグラムが描かれています。
運転台は、速度計などのメーターが液晶画面に表示される、近年の東京メトロの標準タイプ。半蔵門線では、東武線や東急線と直通運転を実施していることから、相互直通他社車両と機器配置の共通化を図っているということです。
なお、運転台にはATO(自動列車運転装置)の起動ボタンがありますが、現時点ではATOは準備工事に留まるとのこと。今後、半蔵門線のホームドア設置完了といった環境が整った後に、あらためてATOの機能を導入するということです。
従来車よりも消費電力を3割削減
機器面では、現在の東京メトロでは標準となっている、VVVFインバータ制御装置と永久磁石同期電動機(PMSM)を採用。制御装置にはフルSiC素子を採用しており、08系や8000系(VVVFインバータへの更新車)よりも約30%の消費電力を削減する見込みとなっています。モーター搭載車と非搭載車の比率(MT比)は4:6で、起動加速度は3.3km/h/s、常用減速度は3.5km/h/s。営業最高運転時速は110キロとなっています。
保安装置は、東京メトロや東急電鉄で採用している車内信号式ATC、東武鉄道のATSに対応。さらに、東京メトロの無線列車制御システム(CBTC)や、東武鉄道のTC-ATSにも準備対応しています。
また、車両の安全・安定性を向上するシステムとして、丸ノ内線用の2000系から採用されている「車両情報監視・分析システム(TIMA)」を搭載。営業線走行中の車両機器の動作データを無線で送信できるシステムで、故障が発生した際の状況を、本社や指令所、車両基地などでいち早く確認することで、故障発生時の迅速な対応を実現します。加えて、動作データの蓄積・分析によって、故障の低減に繋げることも目指しています。